人間になったラケルと六花の仲


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 初めてラケルの人間姿を見た時から、あまりの可愛らしさに菱川六花は目眩を覚えていた。年下の男の子のつぶらな瞳にドキドキし、上目遣いなんて寄越された日にはくらくらと酔ってしまう。胸の鼓動が収まらない。
(弟がいたら、こんな感じなのかな?)
 六花はラケルの頭を撫でた。
「六花、何か手伝うことはないケル? 洗い物とか、お風呂洗いとか」
 こうやって、何か役に立ちたがってくれるところも可愛らしい。献身的な男の子に懐かれるなんて、本当に胸がキュンキュンする。たくさん可愛がって、いっぱい抱き締めたくなってしまう。
 こういうのを母性がくすぐられると言うんだろうか。
「別にいいのよ? いてくれるだけで幸せなんだから」
 そっと抱き寄せると、ラケルは緊張で身を固める。照れているのだろう。ウブな反応が面白くて、背中に胸を押し当ててみる。
「り、六花?」
 緊張に上ずった声が返ってきた。
 ああ、本当に可愛らしい。
「このままでいて? このまま」
 ラケルの髪に顔を埋め、ラケルの匂いと体温を全身で味わう。
「六花ぁ、ドキドキするケル」
 ラケルは困ったような声をあげてきた。照れるし緊張するしで、もう離して欲しいのだろうが、離してあげない。六花は意地悪な気持ちを働かせ、腕に力を込めてより強く抱き締めて、解け合わんばかりに密着した。
「私もドキドキしてるの。わかる?」
「……う、うん」
 六花はラケルの頭や耳、肩から胸まで体中をまさぐりまわす。ラケルはくすぐったそうにモジモジしながら、黙って六花の手を受け入れていた。
「ラケルって、私の役に立ちたいんだっけ」
「立ちたいケル! 何かあるケル?」
 勢いよく反応した。
「うん。あのね、この姿で一緒に寝てくれない?」
「ほんと? いいケル?」
「うん! 一緒に寝よ?」
 その日は同じベッドに入り、手を握り合って抱き締め合う。緊張しすぎて六花自身も中々眠りにつけなかったが、それでも人肌の心地よさにうっとりして、ドキドキしながらも気持ち良い温かさを全身で味わうのだった。
 この心地よさ、ラケルの可愛らしさ。
 すっかりラケルの人間姿にハマった六花は、毎日のように変身を要求するようになり、持続時間も少しずつ伸びていた。スキンシップを楽しんだり、一緒に寝たり、ご飯を食べたり、年下の男の子との生活を満喫する。
 六花のラケルに対するスキンシップは、日ごとにエスカレートしていた。今までは六花がラケルに触れるのが中心だったが、それ以上にからかったり、誘うような台詞までもを口にするようになっていく。
「ねえ、私もラケルに撫でて欲しいな」
 六花はラケルの耳元に囁いた。
「撫でるって、どこケル?」
「うーん。いま私が触っているところとか?」
 胸板を撫でながら、六花はそんな事を囁く。
 遠まわしにどんな部位を触れと言っているのか。これを想像したラケルは真っ赤に染まりあがって、慌てた声を上げることになる。
「そ、それって……! そんなところ触れないケル!」
「ふふっ、冗談よ」
 そうやって、六花は自分の体をチラつかせるようにまでなっていた。
「からかわないで欲しいケル」
「ごめんね。でも、ぎゅぅーってして欲しいな」
「それくらいなら……」
 ラケルは遠慮がちに六花に抱きつき、そして重心を預けて六花の首筋に顔を埋める。ぎこちない手つきで背中を撫でてくれた。
「気持ちいい。触れ合いって、いいよね。ラケル」
「うん。僕も気持ちいいケル」
 胸や太ももとはいかずとも、背中や腰には触らせる。耳やうなじに触って欲しいとさえ要求し、六花はラケルに触れてもらうことを楽しみ始め、もはや触れ合いのない日などなくなっていた。
 初めは背中に胸を押し当てたり、耳や胸板を触ってくすぐったり、多少の怪しさはあるものの、それ以上にはならない程度の節度は守っていた。
 しかし、ラケルのウブで可愛い反応見たさに六花は欲情にかられてしまう。女の子を意識して緊張する姿も最高だが、六花の体つきを意識して硬くなっているところにも、ちょっとした嬉しさを覚えていた。
 ラケルは前々から六花を好いてくれていたが、やっぱり体にも興味があるのだ。
 大好きな相手に魅力を感じてもらえるなんて、悪くない。
 もっともっと、面白いことをしてみたい。
 そんな好奇心と、ラケルに対する大きな好意から、六花はだんだん「今以上」を望むようになり、ついには大事な部分を許していた。
「六花の太もも、すべすべしてるケル」
