原作5.5巻にて、著莪の悲劇



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 原作五.五巻にて、井ノ上あせびの弁当をめぐった文化祭のイベントに参加していた佐藤洋と著莪あやめであるが、もし著莪が決勝へ進んでいたらどうなっていたことだろう。イベントを仕切る司会者はこう語っていた。
『二人一組になって、手押し車でこのコースを進んでいただきます!』
 手押し車というと運動会や筋トレなどで行われ、一人が相手の手首を持ち、一人が手を使って歩いていくものである。足を持つ、つまり相手が女子高生でスカートでも履いていようものならどうなるか。
「くっそー……」
 著莪は歯噛みした。この時、既に佐藤は脱落している。あせびの作った危険な弁当を回収するには著莪が優勝を果たすより他はない。何の利益もないのにサービスシーンを提供し、その上で勝ち残らなければならないのだ。
 そのことに気づく男子は少なくない。男達は颯爽と著莪の元へ駆けつけ、あるいは別の女子へ駆け寄り、求愛のポーズを取るがごとく自分とペアを組んでくれと声をあげる。女生徒達はさすがにスカートで手押し車は無理だと判断し、誘い来る男から逃げるようにして辞退していく。残った女の子はあせびのために出場していた著莪だけである。
 著莪はちょっとしたハーレム状態に困った顔をしつつ、かすかな希望を持って周囲を見回した。せめて他にも女子が残っていれば、女の子同士で組むことによって肉体を守ることができる。しかし男子の連中が素早く誘いに行ったおかげで、みんな逃げるかのように去ってしまっている。残念ながら望みのペアを組むことはできそうにない。男と組むしか道がない状況に立たされた。
「一体誰と組めってんだよ」
 なるべくマシな相手を選びたいが、著莪にはそもそも他に好意を持つ相手がいる。その他もろもろの佐藤以外の男子の中から誰を選んだとしても、気持ちとしてマシとは思えそうにはなかった。
 残り一○秒でスタートです! という司会者の声に焦りが募る。時間に押されてか、手近な相手で手を打つ連中が現れ出した。著莪とのペアを諦めた男同士、あるいは部活などで鍛えられた男同士が二人組みを締結し始める。もうやむを得ない。どうせ誰でも同じなのだから、適当な相手に決めるしか……。
 その時、誰かが著莪の肩を叩く。大きな堅い手だ。心なしか辺りに『ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……』の文字が見える気がして、著莪にペア組みを求めていた男達はそれ気圧されているような気がした。
 じわりと全身に汗を滲ませつつ、著莪は振り返る。
「心配せんでいいんやで? あやめちゃん。あんな若造共と組む必要はない。オレが必ず優勝まで連れてってやるで」
 警備員のオッちゃんだ。彼はニヤニヤした顔をしつつ著莪を見据えている。
『三、二、一……それでは障害物レース、スタート!』
 すでに組み終わっていた連中が一斉に動き出す。スタート地点から次々とペアが駆け出していき、残るのは著莪とオッちゃんの二人きりとなる。もはや著莪に選択できるのは棄権か、このオッちゃんとペアを組むか。二つに一つ、苦渋の選択だ。
 著莪はごくりと息を飲んで心を決める。
「あのさ、オッちゃんが下じゃ駄目かな?」
「無茶はあかんで? あやめちゃん。ジブンの方が軽いやろ。女の子がオレの足持って走れるんか?」
 オッちゃんの足は丸太のように太い。スラックスはピチピチで股間の膨らみが如実に浮き上がっている。ただでさえ体重のありそうなオッちゃんの足を抱え、あまつさえこの膨らみを見つめながら競技をやるのは……無理だ。
 著莪は仕方なく両手に軍手を嵌めて四つんばいになる。そして、気がついた。自分が今とても無防備であるということに。
 オッちゃんが背後に立った瞬間に全身に電流が走ったかのような危機感が襲ってくる。彼の視点からすれば女子高生が四つん這いで尻を向けているわけであり、それが男にとっていかにエロいものであるかは言うまでもない。上から見下ろす背中に、スカートの垂れ下がる尻、佐藤ならこれだけで興奮しかねない。オッちゃんがいやらしい想像をしていないとは言い切れなかった。
