暁美ほむらの羞恥検査


目次に戻る

 何度同じ時間を繰り返しても、この気持ちには慣れはしない。
 繰り返せば繰り返すほど、まるで蓄積されていくかのように、私の中の羞恥心は強く大きく育っていた。

「じゃあ、測るよー」

 パンツ一枚、身体測定。
 肌を晒した私の胸に、男の教師がメジャーを伸ばす。バストにぴったりと目盛りを添えて、数字を読むために顔を接近させていく。それは同時に、私の乳首のすぐ目の前に、男の顔がやってくるという意味でもあった。
「○○センチね」
 声に出して、読み上げられる。
 途端に私は真っ赤になった。
「〜〜〜〜〜っっっ!」
 自分の顔が今、どれだけ激しく歪んでいるのか。
 どんな赤面の色の濃さをしているのか。
 鏡なんてなくてもはっきりと想像できてしまうほど、私の表情は恥じらいのあまりに変形して、頬は強張り、唇は強く結ばれ歪んでいた。
 この測定を受けているのは私一人だ。
 学校での診断や測定は本来なら別の時期だけれど、転校生である私のために特別に予定を設定して、私一人を対象に測定が実施されている。
 しかも、女性教師が一人もいない。
 服装はパンツ一枚という決まりなのにだ。
 上手く都合がつかないとかで、男だけしかいない中で、私は薄紫の下着一枚という心細い姿にさせられている。服を着た男の担当者達に囲まれながら、私だけが裸で過ごす。
 恥ずかしいことこの上なかった。
 とても惨めだ。
 辛うじて平らでない、少しくらいは膨らんでいるこの胸や、腰のカーブの具合からお尻の丸みの形状まで、きっと全てが見られている。
 ここにいる男達は、私の周りを取り囲み、包囲してしまっているのだから……。
 逃げ場はない。
「ヒップは、と」
 男の手に持つメジャーによる測定を、私はただ無抵抗に受け入れるしかない。
「えーっとぉ?」
 わざとらしく、時間がかけられた。
 私一人だからなのだろう。
 他の生徒を測る必要がないから、さして時間に押される理由はなく、ゆっくりと私の体を調べられる。
「ここかな? いや、この辺か……」
 ちょうど良い目盛りの合わせ方を探るため、お尻に巻いたメジャーを締めては緩め、締めては緩め、そのたびに指で下着の表面をなぞったりして遊んでいる。
 耐えるためだけに、私は歯を食いしばった。
 男の顔が、私の下着の目の前なのだ。
「……うーん」
 ショーツの秘所のすぐ前で、いつまで立っても目盛りの合わせ方に苦戦して、さも納得いかないような顔をする。
「どの辺かなぁ」
「……!」
 ショーツの上に指を置き、さも目盛りの合わせ位置を判定するかのように、すりすりと撫で始めた。
「ここか? いや、もうちょい下か」
 太い指先がショーツ越しに皮膚を押し付け、なぞってくる感触が、ショーツの手前のあらゆる位置を移動する。やがて大事な部分にまで接近してきて、今にソコに触られるのではと思って緊張した。
 フロントリボンの下へ置かれた指が、ずりずりと下へ下へと降りていき、秘密の領域に入りかけ――。
「よし、後ろだな」
 思いついたように背後へ回られ、私は少しホッとする。
 けれども、今度はお尻を触ってくるのだ。
「うーん。どうかなぁ」
 私の尻たぶにプニっと指を押し付けて、まるで作業の点検のようにポイントを探って撫でまわす。右の尻たぶを指がぐるぐると何周も周り続けて、左の尻へと指は移る。左右共々私のお尻は触られて、尾てい骨の部分まで上下にさすった。
「ここだな」
 ようやく、目盛りの合わせ位置を確定して、メジャーがお尻に巻きつけられる。
 やはり、締めては緩め、締めては緩めを繰り返され、私はその微妙な圧迫を感じることに。そして、お尻の後ろからは、メジャーの紐が食い込む、プニっとしたお尻の肉を散々に拝みつくされ、やっとのことで数字を声で読まれるのだ。
「○○センチ」
「くっ…………」
 声に出されるのは、やはり恥ずかしかった。

