淫体実験-サラ


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 1994年――。
 その時代、地球は『スペースマフィア』による侵略に脅かされていた。エイリアン達は人間の肉体を乗っ取る『インヴェード』という能力を有しており、社会の大半に気付かれることなく侵略活動を行っている。
 そんな侵略者達と戦うのが『ブルースワット』だ。
 インヴェードされた人間とそうでない人間は、外見からは判断できない。ブルースワットはエイリアンの絡んでいそうな情報を収集し、その都度調査を行うことで、インヴェードされた人間を特定していくのだ。

 ――ここね。

 美杉沙羅――通称サラが乗り込んだのは、エイリアン潜伏の疑い有りと判断された研究所の中である。両手に指貫のグローブを嵌め、ブルーの隊服を着用したサラは、施設内の廊下を突き進んで、とある一室に潜入。
 戦闘時はこの現在の服装の上にプロテクターを装着して、ヘルメットを被るのだが、まだエイリアンの存在が確定していない今は、素顔を出した状態だ。
「やっぱりだわ」
 机に置かれた書類を見て、サラの中にあった疑惑は確信に変わった。
 情報の子細はこうだ。
 あるおり、治験のバイト広告が出されており、数日の入院を要する薬品の実験と引き換えに、被験者達には相応の報酬が支払われた。単なる治験であれば珍しくも何ともないが、それが女性限定であっただけでなく、狙い済ましたように美人だけが集められ、ルックスの水準が一定よりも低い応募者は総じて面接から落とされている。
 そして、治験から戻った女はやがて大金持ちになっており、調べてみれば政治家や大企業のエリートといった立場の大きい男と寝ているのだ。
 全員、一人も漏れず、権力者などの愛人となっていた。
 これはおかしい。
 直ちに捜査を行うこととなったのだが、治験会場となる研究所は複数に分散されており、効率の問題で潜入は手分けして行った。ショウとシグは今頃別の研究所にいるはずで、サラも単身この場所に潜っている。
 かくして、一枚の書類から確信を得た。
「媚薬の研究。なるほどね」
 エイリアンの目的は地球の征服であり、地球人はなるべく隷属化させようと考えている。このため大規模な破壊活動は行わず、隠密な作戦や人体への実験行為が多い。
 つまり、これは媚薬による女の支配だ。
 さらに書類に目を通せば、淫乱に堕ちた女を教育して、あらゆる男を虜にして骨抜きにする魔性の女を育て上げる計画についても記されている。媚薬の力で、男と交わらなくては生きていけない女を増やす一方で、淫らな女を使った色仕掛けにより、立場の大きい男達を思い通りに操ろうとする魂胆だ。
 ――当たりだ。
 直ちに仲間に連絡を入れようとしたサラは――

 きゅぅぅぅぅぅぅ――。

 突如として引き締まる下腹部へと、思わず両手をやっていた。
「――なっ、何!? 一体」
 秘所が、熱い。
 まるで熱を溜め込んだ湯の表面が、やがて泡を吹き上げ沸騰していきように、サラの女の部分は疼きを上げ、膣壁が収縮を繰り返す。隊服ズボンの内側――そのさらに内側にあるショーツには、すぐにでも愛液が染み込み始めていた。
「おかしい。急に体が……!」
 膝を内側に寄せ、太ももを引き締めながら、アソコを両手で押さえている。それはトイレに行きたくなった小さな子供が、必死になってオシッコを我慢している姿と同じであった。
「あっ! くぅぅぅ!」
 淫らな喘ぎが口から漏れ、サラは唇を片手で塞ぐ。
 一体、何が起こっているのか。
 どうして、急に身体に変化が起こったのか。

「どうですかな? 媚薬のガスは」

 男の声が聞こえると同時である。
 尻が、触られていた。
 真っ直ぐに五指を伸ばした手の平が、くの字に折れたサラの尻へと張り付いて、さわさわと優しく撫でている。いつの間にか背後を取られていた衝撃と、しかもお尻を撫でられている事実にサラは大きく目を見開き、ゆっくりとドアの方向へと目をやった。
 開いている。
 この男は普通にドアを開けて入ってきて、普通に背後へ忍び寄り、声をかけつつ尻にタッチを行ったのだ。
 そんなことに気付く余裕がなくなるほど、サラの身体は異常をきたしていた。