「安心せい! オレと一緒なら優勝は確実や!」
 著莪は大きな手で足首を掴まれ、腰の両脇へと持ち上げられる。身体が浮き上がって角度がついたことで、著莪は羞恥と不安に苛まれる。このままではスカートが垂れ下がり、衆目の前で中身が見えてしまうのではないか。いや、既にオッちゃんの角度からでは覗けるのではないか。無防備な尻を晒している心もとなさは半端ではない。
 彼が変な気を起こす前にゴールしなくては! 著莪の中である意味でのレースへの意欲が沸き起こる。
 著莪は鞭打ちされた馬がごとく、一気に走り出す。オッちゃんもまた著莪の両足をガッチリと保持し、左右にブレさせない。そしてグイグイと著莪を押してくる。
 ……信じられないぐらいに、走りやすい。
『ん? おおぉーと、ここにきて最後までもたついていた二人がスタート! 速い、速いぞコレは! しかし先頭グループは既にブービートラップゾーンへ突入してしまう、追い上げなるかぁー!』
 著莪は掌底を放つようにしてジャンプして平均台に昇り、はねるようにしてクリア、続けて地面に広がっていたネットを一気にくぐる。障害物を次々突破して、二人は快進撃を見せていた。
 そして待ち受けていたのは、白い粉の入った箱。あめ玉拾いだ。コースの横には審査員が配置されており、きちんとあめ玉を拾ったかチェックする仕組みになっている。
 箱は既に十組以上が通過した後だ。何度も顔を突っ込まれたあとなので、白い粉は荒れる海を表現したかのように起伏の激しいものとなっている。場所によっては箱の底すら見えた。
 そうなれば、一つは粉から露出したあめ玉があってもおかしくない。
 著莪は唇をとがらせ吸い取ろうとするが――取れない。あめ玉は微妙に溶けて、箱の底とくっついてしまっているのだ。歯を差し込んで剥がしとろうと試みるが、この姿勢からではやりにくい。箱の底と唇がぶつかり、前歯であめ玉をすくい取れない。無理に噛んで砕いては失格の可能性もあるのでは? と思えたので、これ以上歯を使って無理をすることはできなかった。
 ならばと、著莪は舌先を伸ばしてあめ玉をなめずった。唾液をつければ箱の底とくっついた部分が溶けて、取れやすくなる。舌を通じるようにして唾液を送り込み、著莪はどうにかあめ玉を口内に獲得した。
 あめ玉を舌上に乗せてぐっと突き出し、審査員に示してみせる。OKのサインを確認し、著莪はあめ玉を噛み砕いて飲み込んだ。
 多少時間をロスしてしまったが、そんなことは気にならないほどのスピードでいくつものペアを追い抜いていく。
『激しい追い上げです! 最後尾でスタートを遅らせてから五組は追い抜き、さらに前方のペアへ迫っていきます! お! 抜いたぁああ!』
 だが、そうして快進撃を繰り広げることはスカートの丈の位置が不安定になることを意味している。意図してか、それとも無意識にか。オッちゃんもまた著莪の足首を必要より高い角度に保持している。当然、レースが進むごとにスカートはずり下がっていき……。
 まずい! 皮膚の感触でスカートの丈の位置を感じ取り、著莪は焦燥した。このままでは見えてしまう。どうにか丈の位置を直せればいいが、両手は走るために使っている。
 しかも、このイベントには巨大なモニターが用意されている。たくさんの観客がレースを見守っている。このままでは衆人環視の中でパンツを大公開してしまうのは時間の問題だ。しかも、手は下にあるので直すことは一切できない。著莪の尻はまったくの無防備なのだ。
『それにしても、さらに注目すべきはスカート! 少しずつその聖域が解放されんとしています!』
「嘘! なんでそんな実況すんの!」
 著莪はみるみる真っ赤に染まりあがった。
『ご覧の通り、むっちりとした太ももは既に確認できると思いますが、さらにずれていったスカート丈がちょうどお尻に乗っている状態! 先ほどまではまだ上の方にありましたが、だんだんとずり下がっているのです!』
「何なのこの実況は! ちょっと足の角度下げてくれない? 走りにくいって!」
「いや、これがベストや!」
 オッちゃんは欲望に目を滾らせ、むしろ角度をやや上に調整した。同時にスカート丈はさらに下へずれ、聖なる三角形の先端が覗き見えた。
