セレナの調教役


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 セレナがスタンダード次元に赴いたのは、監視役がバレットとなってからの話だ。

 ――たとえお前が止めても、私はスタンダードへ行く!

 強く意志を固めてみせると、バレットはセレナを止めはしなかった。
 ただ共に行くと言い、降り懸かる火の粉を払うのが役目であると、赤馬零司とのデュエルも彼が引き受けてしまった。
 セレナを止めなかった監視役はバレットが初めてである。
 つまり、それ以前は止められていた。
 セレナに余計な行動を取らせたくなかったアカデミアは、バレット以前まではとんだ監視役を当ててきたこともあったのだ。
 監視役というよりも、あれはもはや調教役といえた。
 そう、時間は過去へ遡り――。

「とんだお目付け役ね」

 ベッドへ寝かされたセレナは、自分に向かって覆い被さる男を毅然と睨み返し、決して心は折るまいとする姿勢を見せていた。
 屈服が狙いに違いなかった。
 こうすることでセレナに立場を教え、あとあと何でも命令を聞かせる。
 そういうアカデミアのやり方だ。
「これが私の役目ですから」
「役目? 立場にかこつけてシたいだけでしょう?」
「どうとでも申して下さい。私のやることは変わりません」
 男はセレナの胸を揉む。
「汚い手で……!」
 セレナは反射的に身をよじるが、この状況は逃れられない。
 両手が拘束されているのだ。
 手首に手錠のかかったセレナは、バンザイのようなポーズで両腕を上に固定され、せいぜい伸びている鎖をじゃらつかせることしかできない。抵抗ができるとしたら、膝蹴りでも入れてやることくらいだが、屈強な肉体を持つこの男は、セレナの蹴りではびくともしないのだ。
「とても良い乳房です」
 自動的に好きにされるしかなくなった。
 アカデミアの赤い制服を介して、男は存分に膨らみを解きほぐし、やがて内側に着ている黒いシャツへ指をひっかけ、ずり上げていく。さらにブラジャーをずらし上げると、突起した乳首を巧妙に弄り始めた。
「動けない女を好きにする。変態らしいやり方ね」
「しかし、確実に心地良くなっておいででしょう?」
「黙れ! お前などで感じるわけがない!」
 セレナは声を荒げた。
 摘まれた乳首の先から甘い痺れを感じつつ、確かな疼きの予感を覚えながらも、セレナは頑なに快楽を拒む姿勢だ。
「ではこちらはどうでしょう」
 男はそんなセレナのスカートを捲り、黒スパッツに包まれた秘所の肉貝をなぞり始める。
「――――っっっ!」
 迫り来る快楽の電流に、セレナはひどく顔を顰めた。
「感じましたか?」
「馬鹿を言うな!」
 怒鳴り返すセレナだが、男は構うことなく愛撫を続ける。
 割れ目を上下になぞるような指遣いが、少しずつ少しずつセレナを刺激し、股の疼きを着実に強めている。まるで汗ばむかのように秘所の部分に湿気が出て、時間をかけるごとにだんだんと、愛液の気配は濃密なものとなっていく。
「あなたは濡れているのですよ? 私の指で」
 男は囁く。
「決して快感に逆らうことはありません。私があなたを楽しませてご覧に入れます。天国へとお連れしましょう」
 意地悪な悪魔のような囁き声は、熱い吐息となってセレナの耳へ吹きかかり、ペロリと舐めずられることで、耳の穴さえ熱くなる。
「じ、地獄だ。こんなもの……」
「そんな風におっしゃってはなりません」
 右手が乳房を、左手が秘所を。
 上下の恥部への愛撫だけに留まらず、男は耳を口に含めさえした。甘噛みで軽く歯を当て、舌によって唾液を塗る。片耳を唾液にまみれされると、もう一方の耳も同じく食み、首筋にまで舌を這わせて舐め上げる。
「やっ、やめ――」
 男の巧妙な愛撫に、セレナの頭は甘く痺れつつあった。
 強気に睨み返そうとする目つきこそ変わりはしないが、その頬は否応無しに紅潮し、何かを我慢するかのように唇が結ばれている。
「時間をかけて地道に快楽を引きずり出す。実に変態らしいやり方でしょう?」
