催眠おじさん 湯ノ花幽奈


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 あれ? 幽奈がいないな……。

 ゆらぎ荘の寝室で目覚める冬空コガラシは、毎日のように湯ノ花幽奈に密着される。寝相の悪さで胸を押し付け、抱きついて、そのまま起きて気が動転――ポルターガイスト現象の引き金となって、コガラシは窓から川へと落とされる。
 ハードな日課がないのもたまにはいいが、果たして幽奈はどこに消えたのか。
「おはようございます。コガラシさん」
 当校時間には姿を現し、湯煙高校までついて来た。
「なあ、夜中にどこか出かけてたのか?」
「え? いえ、その記憶がなくて……」
「記憶が?」
「もしかして、眠ったままどこかに行ってしまったんでしょうか」
 心配そうな面持ちの幽奈は、心なしか太ももをすり合わせ、股のあたりを気にかけているように思えた。
「もしそれが本当なら、夢遊病ってやつかもな」
「わたし、病気なんでしょうか!?」
「いや、わかんねーけど。俺が今夜にでも確かめてみようか?」
 眠りについた幽奈を見張れば、色々と判明するだろう。
「そうですねぇ、お願いしてもいいでしょうか」
「おう。任せろ」
 コガラシは拳で自分の胸を叩いてみせ、力強い顔つきで引き受けた。

     ***

「へえ? コガラシ君とそんな話をしたのぉぉぉぉ?」
「……はい」
「駄目だよぉぉぉぉ? あんな霊力の強い子にバレちゃったら、オジサンぶっ飛ばされちゃうよおおおお」
「……はい」

 そこはトイレの個室であった。
 もう五十歳を越えるオジサンは、およそコガラシと似たような境遇で霊能力を身に着け、過去に憑依されてきた悪霊達の影響で催眠能力を会得している。殴ることで怨霊も妖怪も倒せるコガラシと違い、オジサンの場合はもっと悪用しやすい能力に特化したのだ。
 ただ念じるだけで人を操り、意のままにセックスに持ち込めるため、幽霊たる湯ノ花幽奈とも当然のように性交していた。
「今日はパイズリをお願ぁぁぁぁぁぁいぃぃ……」
 ヨダレを垂らした下品な顔で、オジサンは幽奈に命令を下す。
「……はい」
 虚ろな眼差しを浮かべる幽奈は、一時的に意識を奪われ、ただ聞かれたことに受け答えを行うか、言われた指示に従うための人形でしかなくなっている。
 幽奈は浴衣の前をはだけて、乳房を曝け出していく。
「うへへへへへぇぇぇぇぇぇぇ……」
 便座に深く腰をかけ、股を広げたオジサンは、自分の下に跪く幽奈が、豊満な膨らみの中へと肉棒を抱き込む姿を鑑賞して楽しんだ。
 高校の校舎に侵入するなど、当然警備員を呼ばれてしかるべきだ。
 しかし、周囲に自分を認識させないこともできるため、まるで透明人間であるように堂々と闊歩して、見つけた女子には催眠をかけて連れ込める。幽霊の女の子を見つけたのは全くの偶然だったが、せっかくなので試しに味見して、気に入ったので何度か使っている。
 使う、というのがオジサンの認識だった。
 まるで商品棚から自由に選ぶような気持ちで、通行人や学校生徒を選ぶので、まさか真っ当な恋愛関係にあるような誠実な心で抱いているわけがない。
「いいよぉぉぉ? 気持ちいいよぉぉぉぉぉ?」
「……はい。ありがとうございます」
 幽奈のサイズに挟まれれば、肉棒はほとんど隠れてしまう。乳房が上下するたびに、亀頭だけが見え隠れしれいるが、竿の部分が露出することはない。
 自分自身の乳房を掴んで、プルプルと揺らし続けるような上下の刺激が、ペニスの皮膚をすりすりと擦り続ける。

 にゅっ、むりゅっ、にみゅっ、にゅむ……。

 丸みを交互に動かして、乳房によってペニスは揉まれた。
「いいねぇぇぇいいねぇぇぇぇ?」
「……はい。ありがとうございます」
「お口も使って欲しいなぁぁぁぁ?」
「……はい」
 幽奈は自分の谷間に顔を埋め、亀頭を咥えて胸を動かす。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!」
 唇の内側にぴったりと亀頭を含み、舌を大いに奮っている。その下の乳房は、小刻みに振動させんばかりにプルプルと、乳圧の強弱をつけては肉棒を締め付けて、上下にもしごき続けて心地良い。
 その瞬間だった。

「しっかし、幽奈のやつどこ行ったんだろうな」

 冬空コガラシの声が聞こえた。
 隣の個室の戸が開き、便座に座る気配から、壁一枚を隔てた向こう側には彼がいる。
「んむっ、あむっ、じゅぅぅ……」
 人形でしかない幽奈に特別な反応はない。
 ならば――。
 