     †

 時間を繰り返せば繰り返すほど、私は同じ時間をやり直す最初の地点で恥ずかしい思いをする。
 決して、慣れない。
 これだけ何度も見られ続けて、セクハラまで受けていれば、いい加減にもっと平然と恥らうことなくやり過ごせるものではないかと思うのだけれど、どうしても慣れきってしまうことができないのだ。
 繰り返せば繰り返すほど、どんどん恥ずかしくなってくる。
 やられることは同じなのに、ループのたびに感情は蓄積され、私の中の羞恥心は成長している。まるで私の中には恥じらいという名の生き物がいて、ここでの出来事をエサに、どんどん大きくなっているかのような感じがするのだ。
 今ではもう、脱がなくても恥ずかしい。
 服の上から胸を見られたり、男子が私のスカートの中身を意識してくるだけでも、たちまち顔面が染まってしまう。
 表向きには感情など封殺して、無表情を装えるからいいのだけれど。
 仮面に過ぎない無感情の裏では、例えば体育の時間にブルマを履いて、太ももやお尻の形が出るだけでも、本当は真っ赤に染まっている。男女別の際はまだいいが、男子の視線を受ける機会があろうものなら、私の心はたちまち恥じらいで焼き尽くされる。
 隠しているに過ぎない。
 心の仮面で赤面の色すら隠して、冷たい装いであらゆる日常をやり過ごしているに過ぎないのだ。

     †

 一度目はまだ良かった。
 別に本当は良くなんてないのだけれど、今のこの状態と比べるなら、遥かにマシだったように思う。
 まだ魔法少女の存在さえ知らなかった頃――。
「測定はパンツ一枚で行うんですよ」
「え? それってあの、冗談とかじゃなくて。本当にですか?」
「冗談なんかじゃないよ。ちゃんと理由もあって、説明もあるんだけど、聞くかい?」
「あ、はい。一応……」
 私は完全に戸惑っていた。
 この時の私は、先生は本当はセクハラめいた冗談を言っているだけで、測定くらい普通にやるのではないかと思っていた。
 しかし、実施当日――。
「では脱いで下さい」
 実際にそう言われ、脱衣を強要されたのは衝撃だった。
 考えてみれば、この時の衝撃だけは、時間を重ねるごとに薄らいでいるかもしれない。下着一枚になるなんて、私にとってはとっくに承知の事実になるから、それ自体に対して、驚きなんて感情は沸いて来ない。
 あるとすれば……。
 また同じ思いをするんだという恥じらいの予感。
 そういえば、これに耐えるんだったという諦め。
 私が時間を巻き戻す理由は、一重にまどかのためだから、巻き戻しを行う際は夢中でそんな事は忘れている。恥ずかしいだのそんな理由で目的は捨てられないから、例え下着一枚にさせられようと、躊躇いなく戻してみせたこともあった。少しは重い気持ちになりながらも、それでも戻したこともある。
 いずれにせよ、それを理由に巻き戻しをやめたことは一度もない。行うべき判断は、もう戻さなくては駄目なのか。手立ては残っていないのかどうか。それだけだ。
 今の私には覚悟がある。
 どんなに羞恥心が成長しても、覚悟のある私なら耐えられる。
 こう考えると、一回目の頃が本当にマシといえたのか。確かに恥じらいの蓄積する前とはいえ、覚悟の無かった頃の何も知らない当時の私が、わけもわからずいきなり脱がされる羽目になったのだ。
 マシだったかどうか。
 考えてみると、微妙なラインだ。
 ともかく、不安に震えながら服を脱ぎ、男達の前でガチガチに固まりながら、私は測定を受けたのだ。
 こんな心細い格好で、腕で胸元を守りながら、視力検査を受けた。
 内科検診でも、この格好で聴診器を当てられた。
 レントゲン車への移動もこの格好で、誰に見られやしないかとビクビクしながら、先生達に廊下を移動させられて、レントゲン撮影を行った。
 耳鼻科検診も、眼科検診も、全て同じ格好だった。
 どこに脱ぐ必要があったのかという疑問と、抗えないことへの諦めと、恥ずかしさに震え続けた。
 そして、スリーサイズの測定では測定者からのセクハラ的なタッチを受け、不快で恥ずかしい思いをたっぷりして、泣きそうになりながら全てを終えた。

