小児科での羞恥体験


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 その時代、プライバシーの概念が薄かった。
 遡れば遡るほど、セクハラやストーカーといった言葉すら存在しなかった時期があり、ならば時代によって羞恥心への配慮が欠けていてもおかしくない。

 この医師もそうだった。

 小児科の診察を受け持ち、女子中学生の上半身に聴診器を当てなければならないが、その少女は両腕のクロスで乳房を覆い隠していて、なかなか診させてもらえない。
「大丈夫だよ? 診察だからね?」
 医者も接客といえば接客だ。
 仕事が進まない苛立ちを隠し、あくまで営業スマイルで語りかけると、女子中学生は申し訳なさそうに両腕を下ろしていく。
(ったく、ガキの裸なんて何とも思わないっつーの)
 患者の名前は須磨葉子。
 とっくに発育の始まっている肉体は、確かに胸も膨らんでいる。女児特有のくびれなどないイカ腹というものがあるが、十四歳の葉子の腰つきは微妙にカーブを形成しており、将来的にはスタイルの良い魅力的な女になるのだろう。
(ま、十年経ったら興奮するかもな)
 医師はただ淡々と、聴診器を当てて必要な音を聞き分ける。その指はかすかに乳房に接触したが、仕事意識しか持たない医師は、自分が今どんな得をしたのかさえ気づいていない。仮に気づいても、職業上触診だってこなすのに、いちいち邪な念を抱くことはないのだ。
「緊張していらっしゃいますか?」
「え? ええ、まあ……」
 問いかけると、ぎこちない返事がくる。
(心臓の動悸は緊張分も計算して、まあ検温では熱もあったし風邪には違いない)
 その後は背中を向けてもらい、背中の複数個所に聴診器を当て、肺の音を確かめてから、触診で腹を軽く押してやる。
 痛み、違和感。
 そういったものはないかと尋ね、すると葉子は頷いたため、より詳しく調べるためには診察台に横になってもらう必要がある。
 スカートを脱がせ、パンツ一枚で仰向けにさせてから、その下着を微妙に下げた。
「この辺も痛みますか?」
「……はい」
 あともう少しだけ下げていれば、医療にかこつけて性器を視姦できただろう。いや、この時点でも陰毛は見えかけになっていて、まだ細い毛しか生えていないが、かといって産毛よりは濃いものがデルタゾーン一帯を覆っている。
 それでも、あくまでも医師は――。
(腹の中もアレか。なるほどね。だとしたら……)
 仕事に欲望は持ち込まない。
 持ち込む持ち込まない以前に、そもそも彼には中学生の裸に欲情する発想自体がない。
 だが、葉子は完全に赤面していた。医師側の意識がどうであれ、パンツ一枚だけの姿で、指が陰毛に触れかけている状況で、顔が赤くならないわけがなかった。
(本当に熱っぽそうだな)
 羞恥心に対する意識がないからこそ、医師は純粋にそう思っていた。

     ***

 須磨葉子、十四歳。
 小学生の頃に生理が来て、発育も始まってからは、胸もそれなりに大きくなっていた。味噌汁のお椀か、あるいは握り拳一つ分に膨らんで、尻もそれなりに成長している。くびれのカーブも生まれようとしているので、早ければ一年以内には、グラビアモデルのような素晴らしい肉体の持ち主となるだろう。
 恋に恋する年頃では、学校教室にいるあいだ、自然と目で追ってしまう男子がいた。
 相手の名前は紺野克己。
 顔は良すぎず悪すぎず、けれど授業中に指されれば、必ず問題には正解する。すらっとした背の高さがあって、どことなく格好いいような、だけど自分の身の丈にも合っていそうな、彼となら間違いなく気が合う予感があった。
 しかし、自分に自信があるタイプでもなければ、積極的でもない葉子では、さほどアピールということはできていない。
 ただ、見ているだけ……。
(紺野君と、もっとお喋りできたらなぁ……)
 漠然とした願いがあるばかりで、自分の力で実現しようとはしていなかった。
 何の勇気もない葉子は、夢のような想像ばかりを膨らませ、少女漫画に出てくる素敵な台詞で口説かれはしないかと、期待しているだけだった。