『白! 白です! たった今、その色が純白であることが確認できました!』
 司会者は興奮し、観客は「おぉ……」と注目を寄せる。
「もう見えてんのかよ! オッちゃん! 一回止まってってば! とにかく直さないとこのままじゃ……」
「何があってもあやめちゃんはオレが守る。だから今はレースに集中せい!」
「集中できないから言ってんだよ! あ、そんなに揺らしたら――ていうか! アンタもう絶対わざとやってるでしょ! ずり下がるようにわざと揺らしてるだろ!」
 著莪に抵抗の手段はない。後ろからグイグイ押されていては、下にいる人間はそれに合わせて手を動かすしかなくなってしまう。そうしなければ、上半身が地面について擦れてしまう。
 それをいいことにスカートはさらによれていき、尻の半分が顔を出した。
『来ました! 純白に包まれたお尻です! 著莪あやめのパンツが今、はっきりと確認できます! モニター! パンツをアップして下さい!』
 画面上に著莪のお尻が拡大され、パンツの布に通ったラインやゴムからはみ出る肉までもがあらわとなる。
「こ、こんなことって! 最低だ!」
 全校生徒へのパンツの大公開、しかも文化祭なので外部から来た一般客までもがそれを見て興奮している。著莪は耳まで赤くなり、ぎっしりと歯を噛み締めた。手で隠せさえすれば簡単に防げた事態なのに、手押し車のせいでたったそれだけのことが出来なかった。スカートをまるで気遣ってくれなかったオッちゃんが恨めしい。
 スカートはさらに捲りあがっていき……。
『す、全てが曝け出されたぁー!』
 司会者が雄たけびを上げた。
 とうとう丸見えとなったのだ。純白の輝きを放つ聖なる布地が、その布地に包まれた神聖なる尻肉の丸みが全て露出している。割れ目へのかすかな食い込み、ゴムからはみ出る肉、大事なアソコの女の子の土手、何もかもがあらわとなっている。それらは全て画面に丸々と拡大され、観衆の注目を一点に集めていた。
「うおぉおおおお!」
 大勢の人間に見られている。同じ丸富の生徒はもちろん、佐藤や外部から来た一般客、井ノ上あせび、そしてオッちゃんとあらゆる人々に向けて著莪のパンツが発信されている。下手をすれば敷地内にいる槍水や白粉、あの白梅にまで見られかねない。
「こ、こんなのって……。アタシやっぱり……」
 あまりの事態に心が折れかけ、著莪は弱気な声を出す。
「何を言うとるんやあやめちゃん! 諦めたらそこで試合終了やで!」
 しかしオッちゃんは許してくれず、なおも足首を抱えたまま前進をやめない。すると、下になっている著莪も同時に進まざるを得なくなる。逃げ出すこともできずにレースを進み、著莪は泣きたい気持ちでゴールへ向かって行くしかなかった。
『信じられません! 極上の下半身を晒しながらも爆進し、他のペアをさらに追い抜いています! そして、パンツの内側からお尻がプルプル揺れています! たまらない! これはたまらない!』
 もはや一種の男性向け企画映像である。こんなにも大勢の人間に見られながら、それでも優勝を目指さなくてはいけない。しかもレースの状況ばかりかお尻の様子まで実況され、著莪は耳まで真っ赤に染まりあがっていた。
 尻というのは脂肪の多い部位なので、振動を受ければ揺れやすい。レースのために走り続けている今、尻には絶え間ない振動が伝わっているのだ。まるでプリンやゼリーが弾むかのように、著莪の尻肉もプリップリッと揺れていた。
 多くはそんな尻に興奮していたが、中には太ももを舐めるように見てまわす者、股間の土手を凝視する者もいる。もはや単なるレースではなく、大衆による著莪の視姦大会と化していた。
「あやめちゃん! こんな思いまでして負けたら大損やで? だが出遅れたのが痛い! このままではトップを追い抜けへん!」
「そんなことわかってるけど……。じゃなくて! アンタがスカート直す暇をくれてたらこんなことにはなってないっての!」
「それはともかく! トップを追い抜くには今よりもっと速度が必要や! 走るのはオレに任せい! 行くぞ――ぅおおおおおおおおおりゃあああああああああ!」
