融合次元 囚われた明日香


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 鉄格子に閉ざされた地下牢獄は、暗い灰色の石造りである。窓も電気もなく、壁掛けのランプで揺れる火が、このフロアにある唯一の光源だ。かすかな淡いオレンジ色が照らすばかりで薄暗い牢獄の一つには、一人の女決闘者が囚われていた。
 天上院明日香だ。
 天井の鎖に両腕が吊るされて、あまり姿勢を低めると、手枷が手首の皮膚に食い込んで痛んでしまう。壁に背中を預けているしかない明日香は、だから始終立ち姿勢で過ごしながら、それでいて余裕といった素振りの妖美な笑みを浮かべていた。
「それで? この私をどうするおつもりかしら?」
 問いかける先は、目の前にいる『青年』である。
 研究に研究を重ねた青年は、明日香の操る儀式対策のデッキを構築しており、さらには何人もの補導員との連戦で、疲弊したところを狙ったのだ。どんなに実力があろうと、体力の低下で集中力も鈍ったところにメタデッキでは、明日香もついには敗北した。
 ライフポイントが無くなると同時に気を失って、目覚めればこの状況だったことになる。
「アカデミアに歯向かう反逆者。捕らえたからには島で処分を受けさせるのが本当だろうが、アンタほどの美人はなかなか見かけないもんでね」
 青年は明日香の胸を鷲掴みにした。
 黒のノースリーブの上にブルージャケットを羽織る上半身の、とても豊満な乳房が五指の踊りに潰される。
「面白いことをするのね。あなた」
 ケロっとした瞳で明日香は青年を見つめ返す。
「俺の女になるんだったら、アカデミアに口利きをして処分を免れるようにしてもいい。気持ちいい毎日を送らせてやるよ」
「あら、魅力的なお誘いね。随分素敵だとは思うけれど――」
 明日香はすっと足を引く。
 壁と背中の触れ合うこんな位置では、すぐにかかとが壁にぶつかるが、一発お見舞いしてやる分には問題ない。

「あまり舐めないでくれるかしら?」

 その一言を放つ次には――。

 ――蹴った。

 鋭い足のスイングが――足の甲からつま先にかけてが、勢いよく上段へ振り上がる。その足は顎と喉笛に食い込んで、青年を後方へと蹴飛ばす。鉄格子に背中をぶつけ、ずるりと地面に尻をついた青年は、口からこぼれた血を手の甲で拭って立ち上がった。
「やってくれるなァ? 明日香」
「気安く名前を呼ばないで欲しいわねぇ? 童貞君」
 不敵な笑みをこぼす青年と、どこまでも挑戦的な振る舞いの明日香。二人の視線が正面からぶつかり合うと、心なしか見えない火花が飛び散って、どこか白熱した空気が立ち込める。お互いを探り合う駆け引きがそこにはあった。
「そういうアンタは処女なんじゃないか?」
「さあ? 確かめてみたらどうかしら」
 見え透いた蹴りの構えで、明日香はわざとらしく挑発する。
 そんな挑発に乗ってか否か。
「だったら、一つゲームをしよう」
 青年はデュエルディスクを構え、まるで武士の居合い抜きのようにデッキトップを引いたなら、直ちにそれを発動する。
 その瞬間だ。