 さわっ、さわっ、

 繊維の表面を優しく撫でていくような、触れるか触れないかといったタッチの手の平は、まずは左の尻たぶをぐるりと一周撫で回し、そして左の尻たぶへ移っていく。布地を介する摩擦は皮膚をじわじわと心地良く粟立たせ、尻肌を快感に染め上げていた。
 サラは数秒、動けなかった。
 あらゆる事柄に対するショックが同時に重なり、しかも普通にドアを開けて入ってきただけの気配すら察せなかった衝撃は、実に十秒近く――生死の危険が絡む状況下としては、あまりにも長時間、サラは動くことができなかった。
 その間ずっと、男はお尻を可愛がり、全体をまんべんなく撫で回していた。
「なにするのよ!」
 やっとのことでサラは、思い出したように怒りに声を荒げて、勢いよく振り向くと同時に回し蹴りを放っていた。いつもの鋭いスイングなら、いとも簡単に足の甲で側頭部を打ち、常人であれば一撃で気絶させるはずだった。
 そう、いつもなら……。
 今の蹴りなど、腰の回転からしてキレが悪く、上段へ膝が真っ直ぐ伸びるはずのキックも、だらしなく曲がっている。足全体のスイングスピードも非常に遅い。格闘術に長けているはずのサラの蹴りは、この状態では素人並みのものと化していた。
 白衣姿の男は片腕を盾として、いとも簡単に受け止めてしまった。
「天井から、透明ガスが出るようになっていましてねぇ?」
「まさか媚薬のガス!?」
「ええ、そうです。もうあなたはいつもの力を発揮できないんですよ」
「そんな……!」
 それが嘘であって欲しいかのような、必死の思いでパンチを放てば、やはり踏み込みも肘の伸ばしもキレが悪い。拳速の緩い一撃は攻撃とすら呼べず、男はあっさりと拳を鷲掴みにしてしまった。
 反撃であるかのように、男はもう片方の腕を秘所へ向かわせ、指で縦筋をなぞり上げる。
「ひゃん!」
 喘ぎ声を上げたサラは、一メートル以上も後方へと、勢いよく後ずさった。
「さあ、どうしました? 私はエイリアンですよ?」
 さも攻撃してみろと言わんばかりに、男は両腕を広げて迫っていく。
「――くっ、くぅ!」
 サラはなんとか格闘戦を試みるが、秘所の激しい疼きで腰に力が入らない。つまり格闘の基礎となる腰の回転が、あまりにも甘いものとなる上に、手足自体からも力が抜け、まともな打撃は一つとして繰り出せない。
 そして、男は痴漢やセクハラじみた反撃ばかりを行っている。胸を揉み、腰を撫で、尻へのタッチを行う一つ一つが、さも深刻なダメージであるかのように喘ぎを漏らさせ、サラはいつしか膝をつく。
 立ちたくても、身体に力が入らない。
 こうなれば、あとは男の思い通りである。簡単に押し倒し、ブルージャケットを介した胸を揉む。サラは男を押しのけようと抵抗するが、さして抵抗になるほどの力は入っていない。必要があればその都度手首を床に押し付け、ファスナーへと手をかける。
「ほほーう」
 ジャケットの前を左右に開き、内側のシャツを持ち上げることで、サラの生乳房を視線の元に暴き出す。エイリアンにも性的趣向は様々であり、半脱ぎを好んだこの男は、隊服の全てを脱がすことはしなかった。
「くぅ……!」
 隠そうと腕を動かしたなら、やはり両腕とも手首を掴まれ、抵抗は無駄だということを繰り返し教え込まれる。
 乳肌が直接、手の平に包まれた。
「あぁぁぁ……!」
 生の乳揉みが始まったというだけで、サラは低い喘ぎ声を搾り出していた。揉みしだいてくる手をどけてやりたいとばかりに、サラは男の両手首を掴むのだが、どかすに至る力など到底入りはしない。
 抵抗しているのにも関係なく、乳揉みは続行されるばかりだ。
「ほれ」
 乳首をつまむ。
「んんんんんんんんん!」
 電流でも走ったように、サラはビクンと肩を弾ませ、髪を左右に振り乱した。
「うん。媚薬ガスの効果は素晴らしい」
 こねて、弾いての刺激は乳腺から雷を走らせて、何度も背筋が反り返る。口に含んで舌先で舐め込むと、サラはより一層の喘ぎ声を上げて身悶えする。男の後頭部の髪を鷲掴みに、引っ張ることで引き離そうとするも意味はなく、乳首は唾液濡れになっていく。
「やめて……!」
「初めから実験だったんですよ。あなたのね」
「そんな……どういうこと……!」
「あなたみたいにね。潜入してくる女性を封殺できるか。その実証テストのためにあえて潜入して頂いたんです。お仲間は今頃遠くの別の研究所で、我々エイリアンの仲間に苦戦している頃でしょうなぁ?」
「――まさか! 全て罠だったの!?」
「ええ、罠も罠。とてもエッチな罠ですよ?」
 そう言って男は、サラの腰を持ち上げる。まんぐり返しだ。ズボン越しとはいえ、もしも全裸であればアソコも肛門も含めて全ての恥部が鑑賞可能となる姿勢は、それだけで屈辱的で恥ずかしい。