「お、お前……!」
「さあ、もっとお楽しみください!」
 ずるり、と。
「――――っ!」
 スパッツが膝まで下げられ、愛液を帯びたセレナの秘所は、男が意地悪く微笑む視線の中へと曝け出された。
「ほら、こんなに甘い蜜が出ているのですから」
 男は指に愛液を絡め取り、いかに濡れているのかをセレナに見せる。
「そんなもの……」
「あなたは感じているんです。私に触れられ、この指でこれだけのものを出したのです」
 快楽を自覚させようとする男の言葉が、みるみるうちに脳を締め付け、反抗的なセレナの眼差しに甘いものを紛れ込ませる。
 再び秘所への愛撫が始まり――。
「――ひっ、んんぅ!」
 セレナは懸命に目つきを維持したまま、声を出さないために唇を丸め込む。
 そんなセレナの膣口へ、指が一本差し込まれた。
「――んっ、んん!」
 閉ざされた唇からは、息漏れのようなそれだけの声が上げられた。
「さあ、感じてください。そのお体を解放し、存分に性を味わうのです」
「ンンッ、ンゥッ、ンン――!」
 指の出し入れが始まると、見るからにセレナの反応が変わった。
 ポニーテールの髪を振り乱し、手錠の鎖をじゃらつかせる。男を恨むような眼差しでありながらも、耳さえ赤く染まり上がり、セレナの肉体は完全に快楽で満たされていた。
 突起したクリトリスに指が添えられ、挿入の本数も二本、三本へと増えていく。
「ンッッ――ン――――」
 男の指先一つで腕がよがり、身がよじられ、セレナの肉体は支配下に置かれていた。
「ほら、こうするともっといいでしょう?」
「ンゥゥ! ンッ! ンン!」
「指がどんどん激しくなっていきますよ?」
 ぐちゅり、ぐちゅりと。
 活発になった指の出入りで水音が鳴り、堅く結ばれた唇からの息漏れの声は、しだいに激しさを増していく。
「ンッ! ンッ! ンッ!」
「ほらほら」
「ンンゥゥゥゥ! ンンウ! ンンン! ンンッッ!」
「どうですか? そろそろ、素直になりたくなったのでは?」
 様子を見るために指を引き抜くと、セレナはまるで疾走した息切れのように、大きく肩で息を吸う。
 汗を流したその体で、それでもセレナは折れまいとしていた。
「お前のような者に心を許す私ではない!」
「おや」
「こんなことをしたって、私の心は好きにはさせない」
 セレナは辛抱強く自分を保ち続けていた。
 襲い来る快楽の中で、濁流に溺れるような思いをしながら、それでもセレナはこんな男よりも自分が上だと思うことで自己を保った。
 こんなゲスの真似をする男より、自分は上だと……。
「では仕方がありません。最後のステップへと進みましょうか」
 男はすると、ベルトの金具の音を立て、チャックを下げてそれを取り出す。
 セレナは戦慄した。
 男のズボンから出てきて、今に秘所へと添え当てられている先端は、肉茎の亀頭以外には考えられない。
「ま、まさか! そんなことまで!」
「そのまさかですよ」
「やめろ! こ、これ以上は――」
 ズブリ。
 容赦なく腰は押し進められ、肉棒が根元まで埋まり込み、そしてすぐにでも男のピストン運動は開始された。
 赤いブレザーの腰を両手で掴み、男は大胆なストロークで奥を貫く。
「――――あっ、んんんん!」
 セレナは唇を堅く閉ざし、淫らな声だけは出すまいと堪え始めた。
「心地良いですよ? あなたのナカは!」
 スパッツの膝に絡んだ着衣のままの交わりは、一突きごとにブレザーの狭間の乳房を上下に揺らし、前髪を左右に揺らす。
「ンンゥゥゥゥ! ンンウ! ンンン! ンンッッ!」
 セレナは何度も背中をビクつかせ、海老が跳ねるかのように仰け反り続ける。
「さあさあ! 感じて下さい!」
「ン! ンァ――ンァァ! あぁっ!」
 固かった唇はやがてほどけ、ここまで我慢してきた喘ぎ声が漏れてしまう。
「ほらほら!」
「――おっ、おぁ! お前! ゆっ、ゆるさな――あぁん!」
「なんですか?」
「許さない! 許さない!」
「ほう。許しませんか? それでは――」
 ――と。
 男がおもむろに取り出したのは――。