「――んんぅぅ!?」

 明日香は内股を引き締め、俯きがちに喘ぎを漏らす。
「俺は『女殺しのピンクローター』を発動した。アンタの股間で振動している」
 耳を澄ませばブゥゥゥゥゥンと、機械の震える振動音が、この音の反響しやすい牢獄の中ではよく響く。秘所の穴で膣肉が揺らされて、愛液の分泌が始まるまでそう時間はかからない。その気持ちよさに明日香は腰を左右にくねらせていた。
「……んっ! んふぅぁ……そ、それで?」
 明日香は強気な態度を崩さずに、さも余裕たっぷりに微笑んでいる。強がりなのか、精神的には本当に動じていないのか。それは本人にしかわからない。ただ判明している事実は、既に明日香のショーツに愛液のシミが広がりつつあることである。
「自由に抵抗するといい。最後まで貞操を守りきったらアンタの勝ちだが、挿入できたら俺の勝ちっていう単純なエロデュエルさ。面白いだろう?」
 青年は再び、抜刀じみた鋭いドローを行いながら、引いたカードをそのまま投げる。手裏剣のように高回転を帯びたカーブで、明日香の手枷をいともたやすく両断して、カードは青年の手元へ戻る。
 拘束を解いた方が、ゲーム性でも上がるのだろう。
「本当に面白いことを考えるわね。あなたみたいなゲスの人達は」
 自由になった両手で、明日香は青年に飛びつくことを考えた。ディスクからカードを奪えば発動中のピンクローターは消え、股に生まれる甘い痺れもなくなるはず。肉弾戦で青年を突破して、取り上げられたデッキとディスクを回収すれば、ひとまずは何度かデュエルができる体力は戻っていた。
 そして、一歩――。
 踏み込んだ足裏で地面を蹴ろうと、それで勢いよく青年へ飛びかかろうと、脚に力を入れたと同時であった。

「速攻魔法『瞬間絶頂』を発動!」

 青年が魔法カードを使用して――。

「――ん! んぁああああああ!」

 ただそれだけで、明日香は絶頂してへたり込んだ。
「さらに俺は、永続魔法『快感の絶頂時計』を発動していた!」
「――ぬっ! くぅぅぅっ」
 ローターの刺激が強まっている。
 快感で力が入りにくく、苦労しながら立ち上がるも、太ももをきつく閉じ合わせた上に股を両手で押さえていないと耐えられない。
「『快感の絶頂時計』の効果は、女がイクたび絶頂カウンターが乗せられていく。カウンターの数が増えれば増えるほど、目の前に存在する全ての女は感度が上昇。最後には風に肌をなでられることさえ辛いほどに敏感になる」
「身動きができなくなる前に、あなたのディスクからカードを外せばいいわけね」
「そういうことだ」
 青年は手札を揃え、選んだカードを魔法罠ゾーンへと差し込む。
 また『瞬間絶頂』だ。

「――――くぁぁぁああんんん!」

 尿意の弾ける瞬間とよく似た感覚で、自分は放尿してしまったのかという戦慄を一瞬だけよぎらせながら、腰が砕けた明日香は尻を地面に落ちてしまう。
「これで絶頂カウンターは二つ。ローターの気持ちよさも上昇している」
「ぬふぁ……んぁぁ……!」
 立とうとする筋力が、振動によって弱められ、尻がほとんど持ち上がらない。無力に股を引き締め両手でアソコを押さえる明日香は、三枚目の『瞬間絶頂』を発動する青年のカードセットを見ているしかできなかった。