「あのさ。須磨さんって、帰り道こっちだったんだ」

 そんな葉子にとって、これは大事件だった。
「……え?」
「あ、いや――俺もこっちだから、一緒に帰ってもいいかな?」
 照れくさそうな顔の克己がそこにいて、葉子は途端に舞い上がっていた。
(うそ……! うそうそうそ! 本当に? 私いま、アタックされているんですか?)
「駄目、かな?」
「い、いえ! そんなことは……! ちょっとびっくりしただけで……!」
「そっか。ごめん」
「あのっ、大丈夫だから、帰ろう?」
「うん」
 会話らしいはっきりとした会話などありはしない。
 思い切って隣を歩いてみたまでは良かったが、そこから先に繋げることができずに、必死に喋る内容を考えてはいるものの、何一つ浮かばずに内心焦っている克己。
 ただ彼が隣にいるという事実だけで、かつてないほど心臓が暴れまわって、鼓膜の内側で動悸がうるさいほどになっている葉子。
 結局、あとは家に着いてから、「俺、ここだから」「そっか。じゃあね」と、特別面白いわけでもないやり取りしかなかったが、これまで喋ったことすらなかった二人の関係は、大きく飛躍したといえるだろう。
 次の日も、その次の日も、葉子は克己と一緒に帰った。
 下校時間が毎日の楽しみとなり、彼が掃除当番や委員会で遅い日は、わざと図書室で時間を潰して下駄箱で待ち伏せた。逆に葉子の帰りが遅いと、克己が待ってくれていて、ますます嬉しくなって一緒に帰った。
 繰り返すだけ慣れていき、二人のあいだに会話も増える。
「昨日の面白かったよね」
「ああ、俺犯人は絶対アイツだと思ったのに」
 共通のドラマでも話題の種にして、会話に花を咲かせることも、珍しくなくなった。
 そんなある日だ。

「なあ、今度デート行かない?」
「へ?」

 葉子にとって、さらなる大事件が起きたわけだが――

     †

 なんでぇぇぇ!
 風邪! 風邪だよぉぉぉ!

 よりにもよって、朝起きたら頭がダルく、クラクラして、熱っぽくて思考がまわらない。風邪の症状により学校を休まされ、明日になっても治らなければ、病院へ行ってくるように告げられたのだ。
 舞い上がった矢先なだけにショックは大きい。
(だ、大丈夫だよね? 今日か明日治れば、デートの日には間に合うし……)
 不安ながらも、葉子は受話器を片手に番号を入力する。
(もし治らなかったら行けなくなるし、一応伝えておこうかな……)
 と、いつしか交換していた電話番号に発信して、受話器のコールから克己が出るのを待ちわびた。
「もしもし」
「あ、紺野君?」
「須磨か。風邪だって聞いたけど、大丈夫?」
「うん。それなんだけど、もし治らなかったら今度の約束が……だから一応伝えておこうかなって……」
「わかった。治るといいな」
「明日病院へ行くよ」
「実は俺もなんだ」
「うぇ?」
「俺も今日、なんか熱っぽくて、病院行って来いってさ。明日行くことにした」
「じゃあ、一緒に……」
「一緒に行こう」
 今思えば、少し浮かれていたのかもしれない。
 熱で頭がユラユラしていたせいもあるだろう。
 一緒に行ったりするものだから……。