 ――悔しい!

 サラの視点から見えるのは、自分自身の股がM字に開いた向こう側にある男の顔だ。いかにも勝ち誇った表情を浮べながら、実に楽しげに秘所の愛撫を行っている。
「――んっ! くっ……くふぅ……ふぁぁ……!」
 稲妻のような刺激が走り、こんな卑怯者の手でよがってしまう。自分の肉体が、侵略者の思い通りに反応している事実は、サラの悔しさに一層拍車をかけていた。

 ――力さえ! 力さえ出れば……!

 媚薬のせいで一切の調子が発揮できないのだ。
 少なくとも、本来の格闘術さえ振るえれば、こうも一方的にやられることはない。一般男性など簡単にねじ伏せる実力があるだけに、だからこそ何も出来ずに女としての辱めを受けているしかない歯がゆさは、途方もなく膨らんでいた。
「ほーら、脱ぎ脱ぎしますよぉ?」
 猫なで声を上げる男は、サラのベルトを外し始める。
 つまり――。
 これから、何をされるのか。
「いっ、嫌! 嫌よ! そんなの!」
 これ以上の辱めに恐怖を覚えたサラは、声を荒げて身をよじる。抵抗しようとベルトから吊り下げてある銃に手を伸ばすが、武器の使用など許してもらえるはずもなく、手首を捕まえることで封じられた挙句に、取り上げられて部屋の片隅へ投げ捨てられる。

 ――そんな……!

 手足に力の入らないサラにとって、ただ引き金を引くだけで威力を発揮する銃こそが、最も頼りになるものだった。もちろんインヴェードされた人間の肉体に罪はなく、あくまでも入り込んでいるエイリアンが問題なのだが、せめて威嚇や脅しの効果はあるはずだった。
 それが、遠くへ行ってしまう。
 届くはずもない銃へと、サラは思わず手を伸ばしていたが、そんな挙動に何の意味もあるはずがなかった。
「いけませんねぇ? これはお仕置きですよ?」
 男は片膝を立て、その上にサラを乗せる。四つん這いと変わりのないポーズで、頭と胸は床へ向かって低くなり、尻だけが高々と掲げられた。
 そして、半脱ぎ好みである男は、ズボンを途中まで――太ももの付け根あたりに下げた。
 尻がつるりと剥き出しとなり、艶やかな素肌が蛍光灯の光を反射して、剥き卵のような輝きを放っている。ぐっしょりと濡れていたショーツと、愛液を漏らす秘所のあいだには、随分と太めな透明の糸が伸びていた。

 ペン!

 肉肌を打つ音が、天井に鳴り響いた。
「――そ、そんなことを!?」
 信じられない気持ちで目を丸めるサラ。
 男の腕は容赦なく振り上げられ――

 ペン! ペン! ペン!

 皮膚の表面がピリピリと痺れるような、腫れぼったい痛みが尻に広がる。ほんのりと赤らんだ肌は、赤と白の入り交じった桃の果実ともいえる色彩を浮べており、

 ペン! ペン! ペン!

 打たれるたびにプルプルと、軽やかでかつ小刻みな振動を披露していた。
「くぅっ! くぅぅぅぅ!」
 強く、本当に強く、サラは歯を噛み締めていた。噛み締めた音が軋み、歯茎に最大限の負担がかかるほど、顎は屈辱で力んでいる。表情も極限まで強張り、手の平には握り締めた拳の爪が食い込んで、指貫グローブがなければ間違いなく皮膚に傷がついていた。

 ペン! ペン! ペン!
 ペン! ペン! ペン!