     †

 二回目の時は胸を揉まれた。
「はい。気をつけして、動かないでねー」
 身長計で背筋を伸ばす際、両手を横に垂らして真っ直ぐにならないといけないから、どうしても腕で体を隠せない。全てが視線に晒される。
 その時にだ。
 その先生は私のお腹に手を当てて、私の体を身長計に対して押し付けるような素振りをする。
 自然な行為を装ったセクハラ。
 先生はお腹にべったりと当てた手をスライドさせ、当時の私がまだ気の弱い子だったのをいいことに――。

 ――もみっ、

 乳房まで手を運んだ。
「――え?」
 一瞬、困惑。
 そして、すぐに自分が何をされているのかに気づいて、怖くなって全身が強張った。
 さも平然と、普通の仕事しかしていないような顔をしながら、その先生は堂々と私の胸を揉んでくる。そう膨らみなんてありはしないのに、平面を申し訳程度に突起させたぐらいのサイズを掴んだまま離さない。
「あっ、あの……」
 声を上げても、まだそう強くはなかった私の声では何の威嚇は牽制にもならず、無視された。
 片手ではバーを下げつつも、私の乳房は始終男の手の温もりに包み込まれて、揉むように動いてくる指の踊りを感じ続けなくてはならなかった。

     †

 毎回、必ず裸にされ、セクハラされる点は変わらない。
 けれども、そのセクハラ行為の内容は時間を巻き戻すたびに変化して、三回目の時は乳首をつつかれた。
 身長計の際に、人差し指の先でツンツンと。確かめるかのように弾いてくる。姿勢を真っ直ぐ保つように言われた私は、気をつけの姿勢のまま、ただ耐えるしかない。
 四回目の時は腰のくびれをまさぐられた。
「はい、しっかり背中つけてねー」
 同じく身長計の際、まるで正しい測定を目的として、私の立ち位置を調整するためであるかのように、私の両腰を掴んで左右の手で上下に撫でる。その不快さに全身がゾワゾワして、鳥肌が立つかのようだった。
 下着を直されたこともある。
 ヒップにメジャーをまわす際、またしても目盛りの位置を探るかのようにぺたぺた触って、私のお尻の肉をつまんだり、つついたり、お尻へのセクハラに腐心する。
 その時にゴムに指を入れられて、パツンと直された。

     †

 慣れることはなく、繰り返すたびに恥ずかしく思えてくる。
 たったの下着一枚で数人以上いる男の前に出るだけでも、確かに死にそうなほど恥ずかしくなるのだけれど、例えるなら見られる相手が増えている気分がする。実際の人数は変わらないけど、同じ時間に戻るたびに一人二人とまた増えて、裸を見られる相手がどんどん増殖しているような、そういう心地がしてくるのだ。
 一度目や二度目は、普通に裸が恥ずかしかった。
 三回目や四回目あたりから、その見られる相手が増えているような気分を味わい、いっそ十人や二十人ぐらいに囲まれているぐらいの気持ちになでなってくる。
 耐えることはできる。
 羞恥心そのものは膨らんでいても、同時に打たれ強さも身について、どんな苦痛にも耐え抜けるような心の頑丈さが出来上がっている感じがあった。
 だから私は平静を装えるし、このことを理由にまどかを諦めるつもりが到底なかったから、必要とあらば同じ時間を何度だって繰り返した。
 やがて服の上から胸を見られるのも恥ずかしくなって、スカート丈が過剰に気になるようにもなり、挙句の果てには男子の普通の視線すら浴びたくないほど過敏になっても、繰り返して、繰り返して、繰り返し続けた。