「――あぁぁあああああ!」

 前のめりのように身を小さく丸めた明日香は、絶頂カウンター三つによるローターの快楽をもろに受け、愛液を流し続ける。既に水分を吸収しきれないショーツから、石畳の地面にいやらしいシミが広がり、お漏らしのようなことになりつつある。
「……あっ! くあぁ……このままじゃ……次はローターで…………」
 カウンター二つの時点で、立つ動作が不可能に思えるほど、筋肉の稼動が快楽によって阻害されてしまっていた。これが四つに増えてしまえば、もはや寝たまま起き上がれないことになるだろう。
 それくらいなら……。
 明日香は身体を前に倒して、四つん這いの姿勢を取った。立てないのに尻を持ち上げるには、それしか方法がないからだ。
「ほう?」
 青年は関心した声を上げていた。
 そう、明日香の判断はこの場でショーツを脱ぐことにある。秘所からローターを取り出せば、四度目の絶頂は避けられる。振動による快楽も無効になるため、また立ち上がって動くことができるだろう。
「こっ、これは本来のルール通りのデュエルじゃない……はふぁ……! は、外すことが可能なはずだわ……!」
 しかし、四つん這いで両手を後ろにやるということは、尻だけが高々と持ち上がった情けのないポーズを取ることだ。地面に頬ずりをするような姿勢の明日香は、短い青スカートの中に手を入れて、ブルーのレース付きショーツをあらわにしている。
「『姿勢反転』を発動!」
 次のカード効果により、明日香の身体の向きは文字通り反転した。壁向きだった尻は青年の側となり、つまりショーツを脱ぐことはイコール目の前で下半身を丸出しにすることだ。
「あなた……!」
 人前で下着を脱いでみせる時点で、本来ならありえない。尻を見せつけるようなストリップの披露など、明日香には想像もできないことだった。
「どうした? 恥ずかしくて脱げないか?」
「……いいわよ。脱いであげる」
 腰の両側のゴムに入っていた指が、尻の豊満な丸みに沿ったショーツを下げ始める。肌の露出面積が広がるにつれ、すぐに桜色の肛門が顔を出し、その下にあるローター入りの秘所も外気に触れる。
 太ももの半ばまで下げた明日香は、アソコの中からローターをつまみ出し、向こうへ投げ捨て振動快楽から脱出する。
「魔法カード発動! 『再着衣禁止令』! この効果により、このデュエル中、アンタはその脱いだショーツをもう一度履き直すことができなくなる」
「本番がやりやすくなったわね。だけど、これで私は自由なのよ!」
 すぐに立ち上がる明日香は、青年のカードを奪おうとディスク目掛けて手を伸ばす。
「二枚目の『女殺しのピンクローター』を発動し、さらに『淫道の呪淫』!」
「『淫道の呪淫』……!」
 明日香は戦慄しながら、新たなピンクローターの振動に股をやられ、腰が砕けるように力が抜けて尻餅をつく。当然スカートの中に手を入れて、取り除こうとするのだが、まるで見えない力に固定されているように、どう引っ張ってもローターは秘所の中から動かなかった。
「『淫道の呪淫』は女性に装着されたエロアイテムを対象に発動する。これにより、今アンタの中に入ったピンクローターは、条件を離さなければ抜き取れない!」
「条件……!?」
「俺を射精させることだ」
「……くっ!」
 何か奉仕をしなければ、ローターによって高ぶるアソコは、やがて次の絶頂を迎えることになってしまう。絶頂カウンターが溜まればさらに不利だが、かといって青年の言いなりに手なり口なりでしてやるなど、真っ平ごめんもいいところだ。
「さあ、どうする?」
 青年はズボンの中から一物をつまみ出し、勃起済みの肉棒を明日香に向ける。
 背に腹は変えられない。
「……仕方ないわね。童貞君なら、どうせすぐに出るんでしょう?」
 青い指貫グローブの手で、明日香は恐る恐る握ってみせる。ぎこちなくしごき始めるあいだにも、ブィィィィィィンと無機質な振動音と共に競りあがる快感が、明日香に絶頂の予感を与えていた。
「その手つきは、やっぱり処女だろ? 明日香さんよ」
「う、うるさいわね……んぬぅっ……!」
 イカないように、イカないようにと意識しながら、初めて握る肉棒に指圧をかけ、少しでも早く射精させようと手首にスナップをかけている。初心者にしては軽やかな手コキであるが、これだけ我慢しているのに、もうアソコの高ぶりは決壊寸前まできていた。
 緩んだ蛇口から水が一滴ずつこぼれるように、愛液がポタリポタリと、太もも半ばで止まったショーツのクロッチへと垂れている。