 ――く、悔しすぎる!

 ペン! ペン! ペン!
 ペン! ペン! ペン!
 ペン! ペン! ペン!

 こんな仕打ちに耐えているしかない。
 それは今この男と、サラ自身の優劣が――こんな風に扱われるしかない自分の状況が、尻肌に広がるピリッとした痛みによって証明されているに他ならない。お尻を叩くなどという変態プレイのために自己を貶められるのは、もはや悔しいなどという言葉一つで表現するには軽すぎた。
 この男を――否、男にインヴェードしているエイリアンを倒さなければ、もはや踏みにじられたプライドは取り返せない。
 だが、今のサラにはそれができない。

 ペン! ペン! ペン!
 ペン! ペン! ペン!
 ペン! ペン! ペン!

 この尻に広がるヒリヒリとした感覚と、じわりと広がる赤らみの痺れが、今のサラの無力さを残酷なまでに証明している。
 痛みどころか、秘所はヒクヒクと喜んでさえいた。
 もちろん媚薬のせいなのだが、こんな男のこんな変態プレイのせいで、不本意な快感を与えられている。
 気持ちいいことそれ自体が、また屈辱だった。
「うぅぅ……」
 サラに許されていることといったら、あとは全ての感情を涙に変え、頬を通じて流すことだけである。
「さて、お仕置きはこの辺りにして――」
 男は腰を抱きかかえ、テーブルへと運んでいく。上半身を上に乗せ、尻を突き出す形となったサラの秘所には、勃起した逸物の先端が押し当てられた。
「嫌っ! それだけは!」
 サラは必死に尻を振り、挿れられまいとするのだが、そんな光景は男にとって最高のエッセンスに他ならない。
「そんなにお尻をフリフリしちゃって」
「んな――」
 抵抗する行為自体が、丸出しの尻を振りたくる恥ずかしい行動だと指摘され、かといってそうしなければ男の挿入を許してしまう。唇を噛み締めて、羞恥に濡れた表情で、サラは挿入から逃れるために尻を動かす。
「ほーら、もっと激しく振らないと! すぐにチンポが入っちゃいますよぉ?」
 煽るような男の言葉。
 男は腰を両手で押さえつけ、亀頭を入り口に押し付ける。まともに力の入らないサラへの挿入など、その気になれば簡単なのだが、男はわざと手を抜いて遊んでいた。
「嫌ァ!」
 勢いよく左右に動き、振りたくられる有様は、お尻を使ったジェスチャーで「嫌よ嫌よ」と伝えて見える。
「ほーれ、ツンツン」
 男は楽しげに、肛門をつついた。
「嫌ッ! そんなッ!」
 尻の穴への悪戯ほど、乙女心ある女性をより傷つけるものはない。いや、乙女心のあるなしなど別にしても、より一層の屈辱は間違いなかった。
「ほれ、ツンツン」
 人差し指の腹が、肛門をノックする。
「……や、やめてェ!」
 媚薬で疼く肌に対して、全てが刺激となっていた。
 肛門をつつくのも、膣口に入ろうとしてくる亀頭の摩擦も、腰を掴んでいる両手でさえ皮膚に甘い痺れを走らせて、下腹部をますます熱く疼かせている。

「さて、もう挿入しちゃいましょうか」
「――――ひっ!」

 一瞬だった。
 わざと力をだらりと抜き、尻を振り回す抵抗を許していた男は、思い至ったようにがっしり掴んで、あとは抵抗する間もなく一瞬にして根元まで押し込んでいた。
「あああぁぁぁぁぁぁあああああぁああぁぁぁ――――!」
 サラは貫通と同時に仰け反っていた。
 こうしているあいだにも、天井からの無色透明なガスは注がれており、サラの身体を敏感かさせ続けている。愛液がたっぷりと分泌され、十分に蜜を詰め込んだ膣口だ。どんなに太いペニスが入ろうとも、痛みが走る余地はなかった。

 ――じゅぷっ、ずぷ、ぬぷっ、にゅぷん!

