鶫は身を持って千棘のカラダを守る


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*コミック三巻までの鶫誠士郎をイメージして書いています。


 何ということであろうか。
 お嬢と一条楽が交際をなさっているという事は、ゆくゆくはあんな事やこんな事もまでしてしまうという意味ではないか! 私は決して認めていない。あのような男は認めていないというのに、そのような事は絶対にあってはならない。
 私はお嬢を守ると誓った身。

 お嬢が汚されるくらいなら、いっそこの私が……。

     ?

「なんだよ。こんなところに呼び出して」
 授業中の屋上。
 鶫誠士郎は一条楽を呼び出していた。授業はサボりになってしまうが、ここなら人に見つかる心配はない。クロードも今日は他所の仕事に出向かなくてはならないので、まさか監視はしていないはずだ。
「貴様に尋ねたいことがある」
「聞きたいこと? 授業抜け出してまで、一体どんな質問なんだ?」
 この話を切り出すのは緊張する。いざ尋ねようと、声を出そうと肺に息を吸い込んだだけでも心臓が高鳴って、頬が熱くなってしまう。この妙な感情な何なのか。まさが自分が一条楽を意識しているなどとは誤解されたくないが、とにかくまずは聞かなくてはならない。
「率直に聞こう。一条楽。お嬢とはどこまでいったのだ?」
「んなっ、どこまでって……! そういう事を聞くために俺を呼び出したのか?」
 思い切って尋ねるなり、一条楽は仰天していた。
「そうだ! まさかとは思うが、この歳で進むところまで進んでいるとしたら、やはり容赦はできないぞ! 答えるのだ! 一条楽!」
 既に手をつけられてはいないか。あらぬ関係にまで進んでいないか。お嬢の身が心配でならない。ただ、それを気にするなど、鶫が彼を意識しているとでも誤解されては癪でならない。だからこそ、切り出すのにも緊張したのだ。
「別に、まだキスもしてねーよ! そりゃ俺達は付き合ってるけど、そういう事にはなっていねーっていうか。そういうのって、女の子にとっては大事なもんだろ?」
「それはそうだ。本当に何もしていないのか?」
「してない。そういうのって、ここしかないって瞬間が必ずあると思う。その時になるまでキスなんてしないし、できねーよ。あいつを傷つけたくはないしな」
「そ、そうか……」
 安心すると同時に、何故か胸がきゅっと引き締まった。
 この感情は何だろう。
 お嬢がまだ手を出されていないとわかって、安心する気持ちには納得できる。だが、楽の誠実な台詞と真剣な眼差しに当てられて、こうも胸が疼くのが理解できない。まさか自分が彼を想っているなど、認めたくはなかった。
 しかし……。
 お嬢が汚されていないというのなら、その純潔はこれから先も自分が守る。決して、こんな男に手を出させるなどあってはならない。
 そのためにも使命を果たす。
「一条楽」
 瞬間。
 鶫は高い瞬発力で一瞬にして間合いを詰め、反応する隙も与えず口に小瓶を突っ込む。この日のために予め用意しておいた興奮剤だ。強引に口内へねじ込んで、瓶を縦にして中の液体薬品を流し込み、強制的に飲み込ませた。
「――んっ! んぐっ、ぶはぁ! な、なんだ? 俺に一体何飲ませた!」
「即効性だ。すぐに効き目が出る」
 男を興奮させる効果が現れ、楽の股間がみるみるうちに膨らみ始める。ズボンを内側から突き破らんばかりのテントが完成するまで、五秒とかかりはしなかった。
「なんだこれ! か、勝手に……」
「どうだ? ムラムラしてきただろう」
 鶫はブレザーを脱ぎ、ネクタイを外してボタンを一つずつ開き始めた。男子用の制服では色気は薄まっているだろうが、頭にはちゃんとリボンがついている。これで女らしさは十分だろう。
「う、うぅぅぅぅ……」
 楽は何かを堪えるように蹲り、太ももを引き締める。鶫の胸元に見え隠れするブラジャーに興奮し、きっと我慢しているのだろう。今にも獣と化しそうな自分を抑え、楽は欲望と戦っている。
 だが、長くは持たない。