 ラケルに脚を撫でてもらい、六花自身も赤く染まりあがっていた。
「ねえ、次はどこに触りたい?」
「うなじケル!」
「じゃあ、私は耳に触るね」
 お互いの要求を確かめてから、二人は体を触り合う。うなじに感じるくすぐったさに六花はきゅっと身を縮め、ラケルもくすぐったそうにしながら六花の手を受け入れる。
「ねえ、うなじだけでいいの?」
「背中も触りたいケル」
「ギュゥゥってしてくれたら、触っていいよ?」
「うん!」
 抱き締め合い、背中を撫で合う。うなじから腰にかけての背骨を沿って、まんべんなく上下に撫で込み、わき腹までさすっていく。お互いの手が、お互いの背面を思うままに撫で尽くしていた。
「六花ぁ……」
「何? 次はどこがいいの?」
「そ、その……」
 ラケルは口ごもって縮こまる。
「もしかして、おっぱいとか?」
「ギクッ」
「お尻とか?」
「い、いやその……」
 あからさまに引き攣って、ラケルは冷や汗をかきながら目を泳がせる。
「図星」
「そ、そんなことは……。あるケル」
 六花はむっと膨れながら、顔を押し寄せ一言呟く。
「エッチ」
 そのたった一言で、ラケルは枯れた花のように萎れていった。
「……ごめんケル」
 本当に申し訳なさそうな謝罪。
 それに対して、六花は耳元に囁いた。
「うん。いいよ」
「許してくれるケル?」
 ラケルの不安げな上目遣い。
「別に怒ってなんかないわよ。そういう意味じゃなくて、私は普通に『いいよ』って言ったんだよ? わかる?」
「え? ええと、その……」
 しどろもどろになって、ラケルは何も答えられない。
「触ってもいいよ? って、意味なんだけど」
 ここまではっきり口にすると、ラケルはしばらく凍りついた。ほんの数秒間、沈黙の空気が流れて、やがてラケルは真っ赤になって声を荒げる。
「ま、またからかってるケル!」
 これがラケルの精一杯の反応だった。
 だが、六花は本気である。
「からかってなんかないよ? 触らなくていいの?」
「そ、それはその……」
「触りたいでしょ」
「……うん」
 遠慮がちに頷くのを見て、六花はラケルの頭を撫でた。
「私のこと、好き?」
 そんな事を尋ねてみる。
「好きケル!」
「どれくらい好き?」
「とってもとっても大好きケル!」
 身振り手振りまで交えて、ラケルは一生懸命気持ちを込めて答えてくれた。
 これだけ自分を好きでいてくれている相手なら、触れられるのも悪くない。好奇心も相まって、ラケルになら体を許せるだろうと、六花もいよいよ心を決めた。
「じゃあ、触って?」
 六花はラケルの手を握り、自分の胸元近くへ導いてやる。しかし、道案内は途中まで。あくまでラケル自身で手を伸ばし、乳房をそっと包んでもらった。
 これが男の子に揉んでもらう感触か。
 風呂場で体を洗うために触れる時などは何も感じないとに、ただ異性の手だというだけで、衣服越しにも関わらず刺激が強い。乳房が芯から熱くなり、乳首がビクビク反応するかのようだった。
「ど、どう?」
 六花は声を上ずらせる。
「……触れて嬉しいケル」
 ラケルは緊張で硬くなりながらも、まじまじとした顔つきで六花の胸を揉み、よく感触を確かめている。初めて触れる乳に心躍らせ、ぐっと息を呑んでいた。
「もっといっぱい触らせてあげる」
 六花は服を脱ぎ始め、上半身はブラジャーのみになる。
「り、六花……」
「ほら、私だけ脱いでるなんて恥ずかしいでしょ? ラケルも脱いでよ」
「うん。脱ぐケル」
 ラケルも着ていたシャツを脱ぎ、上半身裸になった。
「綺麗ね。ラケルも」
「そうかなぁ」
 六花はラケルの胸板をぺたぺた触り、指先で乳首をくすぐる。ラケルも六花の胸を揉み返し、カップ越しの感触を堪能した。
「見たいでしょ。これも取っっちゃっていいよ。ラケル」
 ブラジャーの肩紐を下げながら、六花はラケルに背中を向ける。
「ほんとに取っちゃうよ? 六花」
 ラケルは背中のホックを外し、六花からブラジャーの紐を取り去る。それに応じて六花も胸元を曝け出し、顔を熱くしながら、生の乳房を見せてあげた。
「ど、どう? ラケル」
「綺麗で可愛いケル!」
 ラケルは飛びつくように押し倒し、馬乗りになって揉み始めた。
「……あっ、ラケルってば」
 素肌を直に揉みしだかれ、すぐに乳首が硬くなった。息を荒げながら夢中になり、ラケルは六花の胸を貪る。乳首を摘み、顔を近づけ舐め始める。唾液を塗りつけ、胸の狭間に頬ずりをした。
「六花大好きケル」
「もう、そんなに嬉しい?」
「うん! 嬉しいケル! 嬉しいけど……」