 男が腰を振ることで、肉棒に絡む愛液が水音を鳴らしている。当然、起き上がろうともがいたところで、背中をテーブルに押し付けられて終わりである。
「――あぁぁ! んふっ、んはぁ! なッ――なんでッ! イヤァ!」
 否応無しに気持ちがいい。

 ――どうして! どうしてアタシがエイリアンなんかで!

 太い肉棒の出入りは太ももを痙攣のように震えさせ、背中は何度も反り返る。暴力的なまでの快感量が、指先にかけてまで稲妻を走らせて、大気の流動が肌を撫ぜることすら気持ちがいい。
「――あひぁ! んん! んふぁぁ! あぁぁ!」
 みっともなく喘ぎ散らす。
 果たして、今の自分はどんなに淫らに見えることか。そんなことは考えたくもない。自分自身の声を聞きたくないサラは、力の抜け切った手の平で己の口を覆い隠すが、男はそれすら許さず手首を掴んで引き離す。
「――あぁぁあああ! ああぁ! んああああ! ああぁぁぁぁああ!」
 男の腰振りペースが上がる。

 ――ズプッ! ズプッ! ズプッ! ズプッ! ズプッ! ズプッ!

 高速ともいえる前後運動が、尻を楽器のように打ち鳴らす。もはや喘ぐための息すら肺から出し切ったかのように、サラの喉からは搾られた呻きしか出なくなる。
 確実に、その時は近づいていた。
 内股に何かが集まって、せり上がる予感にサラは表情を一変させた。

 ――このままじゃ……!

 もはや、抵抗などできない。
 いかに抵抗が無意味であるかを、既に心の底から思い知らされている以上、その時の訪れに対してただただ強張ることしかできなかった。
 無抵抗な獲物のように、

 ――ずぷん!

 そのワンピストンによってトドメを刺された。

「――――――――――――――っ!」
 ――ドクゥゥゥ! ドクン! ドクン! ビュルン! ドクッ、ドックン!

 声無き叫びのために開かれた唇から、喉を搾りきった声無き喘ぎだけが放たれる。撃ち込まれた白濁の熱さは、まるで膣にお湯でも注がれたかのようで、肉棒の引き抜かれた穴からは、愛液と交じり合った泡立ち気味の粘液は内股から流れ落ちていく。
 もはや、サラの勝利は存在しない。
 どんなに強気な心ばかりが残っていても、膣内に出された精液の感触が、敗北した事実を強制的に教え込む。
 負けて犯された。
 その事実は、水が少しずつ染み込んでいくように、すぅーっとサラの胸中に広がった。
「どうですか? 気持ちよかったでしょう」
 自分こそが快楽を与えてやった恩人だと、そんなことを言い出さんばかりの尊大な態度で、男は疲れきったサラの尻をペチペチ叩く。

 ――諦めない。ショウとシグさえ来てくれれば……。

 肩越しに顔を振り向けたサラは、恨みがましい視線を男に送った。睨みつけるような目つきだけが、サラに唯一できる心の中の抵抗だった。
「さて、あとはあなたに性奴隷になって頂くだけですな」
「せ、性奴隷……!」
「資料を見たでしょう? そうです。あなたにも、今後ペニスがなければ生きていけない性的な快感中毒になって頂きます」


     ***



 ――その後の調教レポート。



【一日目】

 初めの陵辱後、膣内射精を終えたサラには睡眠休息を与えるが、睡眠中にも媚薬の注射を行い身体を性的敏感状態に陥らせる。起床後は腹は腕といった無難な場所に触れただけで、全身に電流が走るかのような仰け反りや身悶えを披露。
 監視付きの上で地下室に監禁した上、今後はトイレなどにも必ず男性が付き添う。サラに自分の立場を教え込む目的で、紙で尻を拭くなどの行為は、全て男性の手で行い、必要のない介護を強制的に受けさせた。