 鶫が与えた興奮剤は男根を勃起させ、やることをやらなければ決して静まらないようになっている。強力な効能に耐え切れる男性などいないことは、薬を開発した機関が実験で立証している。股間が唸って仕方がなくなり、出すものを出さなければ、このまま膨らみ続けて破裂するのでは、という予感を男に与えるらしいのだ。
 女の鶫にはわからないが、男根が痛いほどに硬くなり、破裂の予感さえ与える事は、男性に潜在的恐怖を感じさせる。大事な部位の欠損ほど恐ろしいものはないだろう。早く射精しなくてはという強迫観念に襲われて、目の前の女を押し倒さずにはいられなくなるというわけだ。
「どうした? 一条楽、ボタンが全部空いてしまったぞ」
 鶫はワイシャツの前を開ききり、下着のみの上半身を曝け出した。
 丸出しのブラジャーと、そのカップに持ち上げられた乳房の谷間を見てしまっては、今の楽には堪えようがない。
「つ、つぐみぃぃいい!」
 楽は野獣のように飛びかかり、鶫を地面に押し倒した。
「さあ、来るがいい。お嬢に貴様の相手をさせるわけにはいかないからな」
「はぁ、はぁ……」
 息を荒げた楽は、鶫の肢体を手でまさぐる。両手でそれぞれ肩とわき腹を撫で上げて、すぐにカップ越しの乳房を揉み始める。
「うぅっ……」
 鶫の口から声が漏れ出た。
 お嬢のためとはいえ、これでも始めて男に触れられる事となった鶫は懸命に羞恥を堪え、楽の愛撫を受け入れた。例えキスがまだだとしても、もし二人が本物の恋人同士で、その関係がこの先ずっと続くとしたら……。
 やはり、いつかは情交を結ぶのだ。
 ならば今のうちから、体を張ってでもボディーガードを努める必要がある。欲望を自分に向けさせ、お嬢には手を出さないように誘導するのだ。
「なんでだ……。こんなのいけねーのに、俺……。我慢できねぇ……」
 例え理性が残っていても、薬の力で体の方が暴走する。今の楽には自分にブレーキをかけることなどできやしない。とくかく欲望を発散せずにはいられなくなるのだ。
 楽は鶫のブラジャーの肩紐を下げ、カップをずらして生乳を揉みしだく。ケダモノにしては優しく丹念な指遣いに、鶫も快楽に悶え始めた。
「く、くはぁ……! 貴様、本当に何もしたことはないのか?」
 こんな男ごときに触れられて、動悸が激しくなっている。胸は苦しく、顔は熱い。どうして彼でこうなるのか、自分でも納得がいかなかった。
 だが、そんなことはどうでもいい。
 楽の欲望を自分に向けさせるのだ。
「ねーって! それより、止まれない! とんでもないことしてるってわかってるのに、体が勝手に動いちまう!」
 楽は乳首に吸い付いて、甘噛みを交えながら下で先端を転がし始める。唾液をまぶしつけるような口技に、鶫は色めいた声をあげた。
「あっ、あぁぁ……!」
 鶫が飲ませた薬は強力なもので、どんな誠実だ男さえも乱暴な狼に変えてしまう危険なもののだった。どんなに強引にされるかもわからないはずだった。正直なところ、理性のない猛獣に押し倒される覚悟さえ決めていたほどだ。
 だというのに……。
「頼む、抵抗してくれ……。俺、自分じゃ止まれないんだ……」
 最低限の罪悪感を抱えながら、楽は口愛撫で乳房を攻める。説明書で読んだ効果と違う。こうも丹念に愛撫して、こちらを気持ち良くさせようとしてくるなど、鶫は思ってもいなかった。
「止まれなくて当然だ。抵抗もしない。私は初めからそのつもりなのだからな」
 鶫の乳首は両側とも唾液まみれになっていき、硬く敏感になっている。少し指で摘まれるだけでも刺激が走り、鶫の表情は官能的に歪んでいた。お嬢の盾となる覚悟はあったが、まさかこうも感じるとは想像しない。思わぬ快感に喘ぐ自分が憎かった。
「お前、どうしてあんな薬を……」
「それは貴様を試すためだ」
「……試す?」
「一条楽、さっき言ったな。キスには必ずここしかない言える瞬間があるはずだと。それまでは絶対に何もしないと。だがどうだ? ロマンチックなことを言いながら、貴様など薬一つでこのザマだ。お前はやはりケダモノにすぎん」