 そして、まどかが世界を書き換えて――。


     †


 ギョウチュウ検査。
 尿検査。

 項目が増えていた。
 まどか……?
 いや、まさかだ。
 しかし、今までは存在しなかったはずの項目で、ごく当たり前のように実施され、世界の誰もこのことに疑問を抱いていないらしいことだけは確かだった。

 私は今でも、何もいやらしくない単なる視線すら気になって、男子に注目でも浴びようものなら、それこそ人前で全裸になっているような恥じらいがどこからともなく沸いてくる。本当なら日常生活に支障をきたしかねない状態に私はいる。
 ほんの少し気が緩めば、それだけで顔の色が変わってしまう。
 単なる男子が気になるせいで、特に何も恥ずかしいことなどないはずでも、私は赤面しかねない。
 そういう状態だというのに、まさかとは思うけれど……。
 私の予感は当たっていた。

「では、四つん這いになってねー」

 その当日。
 やはり下着一枚で測定を受けた私は、それこそ死ぬ思いにかられて過ごしていた。いるのはたった数人なのに、まるで何百人もの男の視線が寄り集まって、同時に私を視姦してきているような、恐ろしいほどの恥ずかしさという責め苦を受けた。
 この部屋の空気自体、私の肌を焼き尽くすように思えた。
 いっそ死にたいほどの苦痛で全身を切り刻まれ、ただ立っているだけで拷問を受けている気分になるほど、狂気的な羞恥心が私の胸で暴れまわって、この私を苦しめる。
 全ての視線が針刺しの拷問のように痛くて、恥ずかしいだけの理由で本当に死ぬような気がして、それでも死の羞恥心の中を生かされている。
 そんな状態で四つん這い。
 ポーズを取り、男に尻を振り上げる。
 それだけでも視線という名の針刺しが苦痛を増して、痛みのあまりに逆にそろそろ感覚を失う気がした。
 そう、私は身も心もそういう状態。
 視線一つを本当の針のように感じて、錯覚というより肉体的に何かを感じてしまうほど、過剰すぎるほど過剰な状態……。
 その私に対して、これからギョウチュウ検査が行われる。
 教師が女子生徒のお尻に向かって、シートをぺたりと押し付けるのだ。
「じゃあ、始めるよー」
 私の下着に手がかけられ、心臓を握られた心地がした。あるいは銃口でも向けられて、生殺与奪を握られたに等しい気分が私を襲う。
「じっとしててねー」
 するり、と。
 下着が剥かれて、お尻が人前に曝け出される。

「――――――――――――――――――――っぅぅぅ!」

 顔が潰れんばかりに、私はベッドに顔を埋め込んだ。極限まで表情を歪め込み、これ以上の変形などありえないほど、羞恥の色を最大まで顔に浮かべる、それでも顔の筋肉を使い足りないかのように、私の表情筋肉全てがピクピク震えて痙攣していた。
 お尻の肌が熱くて痛い。
 いっそ炎で炙られているのかと思うほど、私のお尻は熱く熱く燃え盛って、もしかしたら白いはずのお尻の肌も、真っ赤に染まり上がっているかもしれなかった。
「――っ、つはぁ――はぁ――はぁぁ――」
 私は過呼吸のようになっていた。
 異常なほどに肺が活動して、まるで身体に備わる機能が、この私の異常事態に警報を鳴らして思えた。
「おいおい、大丈夫? ほむらちゃん」
「………………問題ないわ」
 やらなければ終わらない。
「ま、早くやっちゃおうか」
 私の背後でギョウチュウ用のシートが用意され、肛門へ押し付けるための粘着部分が迫ってくる。
 そして、その様子を他の教師達がこぞって眺めている。
 それらの気配をありありと感じて――。

 ぺたり。

「――――――――――――――――――――――――っ!」

 声にならない心の悲鳴が顔から上がった。
 粘着力を帯びたプラスチックシートの、セロテープにも似た感触が肛門に接触して、男の指がそれをグリグリ押し付ける。全ての感触が如実に感じ取れて、お尻を差し出しながらそんな行為を受ける自分自身の姿がイメージできて、私は羞恥心だけで正気を失う寸前のようになっていた。

