LBX学園 入学身体検査 鹿島ユノ


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 仮想戦争を主とするLBX学園ともなると、しばしば軍事的指向が取り入れられる。生徒の入学時に行われる身体検査の数々も、その一つであった。

 ――パンツ一枚。

 検査当日の鹿島ユノはパンツ一枚で身長計に背中をつけ、真っ直ぐに背筋を伸ばす。
(どうして男の人ばっかり……)
 膨れ上がる羞恥心にユノは耳まで赤く染め上げて、緊張に凝り固まってすっかり肩を縮めていた。
 検査会場にいる担当者は全てが男性で構成され、検査風景の視察という名目で地位のある人間達も女子生徒の裸を見に来ている。教育委員や文部科学省、あるいは官僚、それなりの立場の中年が幾人も並び、身長を測るユノの周りで列を成していた。
 何人もの男の視線――。
 どうしてこんなに男がいるのか、腹の立つ気持ちもあったが……。
 しかし、これには事前の説明があった。
 軍事指向の関係で、例え羞恥心の強い少女であろうと検査は厳しく執り行う。パンツ一枚という格好も、生徒がどんな規律にも従えるか、そして身体におかしな注射跡や刺青がないかを確かめる意味合いがある。
 その上でも、LBX学園で学びたい入学希望の女子は一定数集まっていた。
 ユノもまた承知の上で入学しているので、文句を言うなど出来やしない。
 なのだが、やはり恥ずかしい。
 この格好での測定までは聞いていたが、その様子を視察されるなど検査開始になるまで一度も伝えられていなかった。裸を見られる相手はあくまで検査担当の人間だけだと思っていたのに、正直騙された気分がする。
(みんなこっち見てるよぉ……)
 身長を測るため、ユノは真っ直ぐな姿勢を取っている。プルンとした丸く大きな乳房は見られ放題で、隠したい思いでいっぱいであったが、どんなに男達の視線が注がれようともそれは許されないことだった。
「この年頃にしては胸が中々ですな」
「最近の子供は発育がいい」
 地位ある視察者達はひそひそと、ユノの体の感想を囁き合っている。
 静けさが張り詰めた空気の中、ただのひそひそ声はしっかりとユノの耳に届いていた。
(もう、そんなに見ないでよ……)
 さすがに軍事指向だけあって、検査そのものには厳格な空気がある。まるで厳しいお寺に修行にでも来ているような険しい雰囲気では、こんなパンツ一枚の格好であっても「ちゃんと言う事聞かなくちゃ」という気にさせられてしまう。
 ただ、そんな中で陽気な囁き声を交わし合っているのが視察に来ている大人達だ。
「鹿島ユノといいましたかな」
「乳首が立っているところなど可愛いものです」
「よほど恥ずかしいのでしょうな」
 まともな視察などではなく、そういう建前で少女達の裸を眺め、大人達は余興にいそしんでいる。彼らはユノの乳房を見ながら、その評価について囁き合っていた。
(ほんとに恥ずかしいのに……)
 ユノはそんな大人に恨めしい気持ちを向ける。
 頭の上にバーが下ろされ、検査担当が数値を書類に書き込んでいく。
 身長計から解放され、ようやく姿勢を崩して腕で胸を覆い隠すことが許されるが、次の検査はまだまだ残っている。

 スリーサイズの測定となり、ユノは頭の後ろに両手を組んだ。
(もう……! なんなのこれ!)
 膨張する羞恥心が一気に弾け、今にも逃げ出したい気持ちにかられる。
 わざわざ横一列に並んだ大人達の前で、裸体を見せつけながら測定を受けなくてはならないのだ。しかもここでは担当者は二人に分かれ、一人がメジャーを巻きつけ数字を読みあげる。
「トップバスト〜センチ!」
 数値を聞いたもう一人が、手元の書類に書き込むのだ。
「おお、やはり大きい」
「あの子は他とは発育が違いますな」
 少女を辱めるための汚い仕組みがここにはあった。
 視察などと言いながら、大人達は下心を持って恥ずかしがる少女の姿を楽む。学園の検査のあり方を審査するつもりなど毛頭なく、初めからお楽しみのための行事が組まれているのが実態だ。大人達は動物園をまわるような気持ちで、ユノの肢体を視姦していた。
「ウェスト〜センチ!」
 まるでみんなに聞かせてあげているような大きな声で、腰に巻かれたメジャーのメモリ読み上げられる。
「ほほう?」
「スタイルも申し分ない」
「これは将来有望ですぞ?」
 大人達はその都度囁き合った。
「ヒップ〜センチ!」
 スリーサイズという乙女のプライバシーは無残にも公表された。
「お尻もそれなりとは」
「プリプリしてますからな」
「そういえば白いパンティも可愛らしい」
 この現状を問題視する人間など、少女達自身を除いて誰もいない。こうして女子生徒の裸を売る事で、学園はそれなりの援助を受けている。全ては学園の容認の元で行われていることなのだ。
 測るのはスリーサイズだけではない。
 メジャーを今度は乳輪に押し当てられ、直径を測られる。
「〜センチ」
 そのデータが何の約に立つのかは不明だが、乳首の大きささえ測られ、読み上げられ、書類に記録されていった。