 雄たけびを上げた途端、オッちゃんは著莪の足首を離した。バカな、と著莪が驚く前にオッちゃんが再び著莪の足を掴む。足首ではない。――腰だ。オッちゃんは著莪の腰をがっしりと掴み、己の股ぐらに押し付けた。
 著莪の体が一気に持ち上げられ、手から地面の感覚が消え、代わりに加速感と、そして著莪の股間にダイナミックなアレの感触が伝わった。
『キター!』
 司会者の実況が叫ぶ。
 著莪たちはまさに短距離走がごとく加速していた。実質的に著莪の体はオッちゃんに持ち上げられ、手は宙に浮いているため、オッちゃんが荷物を抱えて一人で走っているようなものなのだ。先ほどの手押し車よりも、当然圧倒的に速い。速いが、しかし腰を掴んでいるということは、それだけ著莪の下腹部の保持には力を入れなくてはならない。自然と股間同士の密着は強くなり、著莪のアソコの土手には嫌というほど男の固い感触が伝わっていた。
「これはちょっと! 普通に走ろうよ! 色々とやばいから!」
 オッちゃんの逸物が走るたびに左右に動き、その感触は著莪の股間へ伝わっていく。堅い肉の感触と女の子の土手が幾度となく摩擦を起こし、刺激となって著莪を襲っている。
 さらに、腰を掴まれた状態で股間同士が触れ合うことは当然アレを想起させる。バックから挿入するアノ行為である。
『なんということでしょうか! 使われています! このレースの場で! まさか一人の女性の下腹部が男に使われようとはぁ!』
「さあ勝ちにイクで! 二人でイクんや! ラストスパートや!」
「イかなくていいから! とにかくこの状況からアタシを解放しろっての!」
 オッちゃんはこの状況から自らの腰を動かし、あまりにもそれっぽくピストン運動を行っている。腰を引いては突き、引いては突き、そして突く度にべったりとソレを擦り付ける。並みの身体能力では実現できないアクロバットな体位であるが、オッちゃんはそれを走りながら実現しているのだ。
 そんなことをされながらも、著莪は泣きたい気持ちになりつつ的確にトラップを見極めていた。このレースから抜け出すにはやはりゴールするしかない。今の著莪にできることは、生真面目に罠を回避しコースを指示することだけであった。
 そして、最後のコースが見えてくる――バナナだ。割り箸に刺さったバナナやチョコバナナが何本も並べられている。
『ラストはバナナの完食です! バナナをどれか一本食べることで通過できるコーナーでありますが、チョコバナナの種類は豊富! チョコの付いていない普通のバナナや練乳バナナもあります! さあ、このゴールデンペアが選ぶのはどのバナナでしょうか!』
 オッちゃんの足は一瞬の迷いもなく練乳バナナへ向かっていく。
「さあ、あやめちゃん! そいつをしゃぶるんや! 咥えるんや!」
「別の意味に聞こえるっての!」
 著莪は眼前に迫った練乳バナナをみる。白くねっとりとした液体はあまりに多量にかけられており、バナナ全体がドロドロになっている。割り箸を伝って底に白濁の円まで作っていた。
『いよいよ、著莪あやめさんが上の口を使う時です!』
 男衆がどんな想像をしながら、期待を込めた視線を集めているかなど、もはや想像するまでもない。それでも著莪は、優勝のため、自分がオカズにされることをわかっていながらバナナをしゃぶらなくてはならない。
 涙ながらに口を近づけ、先端からバナナを頬張り――
『うぉおおおお! 我々は今、奇跡の瞬間に立ち会っています!』
 果実を食していく様を実況される。
 果肉に歯を食い込ませ、するとまぶされていた練乳が唇につき、それがいやらしく糸を引く。官能的な唇と練乳の白濁が生み出すエロスを詳しく声にあげられ、後ろからは怒張した股間の感触の生々しさが著莪を襲う。
 二穴状態といっても過言ではない状況だった。
 オッちゃんはゆさゆさと腰を振り、お尻の割れ目へその一物を摩擦させる。そんな卑猥な行為を受けながら、著莪はやっとのことでバナナを食し切るのだ。
 そして――。
『優勝! 優勝です!』
 ゴールへ到着した著莪に嬉しさや喜びの感情などありわせず、残ったのは羞恥と屈辱、そしてそれを一刻も早く忘れたいという、切実なる思いだけであった。

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