「上は全部脱いで、このカゴに入れておいてね」

 ニッコリとした笑顔の看護婦のオバサンから、さも優しい口調でそう言われた。

     ***

「……ね、ねえ……見ないでね?」
「……わかってる」
 二人は途端に気まずくなった。
 小児科の待合室では――この病院の場合では、年齢に関係なく上半身裸で順番を待たせ、順番がまわりしだいすぐに診察を行えるようにしている。限られた人数で、いくらでもいる患者の相手をこなすため、病院側の事情としては少しでも効率化が必要だった。
 しかし、須磨葉子の乙女心が、そんな病院の都合など把握しているわけがない。
(紺野君の隣で脱ぐって……)
 この待合用のベンチには、紺野克己の他にも小学校高学年の男子が数人ほどと、幼稚園か低学年かの男児女児が数人いるが、小五か小六あたりの視線は男児以上に気にかかる。
 今の葉子の状態は、左側に克己が座り、右側には十二歳と十一歳の少年がいる。よりによって男の子に挟まれているのでは、ただでさえ脱ぎにくいのに余計に脱げない。
 とりあえず、セーラー服のスカーフは取る。
 だが、この先が辛い。
 克己の方を伺うと、きちんと向こうに顔を背けた上で、黙々と学ランのボタンを外して脱ぎ始めていた。
(そうだよね。診察なんだし……)
 前開き式のセーラー服は、中央のチャックを下げることにより、前側が左右に開いてブラジャーがはだけて見える。

 じぃ……

 視線を感じて右を向けば、小学男子二人がまじまじと見つめていた。
「ご、ごめんね? 見ないでね?」
 注意すれば、二人とも向こうを向く。
 その隙に肩を剥き出すようにして、袖を片方ずつ脱いでいき、手放すことを躊躇いつつも畳んだセーラー服をカゴに置く。
 二人の小学男子は、明らかに隣の葉子を意識していた。
 見ないでくれている克己も、葉子が脱いでいく衣擦れの音を聞き、どこか緊張している様子に見えた。
(意識、するよね? 普通……)
 もう幼稚園児の裸とは違うのに、中学生の胸やお尻は、小児科の中では一律に所詮子供のものなのだろうか。
 桃色のブラジャーのホックを外す。
 腕で胸を隠した隙間から、引っ張り抜く形で取ることで、一秒たりとも乳首を見せることなく上半身裸となった。
(ああ、どうしよう……!)
 恐る恐る紺野を見れば、彼も上半身裸となっていた。
(紺野君も裸……)
 男女二人が裸など、軽く異常事態ではないだろうか。
 いや、ここは病院であり、診察を受けるに過ぎない。おかしな意識をする方が失礼で、葉子のわきまえ方が足りていない。
 自分は何も見せたくないのに、克己の裸は見るというのが不公平な気がして、それに異性の逞しい胸板などが目に入るのは純粋に恥ずかしくて、葉子はなるべく何も見ないように俯いていた。
 俯いて、両腕で自分の胸を覆い隠していた。