 鶫はそう嘲笑ってみせるが、性的な刺激を前には女の反応をせざるを得ない。喘ぎ声など聞かせてやるのは癪だったが、やはり自分で覚悟したことだ。全ての恥を甘んじて受け入れて、その対価としてお嬢を守る。それが叶えば本望だ。
「く、くそっ! お前はいいのかよ! こんな形で……!」
「口先だけは健全だな。だが、最後までしたいのだろう?」
 ズボン越しの秘所に触れられ、鶫は思い切り肩を縮めた。最も大事な部分に触れられる緊張感は途方もない。アソコがじわりと熱くなり、湿り気を帯びてくるのが自分でもわかった。
「駄目だっ、本当に抑えきれねぇ……。このままじゃ俺……」
 いよいよか。
 楽は鶫のベルトに手をかけ、金具を外す。チャックを下げ、緩んだズボンをゆっくりと脱がされて、パンツに手を入れられた。舐めるような指技が性器を嬲り、割れ目に沿って丁重に刺激していく。クチュクチュと水音が立ち始めるまで、そう時間はかからなかった。
「くっ、くあぁぁ……。あぁっ」
「ごめん。鶫……。最後までしないと、俺どうにかなっちまいそうなんだ……」
 パンツを脱がされ、楽はズボンのチャックを下ろす。太く長く隆々とそびえる一物が取り出され、亀頭が入り口に塗り付けられる。
「どうした。早く入れたらどうだ?」
「うぐっ、ぐぅぅ……」
 耐えているのか。押し当てた亀頭を挿入せずに、ただ膣口に擦りつけている。肉竿をズリ当て腰を振り、なんとか挿入無しで乗り切ろうとしているようだった。
 しかし、持つまい。
「さあ、私の覚悟はできている。早くするんだ一条楽」
「ぐぅっ、すまん! 鶫!」
 堪えきれるはずのない楽はついに肉棒を押し込んで、鶫の処女を貫いた。痛い。破瓜の血が滴って、膣で愛液と絡み合う。
「いっ、一条楽……」
 鶫は彼の名を呼んでしまう。
「鶫、鶫ぃ……!」
 楽はゆっくりいたわるように腰を振り、優しく胸を揉んでくる。首筋に舌を這わされ、耳の穴まで舐められて、唇さえも奪われた。舌を口内に押し込まれ、口内を貪られながら膣に肉棒が出入りする。
 何故か、悪くない気分になる。
 不快感に耐える覚悟でいたというのに、この男に抱かれて嫌な気持ちは沸いて来ない。むしろ薬なんて使った鶫自身に罪悪感が跳ね返り、申し訳なさのままに体が楽を受け入れる。こんな気持ちになってしまうのは、やはり彼が優しいからなのだろうか。
「鶫……。俺、俺……!」
 良心の呵責がありながらも、どうしても欲望を優先してしまう。ケダモノとしての自分を抑えきれずに苦しみながらも、やはり性行為の気持ち良さに浸ってしまう。複雑な心境に置かれていることは想像できた。
 だが、これでいい。
 これであらぬ情事の事実が出来た。この出来事を武器にすれば、これからお嬢が楽の魔の手に犯されることはないだろう。それで良かったのだ。
「鶫ぃ……!」
「あっ、んぐぅ……!」
 唇を貪られ、楽と鶫の舌が絡み合う。自分の舌に唾液を絡まされ、鶫はうっとりと目を細める。楽の腰振りに慣れてきて、初めての痛みも薄くなる。破瓜の痛みは個人差があると言われているが、幸いこの程度で済んだようだ。
 そんなことより、自分の膣内部で楽の肉棒が動いている。彼の股間の太さと長さが如実に伝わって、これが一条楽の味なのかと鶫は心から実感していた。
「こ、これが……!」
 楽も同じようだ。何度も腰を振っては乳を揉み、乳首や首筋を舐め回し、楽は鶫という女の味を確かめ実感している。
 まるで自分の体を征服されているようだ。
「で、出る! 鶫!」
 楽はそこでピストンを早め、タイミングを見計らうかのように棒を引き抜く。同時にドバドバと白い粘液が吐き出され、顔と乳房に降りかかった。
「貴様、なんて量を……」
 体にかけられたのは癪だったが、膣内射精よりはマシだろう。それよりも一連の行為が終わって安心しかけていた時だった。
「すまん鶫、まだ足りない。まだ足りないんだ!」
「な、何? 今出したじゃないか!」
「一回じゃ駄目だ! もっと、もっと頼む!」
「き、貴様ァァァア!」
 再び肉棒を捻じ込まれ、腰を振られて――。
 ピストン運動を受けながら、鶫はふと思い出した。楽に使った薬は欲望を爆発させるだけでなく、精力まで増幅させるものだったのだ。