 照れたように明るく笑うラケルだが、しだいに股元を気にしてモジモジする。股間を押さえて、太ももをすり合わせた。
「どうしたの? ラケル」
「僕、なんかおかしいケル。なんだかあそこが……」
 それだけ聞いて、ラケルの様子に合点がいった。ズボンがテント張りに膨らんでいるのを見れば間違いない。
「そっか。ラケルは妖精だから、人間の体の仕組みを知らないのね」
「僕、どうなっちゃったケル?」
「大丈夫よ。私は医者の娘よ? 私が治してあげるから」
「……うん」
 これから、もっとすごい事をすることになる。人間に化けているだけの妖精を相手にするなんて、この前まで想像もしていなかった。けれど、ラケルの初々しい好意に胸がときめき、六花はすっかりラケルが欲しくなってしまっていた。
「全部脱いでごらん? ラケル」
「うん。わかったケル」
 ラケルはズボンを脱ぎ去り全裸になった。勃起した肉棒を、ラケルは恥ずかしそうに手で覆い隠した。六花も残りの衣服を全て脱ぎ、意を決したようにパンツも脱ぎ去る。お互いに全裸になり、お互いに気恥ずかしそうな顔をする。
「恥ずかしいね」
 何となく、六花は口に出してしまう。
「うん」
 ラケルも頷く。
「あのね。男の子はエッチな気分になるとそうなるんだよ?」
「それじゃあ、病気じゃないケル?」
「うん。違うよ。私のあそこ、触ってみて?」
「うん」
 ラケルの指が、六花の秘所へ伸ばされた。縦筋をそーっとなぞるような手つきに、六花は快感に身を震わす。しだいに愛液が分泌され、指の滑りが良くなって、塗りつけるような指つきで膣周りを愛撫された。
「あぁ、気持ちいい……」
「六花のここに触っていれば、治るケル?」
「治るというか……。あっ、いい感じ……」
 性器が熱く疼いて、六花は快感にとろけていた。可愛いラケルに愛撫され、その心地よさにうっとりと目を細め、顔を熱く染めていく。
「僕もなんだかアソコが疼くケル」
「そうね。そろそろ――入れてみよっか?」
 心を決めた六花はゆっくりと仰向けになり、ラケルを受け入れやすいように、そっと脚を開いてみせる。大事な部分が丸見えになる恥ずかしさは物凄いものがあったが、六花はそれを堪えてラケルを誘っていた。
「入れるって、もしかして……」
「そう。私のココに、ラケルのを挿れるの。愛し合っている人間同士って、そうやってお互いの愛を確かめ合うんだよ?」
 愛なんて言われて、ラケルはドキっと心臓を跳ねさせた様子だ。
「本当に入れていいケル?」
「うん。お願い」
「それじゃあ、いくケル」
 ラケルも意を決して亀頭を当て、腰を膣口へ押し込めていく。
「あぁっ、来るっ……!」
 肉棒に膣壁を拡張され、蜜壷が根元までを咥え込んだ。初めてソレを受け入れる感覚に六花は悶え、破瓜の血を滴らせて脂汗をかいた。
「六花っ、痛いケル?」
「大丈夫よ。続けてみて?」
「うん……」
 ラケルは六花の腰を掴んで体を揺すり、初めての女の子を味わっていく。膣壁に締められ、絡みつかれる気持ち良さにラケルも悶え、「うぅっ……。す、すごいケル」と、快楽のほどに感激していた。
「どう? ラケル」
「気持ちいいケル! すごいケル!」
 ラケルは夢中で膣を突き上げた。
「私も――嬉しいっ! ラケルと――んぁ……一つになれて!」
 腰振りに揺すられながら、六花は髪を振り乱す。ラケルの体を抱き返し、苦しいほどに締め付けて、彼の体温をその身に味わった。
「何か――出そうケル!」
「大丈夫――今日は平気な日――だから――あっ、そのまま……ううん! 出して!」
「出す! 出すケル!」
 腰振りは一瞬激しくなり、そして……。

 ドクッ――ドクン! ドクドク――ビュルン!

 熱い精液が六花の膣内に撒き散らされ、膣口から零れ落ちる。ラケルは肉棒を引き抜いて、六花の上に力尽きた。六花もぐったりしながらラケルを意識し、肌の密着した心地良さと、激しく求め合った余韻に浸る。
「ねえ、気持ち良かった?」
 ちょうど自分の顔横に頭を埋めるラケルに向かって、六花はそっと囁いた。
「とっても良かったケル」
 ラケルも耳元に囁き返す。
「それじゃあ……キス、しよっか」
「うん」
 六花はゆっくりと目を瞑り、ラケルの唇を受け入れる。温かく、柔らかな唇を長く長く重ね合い――二人はそのまま眠りに落ちた。

「六花」
「ラケル」

 寝言てお互いの名前を呼び合っているなど、本人達は気づかない。しかし、それは確実に二人の愛が繋がっている証拠であった。




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