「須磨葉子さーん」

 看護婦のオバサンの呼び声で、葉子は診察室へと進んでいった。

     †

 もう少し時代が進んでいれば、女性の人権や羞恥心の配慮について、もっと叫ばれていたことだろう。
 そうではなかった葉子の時は、葉子自身ですら過剰に恥じらうことは医師に失礼、診察の妨げになるといったことを思っており、配慮の無さに対する疑問を抱いていなかった。残念ながらこれが普通で、どうしようもないことだと思っていた。
 たとえ、診察室が外から丸見えであってもだ。
(み、見ないよね? 紺野君)
 出入り口にはカーテンもドアもなく、広い幅から室内がよく見える。大きな窓までついていて、あまりにも自由に覗き見可能だ。
(……見ないでね)
 心の中で、そう願う。
 葉子は医師の前にある丸椅子に座り、まずは問診から始まった。何時に寝たか、何を食べたか、頭はクラクラするのか、鼻水は出るのか。様々な質問に答えていき、すぐに医師は耳に聴診器をかけ始めた。
「聴診しますからねぇ?」
 両腕を下げろと、遠まわしに言っている。
(オッパイ。もう膨らんでるんだけどなぁ……)
 四歳児や五歳児なら、娘であってもお父さんと一緒にお風呂に入るだろう。そんな時期なら何の躊躇いもなかったはず。しかし、十四歳はさすがにない。診察とはわかっていても、一切の躊躇なくとはいかないのだ。
「大丈夫だよ? 診察だからね?」
 と、言われて。
(ご、ごめんなさい……)
 心の中で謝りながら、葉子はそっと腕を下ろした。
 あまり躊躇ってしまったから、きっと医師を不快にさせた。この子は医者を疑って、実はオッパイが見たいだけではないかと警戒している。そうに違いない。と、そんな誤解を医師に抱かせてしまった。
 違う、そうじゃない。
 ただ本当に、葉子が恥ずかしがっただけなのだ。
「緊張していらっしゃいますか?」
「え? ええ、まあ……」
 胸の真ん中や乳房の周囲に、ぺたぺたと聴診器が当たってくるうち、指が微妙に膨らみと接触していた。
(どうしよう……気になる……)
 まさか、わざとではないのだろう。
 患者である自分が医師に注意をするのは失礼だ。
「後ろ向いてね」
 丸椅子の回転で背中を向けると、葉子はより一層に赤面した。
(ちょ、ちょっと!?)
 そこには、大きな窓から覗き込んでくる小学生男子二人の姿もあった。
 克己とも目が合って、彼は慌てて顔を背けていた。
「ほら、動かない」
 慌てて反射的に隠そうとすると、医師に注意されてしまって、葉子は胸を視姦されるまま背筋を伸ばしていなくてはならなくなった。
(これじゃあオッパイが……)
 好奇心に満ちた年下の目線が突き刺さる。
「深呼吸ね。吸って?」
(そ、そうだ。診察……)
 葉子は医師の指示に合わせて肺を大きく膨らませ、ゆっくりと息を吐き出していく。
(お願い……見ないで……)
 男子達に通じることはなく、ただ克己だけが目を逸らしてくれていた。
「お腹の方も触診するので、そちらに横になって下さい」
 葉子が診察台で仰向けになろうとすると、看護婦のオバサンが枕を置き、頭の位置をそこに指定してしまう。
 窓側に足を向け、葉子は寝そべった。
「痛みはありますか? 何か違和感とか」
 医師は腹部に手を乗せて、押すようにしながら確認する。キリっと走るような、内側に何か傷でもあるような痛みを感じたので、そのことについて答えると、触診の指はしだいに下へ動いていき、やがて言い出す。
「スカートも脱いじゃいましょう」
「へ?」
 困惑する葉子。
「はい。大丈夫よー」
 有無を言わさず脱がしにかかってくるオバサン。
 仮にも女性が、診察補助の立場でスカートの留め金を外し、あまりにも容赦なく下へ引っ張るので、葉子はいとも簡単にパンツ一枚だけの姿となった。
 そして、覗き見の少年二人が明らかに喜ぶ表情を浮かべていた。
「あ、あの、窓から見ていて……!」
「あら、大丈夫よ? あなたより年下なんだから」
 オバサンは一瞬だけ後ろを見て、二人が窓に張り付いてまで覗いているのを確認するのだが、注意するでもなく陽気な笑顔を浮かべるのだ。
「年下って、そんなことは――」
「平気よ。さあ、恥ずかしがってないで、パンツもちょっとずらすわよ?」
 腹部触診が目的だから、全て脱がされることはなかったが、それでも三角形の陰毛エリアが半分近くは露出した。
「この辺りはどうかな?」
 どこまでも触診に過ぎない手つきで、しかし陰毛の上から下腹部を押してきて、葉子は何一つ文句を言えずにただ診察上のことだけに答えていた。
 いっそ、これがイタズラなら、葉子にだって異を唱える権利があったかもしれない。
 ただ仕事をこなしているだけの医者を相手に、恥ずかしいだけの理由で喚いたり騒いだりしては失礼だし迷惑だろうと思えてしまって、だから葉子は我慢することしかできなかった。
「座薬でも入れとこうかな」
 医師がそういう言うと、オバサンはにっこり笑う。
「じゃあ四つん這いね。ほらほら、葉子ちゃん。お尻を上にして、こんな恥ずかしいことはちゃちゃっと済ませちゃいましょう」
(恥ずかしいってわかってるなら……)
「さあ、早く早く」
「…………はい」
 窓に尻を向けるということは、覗き見の二人にわざわざ見せつけるも同然だ。せめて頭を窓側にして、恥部は見えないようにしたかったが、「なにやってるの? 枕はこっちよ」という一言によって封じられ、葉子は涙ながらの四つん這いポーズを取っていた。
(お、お尻に視線が……)
 既に数センチだけ下げてあるパンツから、尾てい骨と割れ目の端が見えている。そんな下着のゴムにオバサンの手がかけられ、その手によって思いっきり、何一つ配慮のない大胆さによって膝まで下げられ、葉子のお尻は丸出しとなってしまった。
(いやぁ! やだよもう! 早く終わって……!)
「っと、まずはお尻の穴にワセリンを塗りますからね」
 ゴム手袋をはめた医師の指が、乙女の肛門の上に置かれ、ぐるりぐるりと皺をなぞるように塗りたくる。
(お尻の穴……。診察だけど、診察だけど……)
 恋に恋する無垢な年頃には辛すぎる。
 しかも、医師は葉子の横合いに立っているから、背中でお尻が隠れることもない。尻穴に指で薬を塗りたくっている様子が、窓の向こうからよく見える。
「あとは挿入して終わりだからさ。次の子も呼んじゃってよ」
「はーい。紺野克己くーん。こっち入ってきてぇ?」
(紺野君!? こんな状況で? わ、私こんな状態なのに?)
 せっかく目を逸らしていた克己であるが、出入り口から診察室へ入るのに、まさか一秒たりとも今の葉子を視界に入れないわけがない。それが裸の四つん這いでは、視線吸引力は最高潮にまで達していた。
「さっ、そこで待っててね」
 克己が丸椅子に座ったことで、三人目の視線が葉子に刺さった。
(もう、こんな……なにこれ……)
 お尻の穴に座薬が立てられ、指先によって突きこまれる。
「奥まで入れますからね」
 指の第一関節程度まで、医師は座薬を押し込んだ。
(やだぁ……)
 指と座薬が同時に入り込んでくる異物感が、葉子の尻穴を広げている。
(もう死にたいよぉ……)
 四つん這い、お尻に指が刺さっている。
 最高に格好悪い姿だ。
 それを、克己にまで見られている。
 全ての人生がここで終わったような心地に沈んでいった。