   ***


【二日目】

 両手両足をX字状に拘束した上、乳房と膣の三箇所にローターを取り付け、絶頂に至るまでの経過を撮影。少なくとも二十回は潮を吹いたが、その表情からは諦めの色が消えていない。仲間の救援が必ず来て、それまで耐えれば起死回生のチャンスがあると信じていた。
 しかし、ペニスを見せるとゴクリと息を飲み込むなど、性的堕落の傾向が確認できた。
 正常位による性交を行うと、すぐに喘ぎ声を反響させ、五回絶頂。ピストン運動を中断すると恨みがましい視線を向けてくる反応が長時間見受けられたが、射精せずに引き抜くと、一瞬だけ寂しそうな顔が観測できた。
 排尿は男性の手で脚を抱え、M字開脚の姿勢を取らせた上で、カメラの前で強要。
 排便後も両手を壁につき、尻を突き出す姿勢を強要した上で、男性の手で紙で肛門を拭く。
 いずれも表情に屈辱が滲み出ていることが確認できた。

   ***


【三日目】

 両腕を拘束した上、騎乗位を強要。自ら腰を動かすことを命じると、最初の数分はいかにも不本意そうに動いたが、すぐに快楽に飲み込まれ、正常な判断を失ったまま一心不乱に快楽を貪りつくした。
 その後、冷静戻ったあとで自己嫌悪の表情を浮べる。
 フェラチオの練習をさせるためにペニスを差し出すと、拒否の表情で顔を横に背けたが、銃などの脅迫で強要させた後は、涙を流しながら淡々と口技を習得した。


   ***

【四日目】

 手コキ、フェラチオを練習させた後、複数人とのセックスをさせる。拒むというより諦めた表情をしており、本当は何もさせたくない顔つきで挿入を受け入れるが、すぐに大きな喘ぎ声を反響させ、淫乱であるかのように乱れに乱れる。
 就寝前の様子をカメラで見ると、何かを後悔した表情で、じっと下ばかりを向いていた。性交中は媚薬効果に飲み込まれるが、刺激のない状態では徐々に冷静な判断力が回復し、その日の自分の有様を振り返っては表情を歪ませているようだった。


   ***

【五日目】

 一切の絶頂はさせず、五時間に渡る寸止めのセックスを行う。
 その後、ベッドに放置した上、監視も撤退させると、数時間後に自慰行為を開始。自らの手で快楽を貪り、快感に飲まれて淫乱のように乱れた挙句、冷静な判断力が回復した後は自分の自慰行為を後悔する表情を浮べた。


   ***


【六日目】

 自慰行為の映像を本人に見せつける。焦ったような慌てたような表情でオロオロしているところにペニスを見せつけ、するとゴクリと息を飲み込む。さもフェラチオをさせたいように口元へ近づけると、命令もしていないのに咥え始めた。
「おや、誰もフェラチオなんて頼んでませんよ?」
 といった言葉で煽った結果、勢いよく頭を後方に引いてフェラチオを中止した。
 その後も性交自体は行うが、寸止めを五時間に渡り繰り返し、絶頂快楽を与えないまま放置する。その際、快楽に溺れてから自己を取り戻すまでにかかる時間は着実に長引いているので、冷静さが回復するまでのあいだは自慰行為ができないように拘束。
 冷静な意識が戻るのを確認した上、拘束を解いて改めて放置すると、自分自身の性器に視線を向け、手を近づけたり離したりを繰り返す。自分の手で絶頂したい気持ちはあるが、また撮影されているのではという予感から、いかにも躊躇っている様子が見受けられた。
 最終的には我慢できずに秘所を貪り始めたため、サラが絶頂に行き着く前に、わざとその場に監視を踏み込ませた。
「オナニーが我慢できなかったのか?」
「いやらしい女だな」
「敵のアジトで恥ずかしいとは思わないのか」
 様々な言葉を投げかけさせ、するとサラは無言で俯いた。自慰行為を見られた恥ずかしさで耳まで赤く染まっていたが、同時に絶頂前に中断させられたことから切なげに太ももを摺り合わせ、何かが欲しそうな表情も浮べていた。
 自らの口でペニスが欲しいといった言葉を吐かせようと試みると、何度か口を開いてその通りの言葉を言いかけるが、この日は最後まで思い止まった。


