妹の裸を撮影する話


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 カメラレンズを覗いた向こうには、丸裸で直立した少女がいる。俺がシャッターを切り落とすたび、フラッシュが瞬くたびに少女は表情を歪めていた。
 気をつけの姿勢を数枚。乳房のアップを数枚。
 さらに背中を向いてもらい、パシャリ。
 お尻や性器にまでカメラレンズを接近させ、挙句の果てには肛門や肉ヒダの中まで撮る。年頃の少女にとって、これはどんなに恥ずかしいことなのだろう。
 撮影の終わった少女が小走りで逃げるように去っていくと、また次の少女がショーツを脱いで現れ、俺の前で恥ずかしそうに姿勢を正す。自分の体にフラッシュが焚かれることに耐え忍び、苦悶に歪み切ったような表情で開脚する。
 俺は乙女にとって大切なもの全て、尻の穴からアソコの奥まで、何もかもをデジタルの画像としてカメラに収めていた。
 これは学校で行われる身体撮影らしい。
 医学上の資料を集めるため、女の子のいたるところを鮮明な画像に変え、学術的なデータとして医学界のバンクへ送られる。
 どんな経緯でか。
 カメラマンを目指していた俺に話が舞い込み、女子高生の裸を見放題になるこの仕事を俺は快く引き受けた。下心が前提だと言われれば否定できないのが正直なところだが、もしカメラの道で食っていければ、ヌード撮影を行うこともありえるだろう。女の裸にカメラを向けた経験は、後々に生きるだろうとも、俺は真面目に考えている。
 だが、俺の動機はこれらだけでは説明不十分だ。
 男としてのサガがある。
 将来への考えもある。
 そして、もう一つ。

 ――陽菜……。

 最後の順番で現れた少女、若林陽菜。
 この子は俺の妹だ。

     *

 俺は大学三年生。
 陽菜は高校一年生。
 どちらかといえばキツめな瞳。ツリ目の陽菜は、日頃から読書にふけっており、専門用語の多い厚い書籍や時代小説なんかを読んでいる。ページを捲る姿の知的そうな絵もさることながら、学校でも成績は上位である。
 頭の良い陽菜は、どこか人を見下している。
 いや、学校でも同じ態度とは限らない。友達とは仲良くやるのだろうし、家と外で顔が違うのは俺だって同じことだ。

「今、見てたでしょ」

 家にいる時の陽菜は、しょっちゅうそんな台詞を口にする。
 例えば、数ヶ月ほど前だ。
 休日にソファに座ってテレビでも見ていた時、陽菜はテーブルを挟んだ俺の向こう側のソファに座り、天文学系のタイトルが書かれた文庫本を読んでいた。本のページに集中して、周りの音など聞こえていないような顔をしながら、明らかにスカートの中身が見える体育座りに姿勢を変えたのだ。
 陽菜はただでさえ短いスカートをだった。太ももが丸出しとなり、階段でも上がろうものなら、いちいちお尻を押さえなければ、チラチラと中身が見えるはずの丈である。
 そんなミニスカートのまま、陽菜はソファで体育座りになった。
「は、陽菜?」
 注意しようかと、俺はそーっと声を伸ばした。
 今はまだ、ショーツの手前に両足がクロスされ、俺の視界を阻んでいる。残念ながら何色の下着なのかは見えないが、盾さえなければ、俺に対して丸見えなのは間違いない。
「ん? 何?」
 文庫の文字から目を離さないまま、陽菜はぱらりとページを捲る。
「姿勢は良くした方がいいぞ?」
 見えそうだと、直接的に言うのは避けた。
 それがまずかっただろうか。
「うるさい」
 俺の忠告を突っぱねたい、人を跳ね除けるキツい声で返された。もしかしたら、姿勢が悪いと腰を悪くするとか、そういうニュアンスの注意に取られたのかもしれない。余計なお世話でうざったいと思われたのかもしれない。
「……」
 俺は気まずくなって黙った。
 仕方なくテレビ番組の方へ集中して、この時間帯のドラマ放送を俺は楽しむ。だが、何分かもすればCMに差し掛かり、俺は再び陽菜へと目を向けた。
 すると、見えていた。
 さきほどまではクロスされていた足が、両膝を付け合わせた逆V字型に開かれ、両足の奥にある白いショーツが、ぴったり閉じた太ももの下で、尻からアソコにかけての下着に覆われた領域が、ちょうど三角形を成している。
 あまりにも丸見えで、俺はじーっと視線を向けてしまった。
「……」
 陽菜は何も言わない。
 何故なら、本だけに陽菜の目は向いているので、自分の犯した油断にも、そのせいで引き寄せている俺の視線にも、全く気づいていない。
 だから、見てしまった。
 眺めてしまった。
 よーく見ると、陽菜の下着は単なる純白ではなく、薄っすらとした花の模様が浮いているのがわかった。
 CMが終わろうと、俺は関係なく下着を眺め、陽菜のショーツを目に焼き付けていた。