 おかげで、ゆうにあと三回戦までつき合わされ――。

 ――翌日。
 今度は放課後に楽を呼び出し、誰もいない未使用の教室で二人になった。せいぜい授業の教室移動でしか使われない上、内側から鍵までかけられるこの教室は、男女で密会をするにはもってこいのものだろう。
 もっとも、楽とは断じて恋仲などありえないが。
「話はわかっているな。昨日のことだ」
 切り出すと、楽は腹をくくった顔をする。
「ああ、わかってる。とんでもないことしちまったからな。それでお前の気が済むんだったら、煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
「薬を使ったのは私だぞ? それをわかって言っているのか」
「それは……。そりゃ、ちょっとは薬のせいだって気持ちもあるけど……」
 馬鹿なのか何なのか。楽の頭の中では、あくまで自分が暴行を働いたような方向性になっているらしい。しかし、それはそれで好都合だ。鶫は元々、お嬢を守りたい一身で自分の体を盾にしようと画策した。
 性行為を行った事実を作って一段落。
 そして、今日の交渉でもう一段落だ。
「煮るなり焼くなり好きにしろ。という言葉に嘘はないか」
「ああ、ないぜ」
 楽は覚悟を決めた顔だ。さしずめ銃器で殺される覚悟でも決めたのだろうか。
「ならば一条楽。貴様に頼みがある」
「頼み? なんだ一体」
「お嬢とキスはしないで欲しい。もちろん、その先の行為もだ」
「え? おい、そう言われても俺とハニーは……」
「言葉に嘘はないのだろう? だったらお嬢には手を出すな。貴様はやはり、あんな薬程度で理性を失う単なる野獣に過ぎないんだ。いつ乙女心を傷つけるかわかったものではない」
 それを言われては言い返せないのか。楽はぐっと押し黙った。
「わかった。手は出さない」
 俯きながら言いつけを飲み込む。
「だが、本当に何も無しでは貴様がいつ暴走するかわかったものではない。あれが貴様の本性だからな。定期的に他所で発散する必要があるだろう」
 鶫もまた、今一度覚悟を決めた。
 これもお嬢を守るためなのだ。
「よ、他所って……」
「お嬢の体には手を出さない。代わりに私を抱くといい」
 普通じゃない要求だ。まともに頼めば通りようのない話だが、楽には鶫を押し倒してしまった事実がある。
 その事実を盾にすれば、いくらでも押し切れる。
 いや、それが叶わなくとも問題ない。
 もしも楽が「お前が薬を使ったせいだろう」と言おうものなら、「そんなものは嘘だ。貴様がいきなり欲情して、あんな破廉恥なことをしてきたのだ」と、楽にとっては理不尽な返し方で押せばいい。薬の力が本物だったかどうかなど、楽には確かめようのないことなのだ。一条楽はそういう酷い男なのだとして、始末してしまうことも可能だった。
「……そうか。やっぱり、お前は本当に千棘のことが大好きなんだな。そりゃ、知らないうちに俺みたいのとくっついてたりしたら、驚きもするか」
 楽は諦めたように言い始める。
「納得したのか」
「するしかないだろ。俺がどんなに格好つけたって、お前に色々しちゃったしな。俺がいつ暴走するかなんて、本当にわかんないのかもしれない。ムラっときたっつーか。薬なんてなくても、変な事しちまう日が来るかもしれない。自分では否定したいけど、説得力がねーもんな」
 交渉成立か。
 よもや楽を始末することにはなるまいかと危惧したが、その必要が無くなって安心している自分がいた。