「――むっ! くふぁ! ああん!」

 スプレー噴射に似た愛液の潮が飛び出て、これで四つ目の絶頂カウンターが乗ってしまう。
「どうした? 明日香。イケばイクほど、次の絶頂を迎えるまでの感覚が短くなるが?」
「わかっているわ。そんなこと……!」
 だからこそ焦り、明日香は懸命にしごいている。ローターを外したいための努力は、その表情を含めてみれば切実さが伝わるが、少し遠めに見れば、ただ男に尽くしてやまない姿としか映らない。
「まずいぞ? まずいぞ? 五個目のカウンターが乗ったら、次にイクまでの時間はどれくらい短くなるかな?」
「んくぁ……はぁ……! ふはぁ……!」
 四度もイった体で息は荒い。喘ぎ混じりの呼吸音はそれだけで卑猥である。
「六個目は? 七個目は?」
 青年の言葉が焦燥を煽る。
 もうまずい。
 五度目が、迫っている。
「むぁ……! あっ、まだなの……! あふぁ……あなたぁ……!」
 喘ぎ声が挟まって、もうスムーズに喋れていない。
「言っておくが俺は童貞じゃない。俺がイクより、どう考えても五回目が早いな」
「そうはいかないわ……!」
 明日香は咥えた。
 もう、それしかないからだ。
 唇を大きく広げ、肉棒を飲み込んだ明日香は、迫る絶頂から逃げる思いで頭を振る。舌をいくらでも動かして、唇で圧する技を使えばいいであろうことは、全てこの場の判断である。
「頑張れ頑張れ、楽しいレースだ!」
「――じゅっ! じゅむぅぅっ、じゅるん! じゅぷっ、ちゅるぅぅ!」
 唾液の汚い音が鳴り響き、それがようやく青年の射精感を引きずり出す。
「――ちゅるるぅぅ――じゅるぅ――じゅじゅ――ぢゅる――んじゅぅぅ――じゅじゅん」
 あと何秒で絶頂するかもわからない疼きと競うように、一瞬でも早く精液を飲もうと必死になり、そして明日香の口内に熱い白濁が放たれる。

 ――ドクゥゥン! ドクドクン! ビュルン!

 白いものが撒き散らせ、頬の内側も、舌の上も、口内のいたる箇所が穢される。
 その直後だ。

「――んんん! んふぁあああ!」

 絶頂するなり背中を反らし、明日香は思わず吐き出しながら、すぐにスカートに手を突っ込んではローターを引っ張り抜く。

「『女殺しのピンクローター』! 『淫道の呪淫』!」
「ま、また……!」

 絶頂カウンターは五つ。迷っている余裕はない。
「はむぅぅぅ――」
 明日香はすぐに喰らいつき、一心不乱に頭を動かす。
「ふっむ……むふっ……んむぅ……んじゅぅ……ちゅじゅっ、じゅるるぅ…………!」
 激しい口技は確かな快感を与えているが、快楽の痺れがみるみる秘所に集まるような感覚が、それ以上に早い六度目を予感させる。
 カウンターが六つになったら――――。
「はむぅ――じゅるぅ――じゅじゅん! じゅぷぅ――むぷぅっ――むじゅぅ――!」
 早く、早く射精させなければ――。

「――んんん! んむぅぅぅぅ!」

 咥えた状態での絶頂で、明日香は全身を震わせたが、こうなったら七度目から逃げ切ろうとフェラチオは続行する。

 ――ドックン! ビュルゥゥ! ビュル! ビュル!

 上顎を打つように跳ねる肉棒が、また明日香の口内に白いコーティングを撒き散らす。飲むか吐くかを迷う時間すら惜しいように、慌てふためく気持ちでローターを取り出して、なんとか絶頂地獄を抜け出した。

