肛門検査犯


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 この広い世の中には、俺みたいの仲間がいたんだなー。
 なんてことに関心したのは、俺が今までしでかしていた手口がとうとうバレて、逮捕されたあとの話だ。
 さて、これは2013年に起きた事件。


 小学生の兄妹が留守番する家に「ぎょう虫検査」と偽って上がり込み、わいせつな行為をしたとして、強制わいせつと住居侵入の疑いで三十歳の会社員男性を逮捕した。
 逮捕容疑は2月23日午前9時10分ごろ、兄妹が留守番していた防府市内のアパートを訪ね、「ぎょう虫の検査をしよう」などと言って室内に侵入、下着を脱がせ、セロハンテープや粘着テープを下半身に貼ったりはがしたりした疑い。(実際の事件より引用)


 取調室にて、俺はこの新聞記事の模倣犯なのかと尋ねられたが、俺はその時になって初めて世の中には俺と同じ仲間がいたのではと感じたのだ。アナルの視姦が大好きで、肛門とは羞恥心の強い思春期真っ盛りの処女を恥ずかしがらせる羞恥器官だと思っている。
 スカトロには興味がなく、脱糞や放屁はどうでもいい。
 じーっと見つめ、恥じらいに震えさせたい。
 それこそが、俺の欲望だった。