「――っ!」

 幽奈は途端に目を見開き、瞬く間に赤らんだ。
 念じることで人格モードのスイッチを入れ、元の性格を保った幽奈に戻したのだ。つまり、すぐそこにコガラシがいるのに性奉仕に励むなど、気恥ずかしいやら動揺するやら、あらゆる感情が沸いて仕方がないはずである。
(コガラシさんがいるのに……! で、でもわたしは、この人にご奉仕しないと……)
 そんな義務などあるわけがない。
 催眠の力がかかっているから、必要もない使命感を背負っている。何がどうして、名前も知らないオジサンに気持ちよくなってもらう理由があるのか、幽奈自身にもわからないはずだ。
 肝心なときにポルターガイストが起きては困るので、エッチなことをしても動揺せず、必要以上に恥らわないような催眠もかけていた。
「向こうに両手をついて、お尻を突き出してごらぁぁぁん?」
 幽奈に小声で告げる。
「は、はい」
 壁の向こうのコガラシを意識しながら、幽奈は両手を張り付けて、オジサンに犯してもらうために尻を突き出す。
 オジサンは浴衣を持ち上げ、純白のショーツを大きく膨らませている山のような尻をあらわにして、そのショーツも膝まで下げる。
 ペニスを突き立て、挿入した。
(ひやぁぁ……! は、入って……! コガラシさんがいるのに!?)
 オジサンのピストン運動が、幽奈の尻に腰をぶつける。
(やっ! あっ、あぁぁぁ……!)
 せり上がる快感を耐え切らなければ、コガラシに自分の声を聞かれてしまう。幽奈は必死に歯を食いしばり、口を押さえる。
(――んっ! んむぁ! あん! ああん!)
 オジサンは醜悪なルックスの持ち主でもある。
 汗臭く禿げ散らかり、どことなく目つきがいやらしい。皮下脂肪の膨らみで、腹には何重にも浮き輪が巻きついたようになっている。見ているだけで吐きかねない外見に抱かれるのは、精神的にも辛く厳しい。
 いっそ、意識を奪われた人形状態の方が幸せだろう。
 小刻みなグラインドにより、ぷるりぷるりと、幽奈のお尻は波打っている。幽奈にとっては腐敗物を棒状に固めて突き込まれるほどに気持ち悪くて、だけど催眠効果が感度を高め、快楽電流を引き起こす。
(だ、だめです! このままじゃ! もう、声が……!)
 喘ぎ声が漏れてしまう危機感に、肩越しに振り向く幽奈は、懇願めいた視線でオジサンに許しを求めていた。
 しかし、オジサンのピストン運動は止まらない。
(あぁっ! あん! だっ、だめ! あぁぁ! いやああああ!)
 もう駄目かと思った。
 その時だ。
 トイレを流す音が聞こえて、戸の開く音と去っていく足音も、幽奈の耳には届いていた。これでコガラシに見つかる心配はない安心感と、彼が行ってしまった寂しさと、二つの感情で胸を満たした幽奈は脱力気味に膝を折る。
 感じるあまり、立っていられなくなったのだ。
「しょうがないなぁぁ?」
 オジサンは幽奈を抱き上げ、便座の上に尻を置く。脚を開かせ、正常位のようなポジションで今一度挿入して、大いに腰を振り込んだ。
「――あっ! ああん! あっ、あん!」
 突き込むたび、乳房が上下に弾んでいる。
「ああ、気持ちいいぁぁぁぁ?」
 オジサンは乳房を掴み、よく揉んでやりながら、膣壁の絡みつくねっとりとした圧迫の快感を味わった。
「ああっ、んふぁ……! あっ、むふぁ……!」
「もうちょっと楽しみたいけど、そろそろ出してあげるよぉぉぉ? 他にもオジサンのセックスを待っているこは大勢いるからねぇぇぇぇ?」
 オジサンは射精して――

 それから――

 もう休み時間が終わる直前、授業が始まろうとする教室に、催眠を解いてもらった本当に正気の幽奈がそこにはいた。
「幽奈、どこ行ってたんだ?」
「それが思い出せなくて……」
「は?」
「いえ、すみません! 本当に、わたしってさっきまで何やってたんでしょう?」
「また記憶がないのか? やっぱ変な話だな」
 こうした幽奈の様子から、いよいよ記憶が消えたあいだの幽奈の行動を突き止めようと、コガラシは心に決めているわけだが――。
 オジサンが幽奈から手を引いて、しばらく期間を空けることに決めたなど、コガラシには知る手段がない。
 催眠オジサンは今後も、また誰かを犯し続ける。




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