「『極太のスーパーバイブ』、『淫道の呪淫』」
「そんな……!」

 絶望的な顔を浮かべる明日香は、もう泣きながら咥えていた。
「はむぅぅ……」
 ローターよりもずっと気持ちいいイボ付きのバイブは、反り返った棒の長さを明日香の膣内にフィットさせ、無機質な振動音と共に快感を与えている。
「――むふぅぅぅ!」
 絶頂カウンター七つ。
 どんどん増えていくのが嫌なら、喘ぎ声を殺してでも、最後の最後まで咥え続けている必要がある。
「――んぶっ、んむぁ!」
 絶頂カウンター八つ。
 太いがためにイボ付きの竿の側面は、膣壁にぴったりと密着して、隙間ない状態で明日香のアソコを内から揺らしている。
「んぶっ、ふぶぅっ、ちゅむぅ――」
 亀頭に唾液を塗りつける舌技を駆使しながら、根元を握った右手で手コキ混じりに、唇で締め付けたまま前後に動く。
「んぶ! んむっ!」
 絶頂カウンター九つ。
 そう風もないはずの密室で、ほんのわずかにある大気の流動だけで、ノースリーブの露出した肩が撫でられることさえ気持ちいい。全身が性器と化したような、皮膚が溶け落ちるような快楽に身体は染め上げられ、あとはもう秒刻みでカウンターが増えていくだけだった。
「――んぅ! んっ! んぶ! んぶぅぅう!」
 十、十一、十二、十三――。
 スプレーの連射のように潮が拭き、石畳の床が汚れていく。
「んぶぅ! んっ! んむぅ!」
 十四、十五、十六――。
 それでも、口に肉棒を収めた状態を維持するだけが、絶頂地獄を脱する唯一の手段だ。
「んぶぅぅ! むぅぅ!」
 十七、十八――。
 もう力など入らない。座った姿勢を崩さずにいられるだけで不思議なほどだ。肉竿の角度を支えるために使っていた右手は、だらりと床に投げ出されている。頭の前後運動も緩くなり、あとは舌を左右に振ることだけが、明日香に残された青年を射精させる方法だ。
 十九、二十、二十一、二十二――。
 明日香の股下には、オシッコを漏らしたのでなければ本来説明がつかないほど、おびただしい量の愛液の円が広がっている。
「もういい加減に飲ませて欲しいだろ」
「…………」
 舌の動きさえ緩み始める明日香は、力ない表情で青年を見上げた。どうか許して欲しいかのような顔つきで、媚びた眼差しを向けてしまうのも、もはや無理のない状況だ。
 二十三、二十四――。

 コクン。

 と、頷くように首を縦に揺らした明日香は、その口で青年の精液の味を受け止めた。舌の表面を白くコーティングする射精に、やっと安心した顔を浮かべる明日香は、けれど自分でバイブを抜く力が残っているわけでもなく、ゆっくりと倒れていった。
 ビクっと身体が弾み、これで絶頂カウンターは二十五個。
 青年の手でバイブを抜いてくれなければ、一体あと何十回の絶頂を味わう羽目になったのかはわからない。
「はぁ……はぁ…………」
 そこには動けない明日香の姿があるだけだった。
「少し休憩しよう」
 青年は新たにカードを発動する。