     ?

 それから、一体何度交わったことだろう。
「貴様には私を抱く義務がある」
 初めのうちは強制力を含んで強く出て、数日に一度は性欲のほどを確認していた。楽は遠慮がちに鶫を脱がせ、ぎこちなくセックスをして終わることが大半だった。
 けれども、続けていればそれが当たり前になってくる。楽はしだいに自分から体を求めてくるようになり、最初は週に一回程度だったのが、いつしか二回に増え、三回以になっていき、今では一週間休みがない時さえある。
 それだけ、楽は堂々と体を求めてきた。
「なあ、口でしてくんねーかな」
 いつものように空き教室に入り込み、内側から鍵を閉めてから行為に入る。
「待て、そんなものを口にだと?」
「頼むよ。どうしてもフェラチオがどんな感じか気になるんだ。な、いいだろ?」
 排尿にも使われる器官を口に含むなど考えものだったが、お嬢を守るためにこそこうしているのだ。ここは希望を叶えてやろう。
「仕方がない。じっとしていろ」
 鶫は楽のベルトを外し、硬くなったペニスをつまみ出す。こんなものに、少なくとも手で触れることには慣れてしまった自分がいる。根元を握り、まずは亀頭を口内に含んでみた。
「おおっ、すげー気持ちいい!」
 楽は両手で頭を掴み、鶫を股間に押さえつける。射精するまで逃がさないつもりなのだろう。
「んぐぅぅ……」
 肉棒から口を離せなくなり、少しばかり息苦しい。鶫は舌で舐めまわし、歯を当ててしまわないよう気を付けながら頭を前後する。硬すぎるペニスの熱気が、舌に如実に伝わってきた。
「お前にこんなことしてもらえるなんて、感激だなぁ。口ん中って温かいなぁ」
 そうなのか。
 満足してもらえているのなら、それでいい。楽に自分の体を捧げ、こうして口奉仕を行うことにも嫌な気持ちは何もない。
 これでお嬢を守れるのと、そして……。
 楽にこうして抱いてもらえる。
 自分は初めからそういう計算をして、あんな作戦に出たのだろうか。こんな男を相手に、今でも納得はいかないが、口に一物を咥えた自分を思うと言い訳できない。お嬢を守りたいのは間違いなく本心だが、その方法がこれというのが、自分の楽に対する気持ちの現れなのかもしれない。
 もっとも、楽は気づいていないだろう。
「くぅぅぅぅ、最高だ」
 鶫の初めての口技に、ひたすら感激してくれている。
 やっている鶫としては、顎が疲れるほど大口を開いて舌遣いを駆使するなど、中々慣れない気がしている。この長さをさすがに奥まで咥える自信はなく、根元を握って半分までしか咥えていない。竿を懸命になめずって、黙々と頭を前後に揺すった。
「出るッ、鶫! 飲んでくれ!」
 口内にドクドクと流し込まれ、熱い精液の味が口全体に広がっていく。鶫は喉を鳴らして飲み下し、楽の白濁を胃に収める。
「ふぅ……。気持ち良かったぜ」
「だったらいいが、こんなに出す奴があるか。しかも飲ませるなんて」
「まあまあ、いいじゃございませんか。さ、続きをやろうか」
「全く、仕方がない」
 これから、鶫はずっとお嬢の盾となり続ける事だろうが、それが本望だった。




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