 ビデオカメラだった。

「そ、それは!」
「せっかくです! この記録を残しましょう!」
 男は動画撮影モードのカメラを片手に腰を振り、首をよがらすセレナの顔を映し込む。突き上げるたびに上下に揺れる乳房を、グチュグチュと水音の鳴る結合部を、撮られたくないであろう姿を全て映されていった。
 十分、二十分……。
 長々と続くピストン運動で動画時間の記録は伸びていく。
 皮膚から滲む玉の汗で全身の肌が蒸れ、アソコの辺りがますます熱く温かくなり、時間が経つほどその姿はより官能的な絵として撮られている。
 そして、この体位が変わることのない単調な交わりは、一時間以上は撮影され――。

 ドクドクン! ビュルルゥゥゥ! ドクッ、ドクン!

 吹き上がる精液のシャワーがセレナを濡らし、赤いブレザーとスカートの上を白く汚した。
 セレナは涙目だった。
 相手を許せない思いの篭った恨みがましい視線の目から、じんわりと涙を滲ませ、頬を赤くしているセレナの姿は、負けて悔しがる女そのものだった。
「……しなさい」
「なんですか?」
「返しなさい! そのカメラ!」
「これは私の物なんですがねぇ?」
「だったらデュエルよ! 私が勝ったら、カメラはこちらに渡してもらう!」
「いいですよ? 受けて立ちましょう。ただし――」
 デュエルを受ける条件として出された行為。
 それは――。

「じゅるるぅぅ……。じゅぷっ、ちゅく、んぷぅ…………」

 男の一物を口に咥えることだった。
 大きく唇を開き、太い肉棒を口内へ受け入れる。舌をべったりと貼り当てたまま、顔を前後に動かす運動を強要され、セレナのそうする姿にさえもカメラレンズは向けられている。
「どうして、これも撮るのかしら」
「私が勝てば、記録は残るわけですから」
「ふん。勝てばね? この報いは絶対に受けてもらうわ」
 セレナはもう、それだけを胸に抱いて心を保っていた。
 これさえ済めば、デュエルができる。デュエルさえ始まれば、こんな男に負ける気はまるでしない。
 報いは必ず受けさせる。
 それだけを胸に顔を振りたくり、口を使った刺激を与えた。
「ずちゅぅぅぅぅ……」
 亀頭の先端に吸い付き、滲んでくる汁を吸い上げた。
「れろん。レロォォォ……」
 根元から先端にかけてまでゆっくり舐め上げ、そんな方法を数回以上繰り返した。
 そして、今一度口に含んで頭を動かす。
「――ジュッ、じゅじゅう。じゅくっ、じゅぷん。んぷ、あぷぅ……」
 二度目の射精が来た時、白濁は全て口の中へと流し込まれ、セレナはそれを飲まされる羽目となった。
 だが、これでデュエルができる。
 デュエルさえできれば――――。


     ***


「いかがなさいました?」
 それは次元を超える直前。
 ふと、そんな嫌な思い出が頭に蘇っていたおり、顔色を読まれてか、バレットに様子を気遣われた。
「いいえ、何でもないわ。行きましょう」
 セレナはバレットを引き連れ、これからスタンダード次元へ赴く。
 
 思い出すと、アソコが疼いた。
 調教師から回収したカメラの動画は未だに削除していない。嫌な思い出のはずなのに、地獄ともいえる出来事だったのに、手に入れた動画をセレナは自分自身で再生してしまう。
 組み敷かれ、言う事を聞かされた出来事を動画によって思い出し、それをネタにして自分の秘所を慰めているなど、誰に言える秘密でもありはしない。
 決して誰にも、スパッツの中に手を入れて、自慰にふけるなどという秘密を明かすことなどできなかった。




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