「おやすみ――明日香――」

 明日香はゆっくり、まぶたを閉ざしていき――。
 それから、意識を暗闇に落としていった。

     ***

 目覚めたのはベッドの上だった。
「ここは……そう、まだ牢獄なのね…………」
 眠っているあいだに運ばれたのだろう。
 特に拘束具はついていないので、駄目なら元々、脱出方法を一応探してみようかと、とりあえず起き上がる。
「――んっ!」
 そして、ただ衣服が肌に摩擦するだけが、快感となって明日香の口から声が出ていた。
「おはよう。明日香」
 ちょうど良く鉄格子の鍵を開け、青年は明日香の前へ歩んでくる。
「……まだ続いているのかしら?」
 青年の腕にはデュエルディスクが起動している。
「そうだ。明日香に乗せられた絶頂カウンターは二十五個。その数だけ感度が増す。あるかないかの微妙な風、少し動いただけでの服の摩擦。そんなことが快楽になる状態だ」
 バイブもローターも入っていないが、ショーツの気配は消えている。下着は青年に取られたのかもしれない。
「素晴らしいことをするのね。けど私は負けないわよ?」
「わかってないな。なんで休憩を与えたと思う?」
「さあ? あなたの立派な一物から、出すものを出し尽くしたってところかしら?」
「もう動かない獲物にトドメを刺しても面白くない。活きのいい女の相手をするためだ」
「……本当に素晴らしいのね。あなた」
 全身の皮膚という皮膚が、もうどこか疼いている。どこもかしこも、頬だろうと肩だろうと背中だろうと、どこでもいいから触って欲しいような気持ちが、どうしようもなく沸いてしまうのは、全て青年の発動したカードのせいだ。
「永続魔法『絶頂封印』を発動。このカードが存在する限り、これから全ての絶頂は寸止めとなり焦らしプレイとなる」
「あら、もうイカせてくれないのね」
 挑戦的な表情を浮かべてみせながら、明日香は脱出の算段を図る。今なら青年が鉄格子の鍵を持っているから、なんとか彼を倒せれば、あとはいくらでもチャンスがある。
「ディスクはここに置いておこう。俺じきじきにアンタに手を触れるためには、どうしても邪魔になるからな」
 デュエルディスクが床に置かれる。
 ――今!
 好機と踏んだ明日香な、瞬間的に立ち上がろうとするのだが、あまり勢いよく動いたために走る電流が、思いのほか強くて足が鈍る。飛び掛る力が出ないどころか、刺激のせいで仰向けの大の字に倒れてしまった。
「……くっ」
「そうそう自由に動けると思ったのなら間違いだ」
 青年はベッドに上がり、明日香の頬に手を触れる。
「――んん!」
「どうした? たかがほっぺたじゃないか。そんなことでオッパイを揉まれたら、一体どうなるんだろうな」
 青年の手は、次に乳房を掴もうと迫っていく。
「や、やめ……!」
 制止の声など届くはずもない。
「ほーら」
 楽しげな青年は、両手で乳房を揉みしだく。
「ひあぁぁぁぁぁ――!」
 甲高い喘ぎと同時に、上半身がビクっと痙攣じみて震えていた。
「まったくいいオッパイだ。揉み応え抜群じゃないか」
 左右それぞれの五指は、ぐにぐにと踊り込んでは揉み潰し、柔らかな変形を繰り返させる。
「……ッ! ――んッ!」
「どれ、ダイレクトアタックといこうじゃないか」
 青年は黒のノースリーブを持ち上げて、ブラジャーごとずらし上げ、生の乳房を剥き出しにして直接揉む。
「……んっ! っ、っん! ん!」
 乳首を転がす刺激に悶え、明日香は激しく顔を振り乱す。よがる手つきがシーツを掴み、くねるように暴れまわった。
「いいのか? せっかくのチャンスだぞ?」
 人差し指が上下に動き、乳首はじわじわ苛め抜かれる。
「――ッ! んふァ!」
「なんのためにデュエルディスクを床なんかに置いたと思う? お互いに勝ち目がなければ、ゲームにはならないからな。俺を押し退けて停止させれば、絶頂カウンターによる感度上昇の効果も終了するのになぁ?」
 青年の囁く言葉が、明日香の諦めない気持ちを引きずり出すが、乳首を責められるだけでもシーツを掴んだ手が離れないのだ。目と鼻の先にある逆転のチャンスなのに、決して届かない歯がゆさに縛られ、明日香はそんな中で首まで大きく反らしていた。
「――んんんん! ――ん! ――ッッ!」
「アソコはどうだ?」
 スカートに手が忍び込み、縦筋をなぞりあげた。

「――ンンアァァァァァアアア!」

 たった一度の責めで、今まで以上に大きな喘ぎ声が上がっていた。
「おいおい。楽しんでいる場合か? もっと抵抗してみせろよ」
 濃密な愛液を塗り広げ、皮膚の表面を丁寧に撫でてやるような巧妙な愛撫は、明日香の脚をみるみる左右に広げていく。抵抗の意思は残っているのに、身体がそれを裏切るように、やがて卑猥なM字開脚が上向きになっていた。
「――あッ! あああッ! あん! んあ! ふあああ!」
 尿意が急速に強まるのとよく似た絶頂の予感が、明日香の秘所でヒクヒクと高まっている。もうあと何秒で潮が吹くとも知れない中で、いよいよ「イク!」と、心が叫んだ時だった。

「……え?」

 明日香はイカなかった。
 ゴール手前で何故だか後ろへ数歩下がっていくような、かすかなリセットがかけられて、来るはずの絶頂は自動的にキャンセルされた。
「言っただろ。永続魔法『絶頂封印』の効果がある限り、全て寸止めとなるってな」
「そ、そうだったわね……」
「だから、絶頂カウンターが増える心配はない。気にせず感じまくればいい」
 青年の指が膣口を抉り、もはや電流を通り越して、落雷ですらある快楽が、背中を巡って身体がビクンと跳ねる。
「無駄よ! わ、私は――!」
 明日香の全身が震えている。

 ――くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ。

 指の出入りによって鳴る音が、愛液の増量に応じてだんだん大きくなっていきながら、明日香の身体は左右に激しくくねっている。まるで延々と電流を流し続けて、それに反応した筋肉がビクンビクンと反応を繰り返しているように、足も腰も首も、いやらしくよがり込む。
 そして、絶頂の予感。
 イク……!