     ***

 俺が取った手口はまず身辺調査であり、近くの小学校の登下校風景から目星を付けた少女を尾行などして、約数日かけて自宅や両親不在の時間帯などを確認する。予め業者の装いをした服を用意した上、俺は計画実行日を迎えてインターフォンを押しに行く。
「はい。えーっと、どちら様で?」
 小学生の押さない声が、音声越しに聞こえてきた。
「ええ、わたくしは厚生省の阿世直人と申しまして、実はこの辺りの水道水には有害な物質が混入していたことが判明しました。そのため――」
 俺が唱える嘘八百は、言うまでもなく創作である。厚生省になど務めておらず、阿世直人というのも偽名に過ぎない。
 会社で営業などの経験を持つ俺にとって、さも公的機関から派遣された正式な職員であるように振る舞うのは容易かった。小中高などの十代学生は経験に乏しい部分があり、巧妙な手口を見破る正しい目を養っているとは限らない。
「いまうちには親がいなくて……」
 それが子供の常套句。
 当然、小さな女の子としては、見知らぬ男にドアを開けてはならないと、親からも学校からも教わっているに違いない。
「ええぇ!? 困るなぁ! 今日中にやれって言われてるんですよ!」
 俺は必要以上に大げさに取り乱し、モニターに向かって大仰な身振り手振りさえ交えた名演技を披露する。
「え、でもぉ……」
「時間がないんですよ! 他の家にも行かないと行けませんし!」
「ちょっと親に電話して確認を……」
「いいからいいから! 早くお願いしますよ! こっちだって仕事こなさなきゃクビとかかかっちゃいますからねぇ!?」
 追い詰めるように困らせていき、時間がない、忙しいなどとまくし立てることで、相手に考える時間を与えない。考える余裕を与えれば、冷静になって「これはおかしいのでは?」と疑惑を持たれかねない。
「……わかりました。いま行きます」
 カチャリ。
 鍵の開く音と同時に玄関の戸は開かれ、俺はとうとう小学生女子の家に上がり込む。あとはリビングのテーブルにでも座りながら、この住宅付近の水道水に関するデータや混入した有害物質の資料などを片手に説明を行っていく。
 それらは全て創作であり、そもそも何も混入していない。リアリティさえあれば小学生を騙すのは容易く、あとはサクサクと話を進めた。
「こうした理由から、あなたのお尻の穴を検査する必要があるんです」
 と、俺は言う。
「うぅ…………」
 少女は顔を引き攣らせていた。
 名前は小宮山薫。十二歳。
 ピンク色の可愛いシャツとジーパン姿の薫は、黒髪のお下げと黒縁眼鏡で地味っ気を強調しているが、顔立ちはかなり良い。弱気な性格では覇気がなく、声も小さい、主張の少ない子なのだが、シャツを押し上げる胸元は十二歳としてはなかなかだ。
「恥ずかしいことについては理解しますが、病院にも肛門科って場所があるでしょう? きちんと調べておかないと、あとあと命に関わるかもしれないんですよ!? わたくしは一人でも多くの住民を救うために仕事をしてるんです!」
 俺はやや興奮気味に声を荒げてみせることで、なにやら立派な使命感でも背負っているような態度を演じる。俺がやらねば、役目を果たさねば! という鬼気迫る表情で、俺はとにかく押しの一手で強引に頷かせる。
「は、はい……」
 頷いたが最後だ。
「では! こちらの書類に名前と年齢と、過去の病歴なんかも書いてね? ああ、風邪とかはいいから、大きな持病とかがあったら、それだけ書いてね」
 俺はファイルから記入用紙を取り出して、ボールペンも持たせて書き込ませる。これもリアリティを考慮した演出であり、元々が嘘なのだからそれ以上の意味はない。
 薫はもう、どこか俺の話を信じきっていた。
 これからお尻を出さなくてはならない恐怖なのか諦めなのか、それとも既に羞恥に表情を歪めているのか。黒縁眼鏡の奥にある眼差しは諦観じみており、どうして物質混入なんて起きたのだろうと、検査が必要な事態が起きたのだろうと、それが自分なのかと運命を呪っていることが、この俺にはよくやかった。
「まずはジーパンから脱いじゃってください」
 俺は医療器具や検査キットなどをわざとらしく並べていき、ただでさえ信じ込んでいる薫に対して、駄目押しのようにこれが正式な検査行為であることを強調する。
 薫は震えた手でチャックを下げ、ジーパンを脱いで下半身はショーツのみ。十二歳の太ももは大人の俺には随分と細く見えるが、滑らかな素肌が光沢となって脚全体を輝かせる。小学生のくせに随分と生意気なボディの持ち主と見た。
「……脱ぎました」
 シャツをぐいっと下げることにより、薫は隠そう隠そうと努力している。すっかり俯いて前髪を垂らした頭からは、真っ赤に染まった耳が確かに見えた。
「まずは仰向けに横たわってね?」
「……はい」
 薫は全ての言うことを聞くようになっていた。
 寝そべってもシャツを下げる手をどけないので、そんな恥じらいの仕草をもう数秒間だけ眺めてから、両手は横にやるようにと注意する。シャツの丈をだいたいヘソあたりまで持ち上げることにより、ショーツを丸見えにさせた。
 白地に黒い丸を散らした水玉模様だ。シマウマというわけではないが、白と黒のコントラストは何となくシマウマ柄を連想させる。
 触診と称して腹に手を置き、俺は指先で臓器を調べるように押し込む。もちろん何がわかるわけでもないが、ボディタッチを楽しめればそれでいい。
 四つん這いの指示を飛ばせば、ショーツの丸尻がこちらを向く。