 モアレ検査など最悪だ。
 背骨が歪む側わん症という症状を検査するため、少女はパンツを下げてお尻を出さなくてはいけない。尾てい骨から背中全体にかけてをカメラ撮影する事で、背骨に歪みがないかを画像判定する仕組みなのだ。
 その検査となった時、ユノはパンツを膝まで下ろされた。
 そして、大人達はユノの周囲で列を作る。
 お尻や陰部を見るために――。
「やはりプリっとしたお尻は良いものです」
「尻まで形が整っていますな」
「胸ばかりかお尻までとは……」
 大人達は口々に感想を述べる。
(見ないでよぉ……)
 ユノは顔中を熱くして、今にも泣きそうに顔を歪め、羞恥のあまりに体中が震えていた。そんなユノ状態にも関わらず配慮はなく、検査担当は無慈悲にシャッターを切り、ユノのお尻を含んだ背中を撮影する。
「背筋は伸ばしたまま、腰をゆっくりとくの字に折りなさい」
 モアレ検査はまだ続く。
 撮影の次は背筋の触診を行い、手でも背骨を確かめる。そのために腰を突き出す姿勢を取らされ、ユノは大人達に向かってぐっとお尻を押し出さなくてはいけなかった。
(こんなの……。早く終わって……!)
 担当者の指が背筋をなぞり、上から下へ、順々に背骨を探る。背中の真ん中から腰へ、そして尾てい骨へ手が下りて、担当者の手が尻たぶに微妙に触れた。
(いやぁぁ……)
 泣きたいほどの思いにかられながら、やっとの事で次に検査へ移っていく。