   ***

【七日目】

 前日は自慰行為を中断したまま就寝したため、起きた時から太ももを摺り合わせ、快楽を求めた表情を浮べていた。監視や調教職員などに対して、今日は何もしないのかと言わんばかりの眼差しを何度も向けるが、そのたびに冷静になって頭を振り、自分を保とうと励んでいた。
 しかし、ポーズなどを要求すると、今まで以上に素直に従い、四つん這いの尻にペニスを接近させた結果、大人しく挿入を待ちわびていた。また、亀頭だけを縦筋になぞりつけ、期待感を煽るだけ煽った上で何もせずにペニスをしまうと、とても悲しそうな眼差しとなった。
 このようにペニスを与えるフリだけをして引っ込めること三十回を繰り返すと、そのたびに同じ悲しそうな切なそうな表情を浮べるが、うち十二回は急に我を取り戻したように目を広げ、自分自身の気持ちを恥じて唇を噛み締めるなどの反応をみせる。
 結局、この日はペニスを与えない。
 ローターなどの道具で向こう数時間ほどの寸止めを行い、就寝前には手足の拘束で自慰行為を封じておく。これで前日から合わせて四十八時間以上は寸止めを受けていることになる。


   ***

【八日目】

 前日同様、ペニスを与えるフリだけをして与えないことを繰り返す。また、。道具を使った寸止めで数時間以上苛め抜き、やはり前日同様に手足を拘束。自慰行為のできない状態で就寝時間を迎えさせ、絶頂をお預けにした時間は合計七十二時間となる。


   ***

【九日目】

 前日の内容を引き続き繰り返す。
 変化としては、ペニスを見せただけで条件反射で膣分泌液を流した。


   ***

【十日目】

 どうしてペニスを挿入しないのかと、自分から問いかけるようになるが、欲しいのかと問えば違うと否定する。口元にペニスを差し出すと、何も言わずにフェラチオを行った上、精液を飲んだ後にセックスはないのかと問いたげな表情のみを浮べる。
 自分の口から求めない限り、今後挿入はしないと宣言を聞かせると、絶望したような悲しそうな表情を浮かべた上、なぜ自分はそんな顔をしてしまうのかと自己嫌悪的な顔も浮べる。


   ***

【十一日目】

 仰向けによる開脚ポーズを取らせ、秘所の縦筋をペニスの亀頭でじっくりなぞる。途中で自ら割れ目を開き、どうぞ挿入して下さいと言わんばかりの顔をするが、そこでわざとらしくペニスをしまうと恨みがましい表情を浮べた。


   ***

【十二日目】

 縦筋を亀頭でなぞるが、決して挿入はせず、引き続き道具による寸止めと自慰行為を封じた拘束状態での就寝。


   ***

【十三日目】

 ついにセックスを求める言葉を放つ。
「してよ! しなさいよ!」
 自ら叫び、そう言えば満足なのだろうといわんばかりの表情を浮べるため、誠意のある頼み方を要求すると顔を背ける。


   ***

【十四日目】

「もう我慢ができません。どうか私にペニスを恵んで下さい」
 これは朝一番の言葉である。
 まるで嫌々言わされているような、もてあました身体を何とかするために仕方なく言っている台詞にしか聞こえないため、何度か言い直しを要求。残念ながら十回以上は態度が直らないため、道具で寸止めを味あわせた後、再度言葉を要求。


     ***


「もう我慢ができません! どうかセックスをして下さい!」

 自分が何を言っているのか。
 恐ろしいほどにみっともなく、尊厳も何もかもを自らの手で投げ捨てて、犬か奴隷に成り下がることを己の意思で了承したも同然であることを、サラは心のどこかでわかっていた。
 だが、それでも……。
 ただ指が触れただけで、電流が弾けるような快感に襲われる。腹をさすられただけで背筋が反り返り、腰がくねってしまうほどでありながら、そのくせ絶頂だけは許されない。そんな状態がもう何日続いたのか。
 全裸で、土下座。
 それも、自分を初めて陵辱した男に向ってだ。
「では何をどこに挿入して欲しいか。明確に言いなさい?」
 わざとだ。わざと、まだまだ何かを言わせようとしている。
 そして、それを口にしてしまったが最後、強引に犯されるというよりも、お相手様の大切な肉棒をご挿入して頂く、頭を下げてまで頼む立場にまわってしまう。もはや敗北宣言を超えた人権放棄宣言といっても過言ではない。
 それを、自らの口から搾り出すなど……。
「ど、どうか……あなたのペニスを……私の膣内に挿入して下さい……」
 悔しさで、声が震えていた。
 これで、王様に対して自分は犬以下の身分という、天地がひっくり返ろうとも変わらない立場関係が成立したのだ。

 それでも、ペニスが欲しい。
 堕落した自分自身を、サラは静かに実感していた。




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