 そのあいだに三脚台とビデオカメラを用意して、そんな薫の姿を映すように設置。犬のようなポーズで、この俺にお尻を差し出している有様が、余すことなく記録に残るはずである。何か言われても必要な機材だのそういう決まりだの、語気を荒げて押し切れば、気弱な薫を押し切るのは難しいことではない。
 パンッ、と。
 叩くかのように両手を乗せると、薫はビクっと肩を弾ませた。触診という言葉を使って撫で回し、すぐに太ももの中間ほどの位置まで下げた。お尻の丸出しになった薫は両手をついた肩のあいだに頭を落とし、ただただ俯ききっている。
「ではお尻の穴をじっくりと拝見します」
 尻たぶを鷲掴みにした両手で、俺は灰色に薄く黒ずんだ皺のすぼまりを鑑賞する。どうやら肛門右下にはホクロがあり、その下のアソコの割れ目は美白肌に桃色を帯びたような果実的色彩で、陰毛はせいぜい産毛程度にわずかな三角形を作り出している。
 俺はお尻側にも三脚台のビデオカメラを設置して、お尻の穴をアップにした動画を撮る。
 あとは楽しむだけだ。
 粘膜を採取するとして綿棒を差し込み、まるで肛門から尻尾を生やしたような絵図を鑑賞してみる。肛門括約筋に何度か力が入ったことで、上下左右に何度か揺れた。
 細菌の付着までに三分はかかると言い張ったが、便の付着などはどうでもよく、そんなことより床に置かれた薫の両手がギュッと拳に固まって、いつのまにか肩を強張らせて震えながら耐えていたのが、実に見ものなわけである。
 触診ということで指の腹を押し当てマッサージ。
 ワセリンを使って指を挿入。何度か出し入れを行った。
 さらに肛門に力を入れ、皺をパクパクさせる運動を命じると、ギュゥゥゥゥと力強く窄まりを見せては緩み、締まっては緩み、締まっては緩み、実に楽しい光景が動画に残る。
 さてはて、次はまんぐり返しだ。
 姿勢を変えた場合の検査も要ると言い張ることで、腰を高く持ち上げる。M字に割れた幼い太ももの狭間には、まるで熱湯で茹でたかのように赤く染まった恥じらい顔がよく見える。こんな風に上からじっくりと恥部を見下ろされるというのは、果たしてどれほど屈辱か。恥ずかしいのか。その全てを表現しようと表情筋は力強く歪みきり、俺を目を合わせるのが辛くてか気まずくてか、視線は左右に泳いでいた。
「しかし、すまんねぇ? これも仕事でやってることだから」
 さも世間話であるように、そして申し訳なくて仕方のない気持ちを抱いている装いで、気の良い明るさでもって声をかける。
「…………」
 返答はない。
「こういうお尻の穴が見えるポーズって、アソコも一緒に見えちゃうからねぇ?」
「う…………!」
 表情がピクンと動く。
「それに知ってた? 自分の肛門にホクロがあるって」
「…………知りません」
 気の弱い小さな声は、すっかり羞恥に震えている。まるで指摘されたホクロの存在そのものを認めずに、真っ向から否定したいかのように、首をかすかに横に振った。
「そうそう。肛門の写真も必要だからね。ちょっと撮って見せてあげるよ」
 俺は三台目になるビデオカメラを構え、肛門にピントを合わせてシャッターを押す。シャッター音声と同時に焚かれるフラッシュで、薫が反射的に目を瞑ったのは、決して光が眩しかったからだけではないだろう。
「ほら、薫ちゃんのお尻の穴にはホクロがあるんだよ?」
 表示される撮影結果の画像を見せてやると、そんなものは見たくないように全力で、勢いよく髪を振り乱して顔を背ける。
「だめだめ、大事な説明があるからちゃんと見る」
 と言って、自分の尻穴をきちんと拝むことを強要。
「うぅぅぅぅ…………!」
 画像に目を向ける薫の顔は、いっそ拷問の苦痛に耐える苦悶の表情とすらいえた。
「これが薫ちゃんのお尻の穴だよ?」
「…………はい」
「これはまあ健康的なんだけどね? 色合いがグレーって感じでしょう? もしも症状が出ていたら――――」
 俺はもっともらしい学術的な知識を述べるが、台詞さえ専門的に聞こえればいいので、もちろん本物の医学知識などではない。リアリティを高めるために、医学書などの知識から学んだことを述べはするが、全ては納得させて押し切るための手口なのだ。
「あと一息だからね?」
「はい……早く終わらせて下さい……お願いします……」
 涙ぐんだ懇願は切実そのもので、願いが叶わなければ今すぐ死ぬ勢いである。可哀想なほどに弱りきった薫の声と、その顔は――萌えた。
 残念ながら、向こう一時間以上は楽しませてもらった。
 再び触診と称したマッサージを施して、この俺に尻穴を触られている顔を鑑賞する。ビデオカメラを動画モードにした状態で、アナルヒクヒク運動をやらせると、より一層羞恥に歪んだ表情が撮影できた。
「あとはそうだね。肛門の皺の本数かな」
「………………はい」
 まだあるんだ、と。正直にそう言いたげな、ほとんと諦めきった表情がそこにはあった。わざわざ声に出して数えれば、唇が内側へと丸め込まれ、横に背けた顔の頬はより強張る。
「十二本。小宮山薫ちゃんの肛門の皺の本数は十二本で、今の年齢と同じだねぇ?」
「………………」
「ほら、ちゃんと言いなさい。私、小宮山薫の肛門の皺は十二本ですってね」
「な、なんで……」
 当然、これには薫も疑問を浮かべる。
「いいから」
 語気を強めれば、たったそれだけで薫は諦めた。元より検査を信じ込み、その果てに情けのないポーズまで取らされて、今から反抗する気力がある方がおかしいのだ。
「……私、小宮山薫の肛門の皺は十二本です」
 あとは定規で直径を測る。
「直径1.1センチ。はい」
「私、小宮山薫の肛門の直径は1.1センチです」
「よくできましたー。検査結果は良好だから、きっと薫ちゃんは大丈夫だよ」
 これが俺の手口。
 俺はこうして、次々と少女達を騙していった。

