インキュバスと千紗希


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 原作47話「積もる雪と千紗希さん」より


     ***


 インキュバスとは、夢の中に現れて性交を行うとされる男性の悪魔である。睡眠中の女性に憑依して、生きるための精力を補給するため、インキュバスは町から町へ飛び回り、その相手を探していた。
 何か淫らな妄想をしていて、腹の底ではセックスに興味津々な女の子。
 そういう獲物の気配を探るうちに見つけたのが、大雪のためにやむを得ず男子を家に泊め、異性と二人きりになったことを意識してやまない宮崎千紗希だ。

「だ、ダメだよっ、冬空くん……っ!」
「素直になれよ。全部冬のせいにしちまえばいい」

 頭の中では彼と裸で絡み合い、そんなことになったらどうしようと、密かに顔を赤くしている千紗希は、インキュバスにとって絶好の標的だった。

 こいつだ……!

 そして、千紗希は――。


     ***


 猛吹雪のせいで停電に見舞われ、暖房も使えずに凍えそうな寒さの中で過ごしている。そんな千紗希にシーツをかけ、真剣な眼差しで迫って来るのはコガラシだった。
「寒いだろ? ほら、温め合おうぜ?」
「ふ、冬空くん!?」
 驚いている間に、すぐさま千紗希は抱き寄せられ、ベッドの部屋まで導かれる。シャワーを浴びたばかりのパジャマから、ボタンは一つずつ外されて、千紗希はもうパニックのような状態に陥るばかりだ。
「えっ、ちょっと! ちょっとそのっ、あの、冬空くん……!」
 すっかり動揺しきった千紗希は、そうやってオロオロとしながら、顔も真っ赤に染めているのみである。
 期待しているのか怖いのか、千紗希自身にもわからない。
「――あの! 本当に――その――ええっと、冬空君?」
 すんなりと受け入れるわけではないが、かといって本気で抵抗しているわけでもない。困惑と動揺とドキドキで、ただ自然と身悶えのように手足をくねらせるだけの千紗希は、服を脱がされていることで、ますますパニックに陥った。
 そうやって、慌しい気持ちでいるうちに下着姿にまでされた千紗希は、されるがままに残る二枚も奪われていく。
「宮崎……!」
 そして、口付け。
「んむっ――!」
 仰天の声はコガラシの熱い唇に塞がれて、それが千紗希へのトドメとなった。
 心が、溶ける。
 胸の奥から、じわぁぁっ、と、何か甘くて熱いものが込み上げてくるようで、ただの一瞬でうっとりと目を細めてしまった千紗希は、あとは狼に食べてもらうことを待つだけのディナーと化して、すっかりと大人しくなっていた。

 さ、されちゃうんだ……。
 どこまで、するんだろう……冬空くん……。

 コガラシの手が胸を揉み、千紗希の胸は指の食い込みに合わせて形を変える。そこにはかなりの技巧があり、適度に力を抜いて優しく撫でるやり方は、否応なしに千紗希の肉体を高めていく。
 乳首が突起を迎えるまで、まるで時間はかからなかった。
「はむっ」
 そして、勃った乳首を口に含んだコガラシは、唇の筋肉を駆使した絶妙な刺激を与えつつ、舌を活発に動かすことで転がすかのように舐め込んだ。
「あっ、んんぅ……!」
 喘ぎ始める千紗希の乳首は、ひとしきりの口愛撫を受け、その唇が離れるころには先端から唾液の糸が引いていく。コガラシはもう片方の乳首にもしゃぶりつき、経験豊富な口技で千紗希の胸を溶かしていった。
「だんだん、いい顔になってきたな」
「み、見ないで……こんな顔……」
 きっとエッチな顔をしているから、そんなものは見せたくなかった千紗希は、すぐに顔を背けようとしてしまう。しかし、頬がコガラシの両手に包まれ、真っ直ぐに正面を向けられてしまう千紗希は、男ぶりのある眼差しとバッチリと視線が重なり、一瞬にして心臓が弾け飛びそうなほどにドキリとしていた。
「冬空……く……ん…………」
「下の方はどうなってる?」
 胸の狭間に指が置かれて、その指腹がさーっと、産毛を撫でるようにして下へ下へと移動していく。もうとっくに蜜を滲ませつつあるアソコまで、この指がたどり着いてしまったら、いやらしい状態になっているのがバレてしまう。
 それでも、されるがままでいる千紗希は、緊張のせいか身動きが取れなくて、ただ太ももを引き締めるようにする以外は、どんな動きも見せなかった。
(触られちゃう……どうしよう……)
 どうしよう、どうしようと、千紗希の心はそれだけを連呼して、抗うでもなく秘所への愛撫を受け入れた。
「あぁ……!」
 すぐに腰が浮き上がり、指の技巧に合わせた身じろぎと共に千紗希は喘いだ。
「洪水だな」
 活発な指先は、ねっとりと表面をかき回し、割れ目をなぞって蜜を掻き取る。クリトリスの突起も見つけ出し、刺激が強まるにつれて千紗希は声を高めた。
「ひあぁ……! だめ……そんなにしちゃ……!」
「嬉しいぜ? 千紗希がこんなに感じてくれて」
「わっ、わたしも――あっ、ああん!」
 千紗希は弄ばれるばかりになった。
 秘所をなぞれば腰が浮き、胸を揉めば肩でよがって、もうどこに触れても反応するほどに敏感に火照った身体は、撫でれば喘ぐ玩具にすぎない。千紗希を大切に扱うコガラシは、たっぷりと愛情を込めて遊んでいた。
「そろそろ欲しくなってきたんじゃないか?」
 割れ目のラインに沿わせる形で、コガラシは肉棒をそっと置く。
「うぅぅ……」
 ごくりと、千紗希は息を呑んだ。
 ……欲しい。
 けれど、そんなこと声には出せない。
「ほら、どうしたい?」
「…………て」
「うん?」
「し、して下さい……コガラシぃ…………」
 もうそこから挿入は始まった。
 差し込まれた肉棒が、軽やかなグラインドによって出入りして、生まれて初めて男を受け入れている千紗希の穴は、貫くたびの刺激によって電流を放っている。
「あぁぁぁ……! あぁっ! あん! はぁっ、ああっ、はぁぁ……!」
 絶頂は時間の問題だった。
 千紗希の肉体は完全に支配され、ピストンしだいでどうにでも腰がくねる。両手が乳首を弄び、胸でも感じてやまない千紗希は、大きく大きく喘ぎ続けた。
「っはぁ! あぁ……! あっ、ふあぁ……! はぁぁ……!」
 そして、イった。
 絶頂と同時に、膣内で肉棒がビクついている。熱いものが胎内に広がるのを感じ取り、自分は膣内射精されたのだと、実に静かに悟っていた。

     ***

 それが夢だと知ったのは、目が覚めて直後である。
 あまりにもリアルで、実感に溢れていたので、本当は夢ではなく、現実にあったことではないかと想像してしまう。
 でも、夢だ。
 別にそればかりが理由ではない。
 けれど、千紗希はコガラシに、うちに泊まったことは内緒にね、と、そう耳元へ告げているのだった。




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