 地獄はここからだった。
 性病や痔などの疾患を確かめるため、さらには発育調査を行うため、今度は性器と肛門をくまなく調べ尽くされる。当然、そんな恥ずかしい部分を見る検査でさえ、関係のない大人達は『視察』のために着いて来る。
 診察室でパンツを脱ぎ、ユノは生まれたままの姿で診療台に横たわった。
 数人の白衣の医師が黙々と、あくまで仕事をこなしているにすぎない事務的な顔で全裸のユノを取り囲む。
「陰毛の生え具合は?」
「やや薄め、毛先は細く恥毛帯の面積は平均的です」
 一人がユノの性器に顔を近づけ、生え具合をまじまじと観察する。指で掻き分けるようにして毛の質感を調べ、その結果を聞いた記録者は静かにボールペンを走らせる。ペン先が紙を引っ掻く音が鼓膜をくすぐり、そして……。
「誰でしたかな? 剛毛に賭けるなどとおっしゃっていたのは」
「いやー……全く、予想が外れましたよ」
「ワタシは当たりましたがね。歳の頃を考えたら、ボーボー生えている方がヘンですから」
 ヒソヒソとした囁き声は、静寂に包まれた部屋の中で、やはりはっきりと聞こえてきた。彼らは何の配慮もなく、ユノにも全て聞こえているにも関わらず、ユノの体つきについて感想を述べ合い男の語らいに興じている。
「詳しく見させて頂きますので、脚を開いて手で持ち上げなさい」
「…………はい」
 消えそうなほど細い声で答え、脚を広げてユノは自分の膝を持ち上げる。ちょうど仰向けのままM字開脚を行い、それを天井に向けたような全ての恥部が見える姿勢に、ユノは堪えるように目を瞑った。
 卑猥な姿勢を維持するため、指示をされたからとはいえ、ユノは自ら膝を手で押さえて、全てを曝け出している状態なのだ。もちろんそんな気はないにせよ、アソコを見せてあげるかのようなポーズを自分が取っているだけでも恥ずかしさで気が狂う。
 ただでさえ、羞恥心で悶え死にしてもおかしくないほどの状態だというのに……。
「これはこれは」
「いやはや、毎年一番の楽しみですよ」
「鹿島ユノさんは特に可愛らしいですからね。しっかりと目に焼き付けておきましょう」
 遠慮ない視線の数々がユノの大事な部分に集約され、目という目に撫で回される。ただ見られているだけのことが、年頃の女の子にとっては拷問にも等しい苦行であった。
「縦筋の長さは?」
 一人の問いに、ユノの秘所へと定規がピタリと当てられる。
(や、やだ……)
 大事な部分に男の指が当たってきて、ユノは羞恥心に顔を歪めた悶絶の表情となる。
「〜センチ!」
 やはり数値は声高く発表され、割れ目の長さを書き取られる。
「恥丘の横の長さ」
「〜センチ!」
「陰核亀頭、小陰唇、膣口」
 中身を指で押し広げられ、サーモンピンクの肉ヒダに定規を当てられ、女性器の部位の数値を全て読み上げられた。
「それぞれ〜センチ、〜センチ、〜センチ!」
 あまりの耐えがたさに、既に耳まで赤くなっていたユノの顔は熱くなり、恥ずかしさ一つで風邪を引いた時の高熱にさえ達している。
(もう……! そんな情報どうするのよ!)
 さらに疾患がないかを視診され、そしてデジタルカメラを向けられる。レンズがアソコへ近づいていき、その撮影画面にはユノの女性器がアップで表示され、パシャリとシャッター音声が鳴らされる。
 発育調査のデータとして扱うのだろう。ぴったりと閉じた場合の性器と、テープで固定し中身を広げられた場合の性器と、二種類の写真をサンプルデータとして収められる。
(つ、次で最後……!)
 数々の検査を消化し、少なくとも終わりは近づいている。
 もうすぐ、解放される。
 それだけを救いにユノは自分の心を支えていた。
「では四つん這いになりなさい」
「……はい」
 ユノは身体をひっくり返す。
「尻は高くこちらへつき出し、胸と頭は下につけるようにしなさい」
 例えるなら「へ」の字のように尻は高く突き出され、背中を反るようにして上半身は低く保たれる。自然と尻肉の狭間が開き、乙女の尻すぼみが丸見えとなってしまう卑猥なポーズだ。
「肛門の直径」
「〜センチ」
 ある意味性器よりも恥ずかしい、排泄気孔にさえも定規は当てられる。
「皺の本数」
 指が菊皺をよりわけて、探るようにして本数を数え始めた。太い指で肛門に触れられて、羞恥心ばかりか猛烈な屈辱感までもがユノを襲う。拳を強く握り締め、もはや堪えることだけに必死になった。
(もうすぐ……もうすぐ終わるから!)
 ユノは強く自分に言い聞かせる。
「本数〜本!」
 何の意味を成すのかわからない記録も、当然のように書類に書きこまれる。
 残るは直腸診だ。
 肛門に疾患がないかを探るため、指を挿入して触診するのが直腸診である。ユノの蠢く尻穴に滑りを良くするためのゼリーが塗りたくられ、医師の中指が突き立てられ、ゆっくりと押し入るように根元まで入り込んだ。
「やはりいい光景ですね」
「どうです? 前の穴と後ろの穴では」
「ワタシは後ろが好みですね。こうして直腸を触診される姿が女の子には似合っていますよ」
「確かに」
 大人達はユノのそんな有様を見て、楽しげに談笑していた。
(……酷い。酷いよ……あの人達。あんな人達を入れる学校も……)
 ユノは肛門をほじくられる。指が左右にぐりぐり周り、肉壁を撫でるように直腸を探られる感触が如実に伝わる。
 ズルゥゥゥ……
 と、ゆっくりと指の先端ギリギリまで引き抜かれ、
 ズゥゥゥゥ……
 再び根元まで挿入される。

 ヌプッ、ヌプッ、

 指の出入りは繰り返され、中指の執拗なピストン運動がユノの肛門を虐めていた。それも横から、大人達から見えやすいよう、彼らの側から診察台の反対側に立って、見せつけるかのように触診している。
「おお、今回はサービスが良いですな」
「こうなると、これまで以上に学園への支援を考えませんとな」
 大人達の喋り声から、ユノは悟った。
 初めからそうだったが、ここに来て本当の意味でユノは見世物にされているのだ。今までただ検査風景を見られていただけだったのが、さらに一歩踏み出して、検査上必要のない肛門への指のピストンを披露している。
「ワタシはそろそろお手洗いへ……」
 大人達の中から、一人が抜け出す。
「おや、早いですな」
「全くです。最後まで見てからでも遅くはないでしょうに」
「まあ個室が混み合っては困りますからな」
「なるほど、それは確かに」
「はっはっはっはっは……」
 大人達は静かに、ユノの有様を見ながら笑い合っていた。
(酷い、酷い……)
 ユノの心は恥辱にまみれ、延々と肛門を弄られ続けた。

 そして……。

 長く長く、ピストン運動を繰り返され……。
 やっとのことで解放された鹿島ユノは、それから数時間は放心状態と成り果てていた。持ち直してまともに立ち上がれるまでに半日ほど、辱めの数々から立ち直って何事もなかったかのように振舞えるまでには一週間以上もの時間が必要だった。
 しかし、ユノはこの出来事を決して忘れたわけではない。
 入学式を終え、一通りの学校説明を受け、ジェノックにアラタとヒカルが転入し……。
 表面上、どこにでもいる明るい女の子のように振舞ってはいたものの、入学時に受けた検査の記憶は強烈なまでに身体に摺り付き残っていた。


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