     ***

 大島勝美。十七歳。
 この子はジャージを部屋着にしているのか。ジャージ姿で俺を迎え、ほとんど抵抗なく俺をリビングに案内した。その尻山は高々と聳えており、丸く膨らんだ横幅がジャージの布地を内側から押し上げている。素晴らしい巨尻の持ち主だ。
「さあさあ、どうぞどうぞ」
 勝美はお茶まで出して、俺の話に何度も何度も、コクコクと頷いていた。これが俗に言う聞き上手という奴であろうか。
「へえ? そうなんですかー」
「わっ! そりゃマズイですねー」
「ほほう。これはなんとも……」
 バリエーションある豊富な相槌で、表情をコロコロと入れ替えながらも、きちんと俺の話す内容を頭に加えてくれているので喋りやすい。
「じゃあ、まずはジャージから脱ぎましょうか」
「うーむ。とうとうこの時が……」
 どんなに素直な性格で、必要性を信じ込んでいたとしても、男の目の前で脱衣行為を披露するのに抵抗を持たない女子はいない。ジャージのゴムに指を引っ掛け、脱ごうとした勝美はやや数秒だけ抵抗感に固まったが、すぐに下半身は下着一枚。
「四つん這いになってね」
「……うっす」
 色は黒。無地のスポーツショーツは巨尻に沿って張り付くようになっており、割れ目のラインに布が食い込み形が如実に浮き出ている。ゴムの端からはみ出る尻肉と、アソコの縦筋を浮かせた土手が、俺を一層のこと興奮させた。
「記録の必要があるから検査状態は撮影するけど、顔は映さないしプライバシーは守るから安心してね?」
「マジかね。撮影かぁ……」
「大丈夫。すぐに終わるよ」
 パンッ、と。肩でも叩いて友を励ますノリで、俺はお尻に平手を打ち、そのまま鷲掴みにして指を食い込ませる。
「ぬおッ、ほあァ――」
 ショーツをずり下げ、検査を始める。
 勝美はほとんど大人しく指示を聞き、検査中は自分からは喋らなかった。いや、それともこちらが話しかけることでスイッチの入るタイプなのか。どちらにせよ、俺が言葉を発することで活発な頷きを披露して、全てを素直に受け入れた。
 そして、まんぐり返しである。
 脚のM字に割れた狭間から見える赤面顔は、長時間煮込んだ茹タコのようであり、まるでお湯から引き上げたばかりのように蒸気を上げている――否、本当に顔から煙を出せる人間など存在しないが、存在しない蒸気が見えそうな気がして来るほど、冗談のように赤い顔は羞恥に歪められていた。
「いやー恥ずかしいでしょう」
 世間話を振る程度の感覚で、俺はそんなことを言ってみせる。
「そ、そうですねー。ちょっとヤバイです。死んじゃいますってコレ!」
 赤すぎるほど赤い顔から出る声は、面白いほどに震えている。妙にテンションが高いところはむしろ恥じらいの現れで、どこかパニックじみている。必死になって恥ずかしさを誤魔化そうと、だからこそ無理にでも明るく装っているのがありありと伝わった。
「しょうがないしょうがない。健康被害なんてあったりしたら、本当に死にますからねー」
「アハハ! そりゃ言えてる!」
「割と冗談じゃないんですよ? 死亡データも見たでしょう?」
「わかってますって、まあ何とか我慢しますよ」
 俺は両手でお尻を鷲掴みにして、顔だけは真剣そのものを装いながら、丹念に揉みしだく。指を埋めれば五指の狭間からたっぷりと肉が盛り上がり、弾力が指を押し返そうとしてくる感触を味わった。
「しかし、大きいお尻だよねぇ?」
 そのボリュームは手の平には包みきれない。
「いや! いやいやいやいや!」
「お尻の穴も綺麗だし、アソコの毛も整ってるねぇ?」
「そんなことありませんからね? いや、ありませんからね?」
 必死なあまりに勝美の声は裏返る。
 しかし、事実だ。皺の本数の少ない放射状の窄まりは、清潔な薄桃色に輝いている。肉貝はヘラで掘り込んだかのような直線美を成しており、三角形の陰毛は明らかに切り揃えたものだとわかる。
 秘所の割れ目には透明な蜜が滲んでおり、俺は指に絡め取っては本人に見せつける。指と指のあいだに糸を引く、自分自身の愛液を見た勝美は、「ひゃあ!」と悲鳴を上げて顔を横向きに背けてしまう。
「ちょっ――ちょっ――それはっ、それはっ……!」
「よくあるんですよ。羞恥心だけでアソコが濡れるって、産婦人科の方なんかの話でも聞くくらいですからねぇ?」
 そう言って俺は、勝美のアソコを愛撫する。割れ目のまわりをぐるぐるとなぞっていくようにしながら、やがて縦筋のラインに沿って指を上下に擦り付けた。
「いっ、うぅぅぅ…………」
 指で広げて中身を見れば、滑らかな桃色の肉ヒダが明らかになる。陰核包皮は二ミリか三ミリほどの大きさか。膣口は星型にも似たジグザグ状に開いており、限界まで広げているのに明らかに肉棒の入るサイズじゃない。
 つまり、処女。
「はぁぁぁぁぁ……。だから私死んじゃいますって! 死んじゃいますよ?」
 涙ぐんですらいる声で、勝美は懇願のように訴えかける。
「だめだめ、まだまだ撮影も残ってるんだから」
 おもむろにデジタルカメラを構えると、勝美の顔は「ひっ!」と引き攣る。
「や、やっぱりお尻の穴を……?」
「そう。大正解」
 動画モードのレンズを勝美に向け、肛門はもちろんのこと顔さえも映してやり、羞恥に歪む冗談じみた赤面を記録に収める。チラチラとカメラや俺を気にかけながら、やっぱり目など合わせていられず横に背ける。
 ちゃんとこっちを向くようにと注意すれば、
「い、いひっ、えへへへへ――――」
 勝美はかなり強引に笑い始めた。ついに気でも狂ったか。頭のネジが外れてしまったのだろうかと、俺は心配を装い尋ねた。
「大丈夫ー?」
「平気平気! へっちゃらですよ!」
「本当に? 全っ然、お顔が真っ赤だよ?」
「えへへぇ……どうにでもなっちゃえぃ…………」
 深い諦めの海にでも沈んだか。
 俺は勝美の尻穴に指をぴたりと押し当てて、一本ずつ丁寧になぞっていきながら、その本数を声に出してカウントした。
 一本、二本、三本、四本――。
 表情筋の鳴動で、歪みの効いた顔つきは常に変化に富んでいる。唇が丸め込まれたかと思いきや、きつく歯を食い縛ることで顎に力が入ったり、目をつむるためにまぶたの筋肉が極限まで硬くなるなどが鑑賞できた。
「大島勝美さん。あなたの肛門の皺は八本です」
「は、八本! 八本ですか! はははぁ……!」
「ではお尻の穴に力を入れたり抜いたりさせて、パクパクさせて下さい」
「え? あ、はい!」

 ぎゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ――――。

 精一杯に力んだ肛門括約筋が、放射状の八本皺を小さく縮める。脱力すれば縮んだ皺は元の長さに立ち戻り、このアナル運動は俺が良しというまで延々と続くことになる。

 きゅぅぅぅぅぅ……きゅぅぅぅぅ……きゅぅぅぅぅ…………。

 皺が窄まる時には尻肉も硬く強張り震えており、筋肉の力みがお尻をプルプルと振動させている。勝美の表情はもはや全てを諦めきったものとなり、流れに身を任せるまま肛門をヒクヒクさせ続けた。
「上手だねぇ?」
「いや! いやいや! こんなの褒められましても!」
「ははっ、すまんすまん。続けて下さい」
「…………は、はい」
 これの実施時間は向こう十分。
 さらにこのあとは体温計を挿入して、直腸検温で時間を稼ぎながら、何かと話しかけては世間話を楽しんだ。

     ***

 十三歳のムスっとした少女は、俺に恨みのありそうな目つきに涙を滲ませ、やはり茹タコじみた赤面ぶりを披露しながら、このアナル運動を行っていた。

 ――ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっ、ひくっ。

 中学一年生の幼い菊皺は、活発なまでに収縮を繰り返し、M字の脚の向こう側ではきつく歯を食い縛る。この世の全てが気に食わないような不機嫌ぶりで、表情を極限まで強張らせたキツいはずの表情が真っ赤に染まり、蒸気まで上げているのは見ものだった。

 小学生の肛門、中学生の肛門。
 それから、高校生――。

 ありとあらゆる少女のお尻の穴を鑑賞して、その恥ずかしがる姿を大いに楽しんだ。

 そして、ある日突然のようにインターフォンが鳴らされた。

「おはようございまーす。こちら警察ですが」
「いらっしゃいますよねぇ? 開けて下さい」

 俺は、捕まった。

     ***

【とある新聞記事の内容】

 十歳から十八歳の少女が留守番する家に「厚生省の検査」と偽って上がり込み、わいせつな行為をしたとして、強制わいせつと住居侵入の疑いで三十歳の会社員男性を逮捕した。
 付近の水道水に有害物質が混入、検査の仕事を受け持ったなどと称して、複数の少女の家に上がり込み、下着を脱がせて、肛門に綿棒や体温計などを挿入したり、肛門括約筋に力を入れたり抜いたりさせた疑いがもたれている。





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