 いや、イカない。

 すぅーっと引いて、極限を超えかけた快感度合いはいくばくか低下する。

 ――くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ。

 また手淫によって高められ、今度こそ秘所に集まる何かが弾けて、それが潮吹きとなるような予感に囚われていた。

 ――イカない。

 ――くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ。

 手は寸止めのために止まってなどいないのに、決壊寸前で数秒手前に巻き戻され、直ちにまた絶頂直前に陥る。絶頂カウンターの効果でイキそうになるまでの時間は早く、そしてリセットがかかるため、もう数秒おきの繰り返しとなっていた。

 イク……!
 いや、イカない。

 イク……!
 いや、イカない。

 もどかしくて、じれったくて、堪らないものだけが溜まっていき、それが絶頂として発散されることは決してない。
「どうだ? 明日香。もっと余裕を気取ってみせろよ」
「――うっ! うあッ! あッ! ああん! あふぁああ!」
「それとも、もうセックスがしてみたいか?」
「――ッ! そ、そんなことはッ!」
 ハッと夢から覚めた顔をして、明日香は慌てて否定するが、その表情はすぐまた直後に気持ちいいのを我慢するものへと立ち戻り、何度でも続く寸止めへのもどかしさに変わっていく。
「実は俺に犯されたいんだろ? もう快楽に屈服しかけているんだろ?」
「違う! 違ッ! ああッ!」
「処女を奪われたらアンタの負けなルールなんだぞ?」
 いつでも奪えることを示さんばかりに、青年は一物を取り出して、亀頭を入り口に押し付けたまま上下に割れ目をなぞり始める。
「やめて……!」
「やめて欲しいなら抵抗するんだよ。闘うんだよ。どうした、できないのか?」
「……このッ」
 明日香はシーツを掴んでいた手を離し、青年を押し退けてやろうとするのだが、とても力が入らずどけられない。
「アンタは堕ちているんだよ。セックスを求めているんだよ」
「違う! 違うわ……!」
 本当は抵抗したがる眼差しがそこにはある。
「ほら」
「――アアァァン!」
 クリトリスを指腹でワンタッチされただけで、背中が大きく浮き上がり、せっかく青年を押し退けようと動いた手も、ベッドに落ちてシーツを掴み直していた。

 イキたい、イキたい、イキたい――。

 それだけが、アソコの中に溜まっていく。
「――あっ! あふああ! はあ! ふはああ!」
 イクことの許されない愛撫に喘がされ、たった数秒おきに来る寸止めが、もう何十回にもわたって繰り返される。
「ほら、どうするんだ? もう頑張らないのか?」
「――そんなこと――んん! いぁっ! い、ってもォ!」
「しょうがない。だったら、こうしてみようか」
 青年はおもむろに明日香を抱き上げ、床の上まで運んで四つん這いに下ろしてやる。
「どうして……」
 目の前にはデュエルディスク。
 魔法罠ゾーンの部分に差し込まれたカードを引き抜けば、二つの永続魔法の効果は消滅して、明日香の感度は正常に戻る。寸止めも終了する。そのチャンスが今、ご丁寧にカードが明日香側を向いた状態で待っていた。
 そして、四つん這いの尻の後ろから、バックスタイルで犯そうとしてくる肉棒が、ぷにりと入り口に当てられている。
「さあ、どうした?」
「一体どういうつもりなの!」
「どうもこうも、選ばせてやるって話だ」
 まるで何かを塗りたくるかのように、亀頭が割れ目を上下になぞっている。それがじわじわと疼きを高め、明日香のアソコはもうほとんど何かを欲しがる状態と化している。
「んぅ……」
「ほら、どうしたんだ。俺をぶん殴って気絶させて、鉄格子の鍵を奪って脱出するなら、両方のカードを抜けばいい」
「私は……」
 明日香はディスクに手を伸ばす。
「もしセックスがしたければ、寸止めの効果を持つ『絶頂封印』を抜けばいい。楽しくイキまくることができる」
 もちろん両方のカードを抜くつもりでいた明日香は、しかしセックスも魅力的なことに思えてしまって、思わず手を止めてしまった。

 ――何を! 何を考えているというの?
 ――わ、私は……!

