墨田/腹いせ すず子陵辱


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 セレクターとして選ばれた人間は、記憶の象徴となる五枚のコインを賭け、必ず誰かとバトルをしなくてはならない。
 バトルをしなければ、やがてコインは黒く染まっていく。
 全てが染まればその人間は消える。
 自分の存在がかかった以上、ならば墨田壮という男は、グズ子という名のルリグを従え、なるべく弱そうなセレクターを狙っていた。弱ければ弱いほど、しかも初心者であればなおさらいい。
 妙にオドオドした女子高生を見つけたとき、こいつはカモだと、墨田は早速近づいていた。

 ――こんにちは。君もセレクターだよね。
 ――そんなに怖がらないでよ。
 ――僕もそうなんだ。
 ――なんていうか急にこんなことになってどうしたらいいか。
 ――ずっとバトルしないわけにはいかないみたいだし……。

 いかにも人が良さそうで、しかも経験も少ない風を装い、きっと初心者に違いない穂村すず子をバトルに引き込む。
 ビンゴだった。
 まさしく、すず子は初めて入るバトルフィールドの様子に戸惑っていた。
 おまけに怒鳴れば、終わったらターンエンドだろうがと煽ってやれば、本当にターンを譲ってくれる有様だ。
 そのとき、墨田のコインは既に四枚。
 すず子に勝てば五枚となるはずだった。
 なのに負けた。

