強すぎる男がいた話(キノレイプ)


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 そのテントの中で夜。
 キノは全裸でシーツに寝そべり、男の両手で体中をまさぐられていた。
 指先が触れるか触れないかのフェザータッチで、腰や腹を撫で回し、男はほとんど平べったい乳房を揉む。だいぶ控えめな膨らみなので、べったりと這わせるように包み込み、手の平全体に強弱をつける揉み方をしていた。
「アンタも筋は悪くなかった。その腕なら、そこらの野党にも山賊にも、なんなら軍人にだって負けることはないんじゃないか?」
「それはどうも」
 キノは淡々とした口調だが、頬は赤く染まっている。胸を揉まれることで身をよじり、少しだけ表情を歪めていた。
「どうだい? 俺の女にならないか」
「できれば、遠慮したいです」
 キノは男の誘いをきっぱり断る。
「ま、無理にとは言わないけどな。今夜は相手をしてもらうぜ?」
 男は特に残念がることはなく、ただ目の前の裸に夢中になった。胸を散々に揉みしだいたあげく乳首をつまみ、指先で転がすように苛め抜く。キノはその刺激に息を荒げ、だんだんと淫らな吐息を吐き始めていた。
「でもよかったじゃない」
 モトラドが喋る。
「よくないよ。エルメス」
「だって、普通は殺されてるよ? それを殺さずに、用が済んだらお金も食料も奪わないで逃がしてくれるっていうんだから、こんな親切な襲撃者は探しても見つからない」
「親切どころか。辱めを受けているんだけど……」
 キノは諦めきっていた。
 それほどまでに男が強かった上、勝ち目のない相手の口から、用が済んだら逃がしてやると言ってきたのだ。命あっての物種で、そうそう死にたいとも思わないキノは、非常に仕方なく男と一晩を共にすることとなったのだ。
「しっかし、強かったよな? お前さん」
「あなたこそ。最初に後ろに立たれていたのに、気配に全く気づきませんでした」
 乳首で感じながらキノは言う。
「俺だって素人じゃないからな」
「あなたが射程距離に入った時は、さすがにすぐに抜いたはずなんですが、ボクが撃つより先に、ボクのパースエイダーが手から弾き飛ばされていました」
 キノが口にするのは何時間も前の出来事だ。
「アンタは十分早かったよ」
「そうですか?」
「俺はガンマン同士が争う国に行ったことがあるんだが、そこの早抜きチャンピオンは目にも止まらぬ速さでリボルバーを抜き、一瞬にして相手を打ち抜く。これがまあ本当に早かったわけなんだが、アンタはそのチャンピオンの二倍か三倍くらいは強い。俺はさらにその上を行く早さだったわけだがな」
「うん! キノより速い人なんて初めてみた!」
「――んふっ――んっ、あぁぁ…………」
「キノのこんな声も初めて聞いた!」
「えっ、えるめす……あまり聞かないで……んん……!」
 男の巧みな指技で、キノの乳首は硬く突起している。それをつまんだり弾いたり、転がすようにしてくるので、キノはすっかり感じていた。
「しっかし、ナイフ型の銃が出てきた時は驚いた」
「んふぁ……! あっ、うん……弾をかわされたボクの方が……驚きましたが……」
「ひょっとして、前にも服を脱がされたことがあるのか? よかったら聞かせてくれ」
「そうですね。前に奴隷商人に騙されて、パースエイダーを突きつけられました。武器を捨てる要求をされたので、そのために何枚かの服を脱いで、途中で弾入りのナイフで撃ってその時はしのぎました」
「俺と同じだな。まあ、俺は弾に気づいて避けたんだが」
「あれは……。驚きました」
「そうか?」
「あなたが奴隷商人じゃないことは不幸中の幸いです。少し、我慢するだけですから――――んんっ――んぁ…………」
 キノは軽く髪を振り乱した。
「感じてきたか?」
「そういうわけでは……」
「ははーん。こういう経験は初めてだな?」
 男が勝ち誇ったように言うと、
「…………はい」
 キノは目を伏せながら頷いた。
「キスも、デートも、何もか?」
「……何も、です」
「そいつはいい。ファーストキスはもらうぜ?」
「……どうぞ」
 キノは悔しそうに答えた。
 男は両手でキノの顔を掴んで、自分の方を向かせてから、遠慮なく唇を重ねる。最初は押し付けるだけのキスだったが、男が舌を差し込もうとしてくるので、キノは仕方なく口を開いて受け入れる。
「んっ、んちゅっ、くちゅ――――」
 舌を絡め合うような激しいキスを行う。男が顔を引き離すと、二人の舌先のあいだからは、細い唾液の糸が引いていた。
 男は下の方へ手をやって、秘所の愛撫を開始する。
「――――――あふぅっ!」
 キノは喘いだ。
「どうだい?」
 男は上下にワレメを撫で、突起したクリトリスを刺激する。そのたびに声を上げ、髪を振り乱すキノを見て、男はだんだん楽しくなっていた。
「――んっ、んふぁっ」
 中指を挿入して出し入れすると、キノの膣口からは愛液が流れてくる。

 くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ――。

 初めは一本の指だけのピストン運動。
 しばらく慣らして、男は人差し指と中指を束ねた二本を挿入する。その出し入れにキノはよがって、喘ぎ声を漏らし続けた。
「あっ、あふぁ――ううっ、うぁぁ――はふぁぁっ、んあっ、あんっ――――」
「気持ち良くなったか?」
 男は勝ち誇った笑みを浮かべる。
「そんなことは……」
 キノはその表情から目を背けた。
「もうチンコ入れてもいいか?」
「……嫌ですけど」
「拒否権はない」
「それは残念です」
 男はキノの膣内に肉棒を挿入する。初めて受け入れたキノは、破瓜の痛みで顔を歪めて、脂汗をかきながら首でよがった。
「どうだ?」
 根元まで沈めた男は尋ねる。
「痛いです」
 キノはきっぱりと答えた。
「あーあ、キノの処女が……」
「初めてなら、まあ仕方がないか。我慢してくれ」
 そう言って、男は腰を動かし始めた。

 じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ――。

 ピストン運動で水音が鳴る。
「んっ、んんぅ…………」
 キノは自分の人差し指を折り曲げて、口に咥え、それを噛みながら堪えている。ギュッと締め付けるような刺激が、男にとっては快感で、男はじっくりと堪能していた。
「いい具合だ。これだから強い女は飽きないんだ」
「――あっ、あぁ……あなたは……いつもこういうことを?」
 喘ぎながらキノは尋ねた。
「ああ、俺は強い女とするのが好きだ。普通の女の子を口説いたり、親睦を深めて、お互いに愛情を育てていくより、戦う強い女を倒してものにする方が俺の趣味でね。手に入れた、征服したという達成感が一層強くなる」
「へえ! すごい趣味だ!」
 男が語ると、エルメスが感嘆の声を上げた。
「でも、ことが済んだら逃がすと言いましたよね」
「ああ、言ったとも」
「レイプされた恨みを晴らすため、ボクはあなたを追いかけて、なんとしても殺そうとするかもしれません」
「そうそう! もしかしたら、キノが今の百倍強くなって、怒りのあまりめちゃくちゃ残酷に殺しちゃうかもよ!」
「ところが、それこそが狙いなんだ」
「つ、っあぁ……つまり……?」
 こうしているあいだにも、キノの膣内に肉棒は出入りして、初めての痛みにとても顔を顰めている。男は気持ち良さそうに微笑んでいる。勝者と敗者の図式がそこにはあった。
「つまりだ。強くて、戦うことが出来て、しかも器量の良い女っていうのは、普通に探して見つかるもんでもない。レア中のレアだ。そう簡単に逃す手はないだろう?」
「そうですね」
「だから、勿体ないから殺しはしない。レア度の高い女を減らさない意味もあるし、中にはいつまでも恨みを抱えて、その手で俺を殺しにくる奴もいるはずだ。そうなったら、コッチのもので、もう一度そいつに買ってレイプする。悔しくてまた挑んでくる。レイプするっていう繰り返しさ」
「それは……あぁ……! うまく、いっているのですか?」
「上手くいったこともあるし、いかなかったこともある。なんたって、強いわけだから、こっちだって油断できない。しかも楽しむためには、体に余計な傷を残すのもまずい。対して向こうは俺をどんな風に殺しても構わないわけだから、不利ってもんじゃないよな」
「そこまでするぅ?」
 と、エルメスは尋ねる。
「当たり前だろ? 男っていうのはそういうもんだ。エロいことには命を賭ける。俺はそのために必死になって腕を磨いて、修羅場も潜った。人生最初にヤろうとした女は、この手で間違えて殺してしまった。二人目の女は怪我をさせちまって、血まみれの体ではとてもでないが勃つもんが勃たなかった。三人目からやっと願いは叶ったが、四人目がまた失敗。そうやって繰り返すうちに、やっとの思いで上手くヤれるようになってきた」
「上手い! 上手く戦った意味の『やれる』と、違う意味の『ヤれる』がかかっている!」
「エルメス。それは褒めなくていい……」
 キノはピストン運動によって揺らされている。
「ま、そういうわけで、今回はキノさんとセックスできた」
「大成功ってわけだね!」
「というわけで、五回は抜かせてもらう」
「うわー。大変だ。それでさ。どうしてそんな性癖になっちゃったのさ」
 もう、男と応対しているのはエルメスだけだ。
 肉棒の出入りが激しくなり、やがて快感もこみ上げて、乱れに乱れたキノには受け答えの余裕がない。
「――あぁ! あん! あっ、あふぁ! あ! はぁん!」
 キノらしからぬ声を上げているばかりである。
「小さい頃、すげー強い女を見た。町を襲った盗賊がいてな。町長が大金叩いて雇った凄腕なんだが、やたらハンサムな男と一緒にいたそいつは、俺の度肝を抜いちまった。俺は将来、こんな女とヤりたいと思うようになっていた。気がついたら今の性癖さ」
「へえ、それってもしかして……」
「なんだ? 知ってるのか?」
「いや、知らなーい!」
 この日、二人の性向は朝まで続いた。


「やっと終わったね。キノ」
「あぁ……腰が痛い……股が痛い……休む……」
「で、どうするの? 復讐する?」
「しない。二度と会いたくない」
「ま、その方がレイプ魔の目論見を満たさなくて済むものね」




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