青き眼の性交儀礼

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 頭に丸い兜を被り、銅色の鎧を着込んだゴブリン突撃部隊の大群が、巨大な荒波となって城門へと押し寄せている。おびただしい数の鉄の棍棒で鉄門は叩きのめされ、その恐ろしい腕力によって、厚さ数十センチであったはずの門は変形を始めていた。
 城門が破られるのは時間の問題だ。
 そして、国内にゴブリン突撃部隊がなだれ込めば、何の罪もない住民は蹂躙され、略奪の限りを尽くされることだろう。
 何人死に、何人犯されることか。
 高い城の屋上から、青き眼の乙女は攻め来る侵攻軍を見下ろしていた。
「このままでは……」
 焦燥の汗を浮べて、乙女はすぐさま城内へ戻っていく。
 城内の廊下を突き進み、ある一つの部屋へ向かった。
 悪の帝国との戦争中である青眼王国は、十年以上も続く戦いに消耗して、この日はついに首都への侵攻を許している。兵士の数も手薄になり、今のままでは守りきれない。

 ――青眼の白龍を呼び出す時が来たのだ。

 そのための部屋へと、乙女は足を踏み入れた。
「お待ちしておりました」
 青き眼の賢士が、乙女の前に膝をつく。
「直ちに身を清めます。いま少しのお待ちを」
「――ハッ!」
 賢士の力強い返事。
 乙女はさっと浴室へ歩んでいき、上下一体の蒼い装飾入りの衣装を脱ぐ。熱い湯気に満たされた大浴場で身を清め、青眼龍光臨の儀へと取り掛かった。
 青眼の白龍とは、ここ青眼王国に伝わる神のごとき存在だ。国を守ってくださる守護神として信仰を集めており、一つの宗教として成り立っている。
 そして、白き龍の魂は、清らかなる少女に宿るとされている。とある儀礼を執り行うことにより、自身に憑依した神を呼び覚まし、大いなる力を存分に振るっていただく。
 そのための『儀式』が、これから行われる。

 長い長い白銀の髪は、きめ細かな光の粉をまぶしたように、キラキラと輝きを放つ。一糸纏わぬ肌はどこまでも白く艶やかで、触れた指先がよく滑る。それなりの乳房と、くびれの効いた曲線的な腰つきと、尻の大きい下半身。
 官能芸術といっても、決して大げさではない。
 乙女に仕える身である賢士は、その大いなる美貌に魅入られて、息を荒くしながら乳房を手の平に包んでいた。柔らかいようでいて、肉のしっかりと詰まった弾力が、賢士の指を力強く押し返す。
「…………」
 乙女はただ全てを受け入れるために目を瞑り、静かにされるがままとなっていた。
 賢士は突起した乳首を舐める。
「――――んっ」
 甘い声が、かすかに聞こえた。
 乙女はこれを自分の大切な役目として理解している。その身に神の力を宿し、強大なる光で邪悪な敵軍を打ち払う。青眼の白龍を呼び出す『儀式』へと、立派に身を捧げることこそが、役目であり宿命なのだ。
 賢士はそんな役目ある乙女に見初められ、お相手役に選ばれた人物だ。
 ならば、賢士にとってもこれは大切な『儀式』なのだが、艶かしい白い素肌を見ると、いつも息が荒くなる。指先がさらりと滑り、細やかな肌触りが手の平に馴染んでくる。乙女のそんな肉体に興奮して、どうしても瞳がギラつく。
(……い、いかん。私はお役目を果たす身の上だ)
 自分の理性が揺れ動いているのを自覚して、賢士は己の欲望を抑え込む。あまり淫らな感情ではなく、もっと真剣な思いで乙女を抱く必要があるのだ。
 しかし、乙女は言った。
「よいのです」
 見抜かれた。
 理性と欲望のあいだに揺れ、賢明に事故を保とうとしていた賢士の心が、きっと乙女の青い眼には透けて見えていたことだろう。
「しかし……」
「あなたの滾る思いこそが必要です。それを存分にぶつけなさい」
「ですが、それでは……」
「もちろん今は時間がありません。お早く、済ませる必要がありますが」
「承知致しました」
こうした形で肉体を捧げなくてはならない身の上だが、乙女はそれを不幸だとも悲劇だとも思っていない。
 ただ、役目なのだ。
 秘所の方へ五指をやり、皮膚に絡めるように刺激する。
「んあぁぁ……」
 乙女の顔が赤らんだ。
 割れ目のラインに中指が沈んでフィットして、ゆったりと上下に動く。蜂蜜のようのトロリとしたものがまとわりつき、ヌチュリ、ヌチュリと音が鳴り、乙女は反応の良い熱い吐息を漏らし始めた。
 しばし、賢士はそれを続けた。
 もう良いだろうと頃合いを見計らい、乙女の股を持ち上げて、入り口にペニスを添えた。
「いきますよ」
 賢士が告げる。
「お願いします」
 乙女の真剣な眼差しは、まるで何かの覚悟を決め、大切な事柄に挑む意思の強い表情そのものだった。
 賢士は腰を押し込んでいく。
「っぁぁああ…………」
 亀頭から根元までが、まるで薄めた水飴を含んだ真綿に包まれているような、熱い快感にまんべんなく覆われた。ヒクヒクと蠢く肉壁が、粘り気をもって肉棒に巻きついて、キュゥッと軽く締め上げる。
「くぅっ、ふぁぁ……」
 乙女はギュッと目を瞑り、熱い吐息を漏らしている。
「動きます」
 そう言って、賢士は腰を前後に揺さぶった。
 すると、乙女は首で仰け反った。
「――――――!」
 ただ口が大きく開くだけの声無き喘ぎで、乙女は熱くとろけた息を吐く。貫くたびに銀髪を振り乱し、両手で小さくよがっている。

 ジュプッ、つぷっ、ぬぷっ、じゅぷっ、ずぷっ……。

 愛液の絡んだ粘り気の濃い水音が、腰振りのリズムに合わせて鳴っている。
「――っう、んはっ、んふぁっ、あぁっ!」
 乙女は喘いだ。
 形の良い乳房が上下に揺れ、賢士はピストンのペースを上げる。より快楽が高まることで、一層よがる乙女の両手は、ベッドシーツを掴んで離さなくなった。
「だ、出します!」
「――はい! はい! お願いします!」

 ――ビュルルン! ドクン! ドクッ、ドクッ、ドクン!

 肉棒は脈打つように跳ね上がり、乙女の膣内で白濁を撒き散らす。熱いものを感じた乙女は静かに目を瞑っていった。
「これで、私は……」
 成功儀礼を経た時こそ、青眼の白龍は召喚される。

     ***

 白き龍の一撃が、今に城門を破ろうとしていたゴブリン軍団を打ち払った。
 一度に何人のゴブリンを倒したのか、誰にも数え切れはしない。
 ただ、上空に召喚された龍が一撃を放つたび、いっそ面白いほどに束で吹き飛び、何千といたはずのゴブリン兵は瞬く間に数を減らした。




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