「畜生! 何で俺があんな奴に!」

 敗北の苛立ちと怒りは、当然のこと自分を破った穂村すず子へと向けられる。


     **


 朝起きれば、既に父親は仕事に出かけている。
 そして、誰もいないリビングのテーブルには、夕食代が置かれていて、いざ父親の分までご飯を作れば、帰りが遅くなるとのメールが来る。結局一人で食べて、一人で一日を過ごして終わることなど珍しくもない。
 その日だった。
 その日、学校から帰って家に着いた時である。
「来る。セレクター」
「……え?」
 玄関に鍵を差し込み、これからドアを開こうといていたとき、ルリグカードであるリルの声が聞こえたのだ。
「近づいてくる。後ろ!」
 リルの警告から、そう間もないあいだに、既に穂村すず子の背後に気配はあった。
「へえ? ここがお前の家かよ」
 振り向けば、そこには初めてのバトルで勝ったばかりの男がいた。
「あなたは……!」
「偶然だねぇ? この前は負けちまったけど、今回はそうはいかねえ。もう一度俺とバトルしろよ」
 墨田壮が迫って来る。
「え、ええっと……」
「っていうか。親とかいんの?」
「い、いえ……」
 墨田の荒々しい言葉遣いに対して、気の小さい性格であるすず子は、すっかり萎縮して小声で答えてしまっていた。
 その直後だ。
「すず子!」
 返答してしまったことを叱責するリルの声が、カードの中から雷の勢いで放たれるが、こうなってはもう遅い。
「へえ? それじゃあ、お邪魔しまーす」
 墨田は何の遠慮も無しにドアノブを掴み、すず子の許可を得ることもなく、勝手に上がり込んでは靴を脱ぎ散らかし、ずかずかと踏み込んでいた。
「あの! 困ります!」
「うるせえ! これからバトルすんだからいいだろ?」
 意味のわからない理屈で、怒鳴ることで強引にすず子を黙らせる。
「あのぉ……女の子の家に上がる込むのは……」
 恐る恐ると、墨田のルリグカードであるグズ子が声を伸ばすも、「グズ子も黙ってろや」と、弱弱しい意見は一蹴されて終わりである。
「で? お前の部屋ってどこ? 二階?」
「あ、あの……! 本当に……!」
「お前の部屋でバトルすんだよ!」
 手前勝手に階段を上がっていき、すず子の部屋を確かめるため、見つけたドアを次々に開いて覗き始める墨田に対して、すず子はたどたどしく背中を追うことしかできずにいる。もっと強気にものが言えれば違うだろうが、小さな声で「あの……」や「やめてください……」を繰り返すだけがすず子の限界だった。
「すず子。警察」
 と、リルの声。
「うん……!」
 オドオドとした気持ちばかりでいたすず子は、リルの指摘によって初めて、通報すればよいのだと当たり前のことに気づいて電話機へ駆けようとする。
「させるかよ」
 しかし、墨田にもリルの声は聞こえてしまった。
 階段を駆け下りるつもりで振り向いて、すぐさま駆け出そうとしたすず子の動きは、墨田に腕を掴まれることによって停止され、さらにはそのまま引っ張られる。
「嫌っ……!」
 抱きつくように後ろから、強い力で口を塞がれ、もう大声を上げて近所に気づいてもらうことさえできない。
「オラ! 大人しくしろ!」
「女の子に乱暴は!」
「グズ子は黙ってろ!」
 ほとんど引きずり込まれるようにして、半ば以上強引に部屋へともつれ込み、ベッドの上に押し倒されたすず子は、これから起こる身の危険に戦慄して、必死なまでの抵抗を行った。がむしゃらに手足を暴れさせ、何としても逃れきろうと、パニック任せに墨田の体を乱打するが、すず子の腕力で男に与えるダメージなど決定打にはなりはしない。
「だから暴れんなよ! 大人しくしろよ!」
 墨田も墨田で、いくらか弱い少女とはいえ、必要以上に暴れるものを押さえ込むのは苦労する。両手の力ですず子の動きを止めるのは簡単でも、服を脱がそうと手を移せば、自由になった腕がそれを阻止しようと墨田を叩く。
「嫌! やめて! やめて下さい!」
「うるせえ! お前みたいなド素人が俺に勝つなんておかしいんだよ!」
 明らかに腹いせだった。
 弱い人ばかりを狙って、見下して、そんな風に戦ってきたらしい男が、いざ負けたとあらば女の子相手に報復する。
(やだ! なんで! なんでこんな人……!)
 すず子の決死の抵抗も、せいぜい時間を稼ぐ意味しかなかった。
 ブレザーのボタンは全て外され、ワイシャツも前がはだけて、既にブラジャーが露出している。スカートの中からショーツも下がり、それが膝の位置にあることで、両足を使いにくくされている。
「そうだ! こうすりゃいいんだ!」
 墨田はすず子の首からリボンを引き抜き、やがてすず子の両手を縛り上げた。
 頭上に両手を拘束され、いよいよ抵抗が意味を成さなくなったすず子は、絶望に顔を染め、涙ながらの声を絞り出す。
「お、お願いします……やめて下さい……」
「ははっ、やめねーよ」
 いかにも下品としかいえない笑みを浮かべて、墨田はじっくりと、視線によってすず子の肉体を舐め回す。
 引き千切らんばかりにブラジャーを剥ぎ取ると、存分に乳房を揉みしだいた。
「ほーう? なるほどなぁ?」
 採点とばかりに揉み心地を確かめて、点数までつけ始める。
「うーん。八十点はあげすぎか? 七十点? 六十ってことはないよなぁ?」
 好きなように乳首を摘み、指先で乳輪をぐるぐる撫でる。
「お願い……」
「うるせーな。九十点やるから静かにしろ」
 と、墨田はデコピンで乳首を弾く。
「痛っ……!」
「へへっ、次はアソコの方も採点してやるよ」
 すぐにスカートへ手を突っ込み、毛の生えた一体を指腹で撫で回す。指先でクリトリスを探り当て、割れ目をなぞり、自分勝手な愛撫を始めてせせ笑った。
「やめっ、やめて……! そこだけは……!」
「あぁ? ド素人の分際で俺に勝っといて何言ってんだ」
「だって! そんなこと……」
「大人しく感じて喘いどけよ。いい具合に濡らしてやるからよ」
 墨田の乱暴な手つきは、力強い摩擦となって、痛いほどに皮膚を擦る。とても気持ちいいなどいえない愛撫に、それでも性器を保護するための粘膜が分泌され、墨田はそれをれっきとした愛液か何かと思い込む。
「やめて……!」
「はッ! 感じといて何言ってんだ」
「感じてなんて……!」
「どうせ期待してんだろ? 早いとこ挿れてやるよ」
 墨田がベルト金具を外し始めて、すず子はさらに表情を一変させた。
「お願いします! それだけは! それだけは……!」
「へっ、いいからいいから」
 聞く耳など持ちはしない。
 墨田は我が物顔でペニスを出し、すず子のことなど考えもせずに挿入した。
 一物の太さが、穴幅の狭い処女の膣口を押し広げ、ロクな経験もありはしない下半身に痛烈な電気を走らせる。
「いやぁぁ……!」
「可愛い喘ぎ声じゃねえか」
 喘いでなどいない。痛いのだ。
「あっ、あぁ……!」
「おらおら」
 だが、どちらにしろ墨田は、お構いなく腰を振る。
 すず子が嫌がっていようとどうでもいい。
 いや、むしろその方が、墨田にとっては腹いせになるのだ。
「ほーら、俺の精子をくれてやるよ」
「駄目っ! ナカは……!」
「知るか」
 容赦ない射精が、すず子の膣内に熱を広げた。
「そんな……!」
「いい気持ちだったぜ? ありがとよ。次のバトルも楽しもうぜ?」
 楽しむだけ楽しんで墨田が帰ると、後には放心しきったすず子が残されていた。
 自分の初めて――。
 それが、あんな人に――。
 こんな形で――。

 ――次のバトルも楽しもうぜ?

 次? 次ってなに?
 もう私はこんなバトルなんて――。




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