 ぐり、ぐり、ぐり、ぐり……

 押し付けられる感触が、この状況が、まるで私の人格も何もかも否定されて感じた。今まで同じ時間を繰り返してきた行動さえも、足蹴にされてツバでも吐きかけられているような、最悪な侮辱と否定を受けている心地でいっぱいになった。
 ただ、押し付けられているだけではない。

 もみっ、

 その男は余った片手を利用して、私のお尻を鷲掴みにして揉んでいるのだ。
 手の平から伝わる男の体温と、揉むために食い込んでくる指の感触が、全て私に染み込んでくる。可愛がるように撫でまでされて、もう死んでしまうような予感がした。

 ぐり、ぐり、ぐり、ぐり……

 いっそ、私は既に死んでいて、死んでもなお羞恥心に苦しめ続けられる気分だ。
 もう、私にまともな思考はない。
 恥ずかしさという名の火にかけられ、私の脳みそはドロドロに溶けて沸騰している。

 ぐり、ぐり、ぐり、ぐり……

 沸騰して、蒸発する。
 その頭の感覚が、終わり無しで繰り返される。

 ぺりっ、

 やっと剥がされた。
 その直後だ。
「しっかし、綺麗な肛門だねー」
 私にギョウチュウ検査を行ったその男が、さも世間話のように言い出して、すると他の面々もこぞって私のお尻の穴を覗き始めるのだ。
「ほんと、清潔にしてあるねー。関心しちゃうよ」
「あんまり黒ずんでないのか」
「ヒクヒク動いてるねー」
「うんうん」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!」

「お? 急に皺が引き締まったぞ」
「どうしちゃったのかな? いきなり閉じたりして」
「恥ずかしいのかなー」

 ツンツン、

 まるで玩具で遊ぶような気持ちで、私のお尻の穴はつつかれた。

 ツンツン、

 検査の終わった余りの時間が、丸々と視姦やイタズラに使われて、私はこのポーズで過ごし続けた。
 ずっと、ずっと。
 他人にお尻を差し出すようなこの姿勢で、丸見えの肛門を観察され尽くした。

     †

 ジョロロロロロロロロロロロロロ――

 尿検査。
 私は足を肩幅に開いて、股に添えられた容器に向かって、人前で放尿している。
 ショーツは脱がされ、丸裸。
 頭の後ろに両手を組み、胸も隠せない姿勢のまま、ジョロジョロと放尿の水音を立てている。

 ジョロロロロロロロロロロロロロ――

 私はある意味正気じゃない。
 きっと、ただ指示に従うだけの人形のようになっている。

 ジョォォォォォオオオオ――

 こんな姿を見られる気持ちは、顔から火が出るという表現だけでは到底足りない。全身が灰になり、燃えかすだけが残ってもなお、炎がその灰を焼き続けている。それほどの言い回しをもってしても、まだ生温い。
 まさに、私は地獄を体験していた。

 ジョオオオオオオオオ……

「よく出るねー」
「もう十分なのに」

 比喩というよりはもう、もし地獄が存在したら、なるほどこれほど恐ろしい苦痛の責めが待っているのか。と、もう体験した気分にすらなってしまう。
 この尿が切れた私は、もちろん教師の手でアソコを拭かれた。
 人間が人にトイレの世話をされるなど、一体何歳児までの話だったか。
 紙がアソコの水滴を吸い取る様まで、必要もないのに、敏感に感じ取れてしまった。


     †


 私は書き換える事を試みた。
 その後、一度はまどかの救済を受けかけた私は、その力を利用して悪魔となり、世界の書き換えを行った。
 その際、私が体験した以上の身体検査を世界の常識として組み込んで、まどか達にも恥ずかしい思いをしてもらおうと思いついたのだ。
 何人もがそれを常識の概念として捉えるので、疑問を抱いたり抗議を行う人などいない。いても、そちらが少数派で、この常識は覆らない。
 さあ、まどか。
 次はあなたの番よ。




目次に戻る

inserted by FC2 system