 明日香の愛液にまぶされた亀頭が、ぐるぐると円を描くように擦り付けられている。それが甘い痺れを生み出して、膣穴をヒクヒクと疼かせる。
「私は両方のカードを抜くわ…………」
 ついに明日香はカードを掴み、まずは『快感の絶頂時計』を抜いてから、次の『絶頂封印』も外してみせる。

 ――う、打ち勝ったわ!
 ――これで私は欲望になんて……。

「で、逃げないのか?」
「……え?」

 そこで初めて明日香は気づいた。
 身体からすぅーっと感度が抜けていき、もう服が擦れて喘ぐようなことはない。正常であれば存分に動けるため、こんな青年なんて殴り飛ばしてしまえばいい。
 それをしない明日香がいた。
 四つん這いのまま、アソコに肉棒を塗りつけてくる青年の行為を良しとして、ただただじっと何かを待ちわびている自分自身の心に気づいた。
「ち、違うわ! 私はそんなんじゃ――――」
 そう、そんなんじゃない。
 少しおかしくなっただけだ。カード効果の煽りを受けすぎたのだ。
 今の自分は自分じゃない。いつもの正常な判断力なら、こんな挿入待ちのポーズでじっとしているだなんてありえない。
 そのことに気づいて、明日香はその正常な判断力を取り戻しかける。
 だが――。

「もう遅い」

 腰のくびれを捕らえられ、明日香は逃げを封じられた。
 にゅぅぅぅぅ――っと、壁と壁の張り合うような膣口の狭間を割り開き、今に入り込んで来る肉棒の感触がそこにはあった。
「そんな…………」
 明日香の心は敗北に満たされていた。
「あーあ。とうとう挿入されちゃったな」
 押し付けられた青年の腰が、明日香の大きな尻を潰している。根元までしっかりと埋め込まれた肉棒を感じ取り、処女を奪われたことを実感する中で、やがて始まるピストン運動に明日香は喘いだ。

 ――パン! パン! パン! パン! パン!

「――あっ! あんん! ぬふぁ! あふっ、ふぁぁああ!」

 大胆に腰をぶつけてくる衝撃が、明日香の尻をプルプルと振動させている。いかにカード効果分を差し引いても、開発自体はされた身体だ。膣壁を抉る出入りは激しい痺れとなって股全体を駆け巡り、明日香は大きく背中を反らす。
「――ふぁぁぁッ! ふあッ! あ! んむぅぅッ! ヌァッ! はふぁあ!」
「なかなかのマンコだ。アンタの体は凄い使い心地がするぞ」
「――つッ! 使いっ、ごこちって――んあ! んあああ!」
 膣壁のヒクヒクとした痙攣が、肉棒をしっかりと握って締め上げる。それでも逃げようと思っていた明日香の意思は、前後運動につれて潰れていき、もう完全にされるがまま犯されていた。

 ――負けてしまったの?
 ――私はこんなことで……。

 エッチな責めに屈服させられたという、言いようによっては下らない手段に負かされたとしか言いようのない事実が、ますます明日香の心を締め上げている。

 ――パン! パン! パン! パン! パン!

 豊満な乳房が前後に揺れ、青年はそれを掴んで揉むために、背後からしがみついて鷲掴みにする。
「アアァァ! あっ、イッ、いく……!」
 待ちわびた絶頂が近づいていた。
 こうなったら肉棒を逃がすまいとする明日香の身体は、より強く膣壁に力を込めて、潰さんばかりに圧迫する。
 やがて――。

「――アァァアア! あっ、あん! ンァァァァァァ!」
 ――ドクドクドクッ、ドクンドクン! ドクウゥゥ!

 青年は腰を小刻みに震わせながら、腰と尻を密着させて膣億へと精液を噴き出して行く。
「い、イケたのね……私……」
 明日香は満足感に浸っていた。
 こんなところで、こんな男にいいようにされて、自分は本当に敗北者だとつくづく感じ取りながら、明日香は余韻の中で目を閉ざした。




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