うずめは毎朝痴漢に遭う


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 ひやっ、まただ!
 痴漢は大人しい子を狙うというけれど、うずめは毎朝のように電車でお尻を触られる。とびきり多い電車だから、勇気を出して告発しても、また別の痴漢に触られる。キリがないから、この電車を使う女の子はみんな諦めきっていた。
 スカート越しに撫でられて、うずめのお尻はじっくり揉まれる。窓に体が押し付けられているので、停車するまで逃げられない。いいように撫で回され、スカートの内側に手を入れられた。
 うぅっ、気持ち悪い……。
 だけどもうすぐ停まるから、そうしたら解放される。
 しかし、痴漢はその前にできるだけ楽しもうと考えたのだろう。パンツの中にまで手を入れて、うずめは直に尻肌を揉まれた。
 やだもう、最悪……。
 丹念に指を食い込まされ、停車までに肛門まで指でぐりぐり責められた。スカートから触られたことなら何度でもあったが、ここまでしてくる痴漢なんて始めてだ。
 ようやく停車し、電車を降りる。
『こら、うずめ!』
 バッグの中のデバイスから、ささらが怒鳴った。
「な、何?」
『何じゃない。あんな奴、きちんと駅員に突き出してやりなさい』
「……私だって、それくらいしたことあるよ? でもキリがないんだもん」
『そんな事言ってるから痴漢に遭うの。いい? これからお尻触られたら、そいつら全員しょっぴくぐらいでいきなさい。そんぐらい気が強ければ、そのうち狙われなくなんでしょ』
「そう、かなぁ?」
 本当にたくさんいるのに、一体何人突き出せば狙わないでもらえるのだろう。
『明日はちゃんとつき出すのよ』
「あ、うん」
 いつものクセで、つい安請け合いのように頷いてしまった。
 うずめのそういうところを、ささらには過去に一度指摘されていたはずなのに。

     *

 翌朝になって、うずめはやっぱり痴漢に遭う。
 今度は固い肉塊を押し付けられ、背後の男はお尻の割れ目に当てこすっている。初めは偶然を装って、偶々身体が背中に密着し、だけど満員で身動きが取れません。といった具合に過ぎなかったのが、男はしだいに大胆になってきた。
 どうしよう、ささらに言われたばかりだけど……。
 男は股間を擦り付けながら、胸まで揉んできた。あまりもの大胆すぎる痴漢の反抗に、うずめはやっぱり怖くて動けなくなってしまう。そして、男はそれをいい事に揉み尽くし、停車までの間にたっぷりとうずめの体を楽しんでいった。
 結局、突き出す勇気が出せなかった。
『うずめ! しゃきっとしなさい!』
 案の定、デバイスの中からささらが怒鳴る。
「う、うん。わかってるけど……」
『あのね。あそこまでされてるんだよ? キリがないなんて言ってる場合じゃないでしょ』
「それはそうだけど……」
『昨日の痴漢も、今日の奴も同じ人だったよ? あいつが特に何でもしてくるみたいだね』
「同じ人……?」

     *

 次の朝もお尻を触られ、手始めにスカートの上から撫でられた。そっと手の平でくすぐってくるような、優しげな手つきが痴漢のクセに憎らしい。混雑のせいだと言わんばかりにうずめの背中に抱き着いて、両手て包みこむように胸を揉む。
 本当にささらの言うとおりだ。
 やっぱり、キリがないなんて言っている場合じゃない。
 痴漢は硬い股間を擦り付けて、お尻の割れ目にフィットさせ、腰を揺さぶる。まるで挿入でもしているかのように、堂々とした腰振りで摩擦した。
 ここまでたっぷり触ってくる。
 ならばここは腹を決め、停車と同時に手首を掴んでやろう。
 うずめは覚悟を決めるものの、まだ駅から発車したばかりだ。停車までの間に胸は丹念に揉みこまれ、ついには下へ手を伸ばす。スカートの内側を捲りながら、指で秘所を刺激してきた。
 ひぃっ、嫌だ!
 大事な部分を愛撫され、スジまでなぞってきた。停車までなんて言っていられない。パンツの中に手を突っ込み、貝まで触る。太い指がねっとり這い、膣に押し入ろうとしてきている。
 そうだよ。もうこんなの我慢しちゃいけない。
 よーし、言うぞ。言うぞ……。
 うずめは勇気を振り絞り、そして――

『なんだ。ちゃんとやれば出来るじゃない』
 ささらは関心したように言ってくる。
「ささらの言う通りだったよ。あんまり調子に乗られないうちに、今度は早めに突き出すよ」

     *

 そう決めたのは良かったけど……。
 さわっ、
 と、やっぱり。
 あれだけ派手に手首を掴み上げ、「この人痴漢です!」と声を張り上げた翌日なのに、もう新しい痴漢が現れた。
 なんなの、なんなの!
 一体、あと何人くらい突き出せば済むっていうの?

 うずめの大変な朝は、中々終わりを告げそうになかった。




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