     ***

 紺野克己は最後まで気にかけていた。
 葉子が隣で脱ぎ始めた衣擦れの音から、聴診を受けるために医師に乳房を見せているのも、四つん這いのポーズで座薬を挿入される瞬間も、全てを意識していた。
 もちろん目は逸らしたが、強大な引力に捕らわれた克己の視線は、ずるずると葉子の方へと引きずられ、結局はお尻の穴も見てしまった。
 好きな女の子の裸、お尻、肛門……。
 それらを見てしまった喜びと、辛かったであろう葉子への思いと、この二つが入り混じる複雑さの中に克己はいた。


 小学生男子二人は、もっともお尻の穴が見えやすいポジションで、医師の指先がワセリンを塗りたくる瞬間からよく見ていた。
 灰色気味に黒ずんだ皺の窄まりへと、医療用のゴム手袋を嵌めた指が置かれる。
 ぐるりぐるりと、容赦なく塗りたくっている様子は衝撃だった。
 お尻の穴だなんて、男にとっても恥ずかしい。
 それが女の子なら……。
 果たしてどんな気持ちなのかと想像しながら、ごくりと息を飲んだ二人は、まるでとり憑かれたように、食い入るような視姦を行い、座薬が挿入される瞬間まで見届けた。

     ***

 須磨葉子は寝込んだ。
 熱っぽさでも、体調的な気持ちの悪さでもなく、今日の小児科で受けた辱めによって、すっかりベッドに潜り込んでいた。
(紺野君にまで見られた……)
 まだ、葉子のお尻の穴には、人の指が入ってきた余韻が残っている。
 もう生きていけない。
 明日、顔を見せられない。
(これじゃあ、デートなんて行けないよ……)
 かといって、断りの電話を入れる勇気もなかった。




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