「今、見てたでしょ」

 俺はぎょっとした。
 下着ばかりに集中力を奪われて、うっかり陽菜にバレてしまった。
「え、いや!」
「死ね。変態」
 咄嗟に立ち上がった陽菜は、蔑むような目で俺を見下し、さっさと自分の部屋へ戻ってしまった。

 だが、数日後。
 数日前の油断で俺に見られたばかりというのに、また俺がソファに座った正面に腰かけ、同じようなミニスカートで読書を始めた。今度は初めから体育座りで、俺がチラチラと陽菜を気にしているうち、すぐに中身の見える状態になっていた。
 ――黒だ。
 ゴム部分がピンク色のラインとなり、黒い布地の上でカラーが目立つ。全体的にもハートマークの振り撒かれた柄物で、はっきりした色合いな分、先日の白いショーツよりも、この距離からでも見やすかった。
「今、見てたでしょ」
 そして、同じ台詞をまた言われた。
「いや、陽菜だってその姿勢……」
「言い訳しない。変態!」
 俺を罵り、陽菜は部屋へ駆け戻った。

 だが、そのまた数日後。
 白と水色の縞々模様の三角形が俺の視線を引き寄せて、俺はしばし陽菜の縞パンを眺めてしまった。
「見てたでしょ」
 また言われ、見下す視線を送られた。

 しかし――。
 苺パンツ、黄色いパンツ、青、水色。
 あらゆる種類の下着を、一週間のうちに二度か三度は見る機会があり、そのたびに俺は陽菜に言われるのだ。
「見てたでしょ」
 と。
 ブタか何かでも見るような目で、侮蔑を込めた視線で冷淡に。
 俺はそういう目を向けられて喜ぶような、マゾ的な性癖は持っていないため、その都度人並みに傷ついてしまう。それでも、目の前にロマンがあると見ることをやめられず、毎回のように言われるのだ。
「今、見てたでしょ」
 と、同じ台詞を。

     ***

 さて、俺の行う身体撮影の仕事は、四月実施の予定で三月中には話が来た。たまたま舞い込んだ仕事というか、バイト内容に耳を向けると、驚いた事に撮影場所は妹の入学した高校なのだという。
 勿論、俺に声をかけた人物は、そんなことは知らずに教えてくれたわけだが。
 偶然にも陽菜の学校で撮影を行うチャンスを得て、実の妹の裸を見れるかもしれない、禁断の欲望にかられた結果、俺は話を引き受けていた。
 俺がカメラを持ってここにいるのは、そういったわけだった。
 きっと、陽菜も驚いたに違いない。
 俺がここに来るということは、陽菜には黙っていた。撮影場所として利用されている、この学校会議室の空間に着てみれば、実の兄が撮影担当者としてシャッターを切っているのだ。
 陽菜は一体、どんな気持ちで順番を待ったのだろう。
 一人ずつ順調に撮影を済ませていき、残る最後の一人となったのが、名前順のために最後尾にいた若林陽菜だ。
「お兄ちゃん……」
 順番を迎えた陽菜は弱々しい声を放っていた。
 両腕を誰よりも固くクロスして、胸を見せまいと隠しているのは、きっと俺が実の兄だからなのだろう。戸惑うような気まずいような、そんな瞳でチラチラと俺を見ながら、湯気が立ち上っても良さそうなほどの赤い顔で両腕のクロスを解く。
 ショーツを脱ぎ、肩を縮めて小走りのように移動する。
 俺の正面に直立して、恥ずかしそうに顔を歪めた。唇を固く結びつけ、頬を強張らせた赤面の表情は、このクラス全員と比べても、誰よりも恥じらったものだ。
(これが陽菜の裸……)
 膨らみのある白い乳房はマシュマロのように柔らかく見える。リンゴより大きく、メロンよりは小さいといった具合のボリュームで、ドーム状のふわりとした山頂には、硬く突起した乳首を生やしている。
 下の毛は手入れがされ、逆三角形に形を整え、薄く短くされていた。
 パシャリ、と。
 俺はまず、顔から足先までが映る全体写真を数枚撮る。そのフラッシュが輝くことで、陽菜はピクっと肩を縮めていた。
「後ろ向きお願いします」
「……はい」
 建前上、俺達は生徒と担当者。
 陽菜は背面向きになる。綺麗なくびれに続く丸すぎるほど丸いお尻は、あまりにも球体らしい曲線をなしており、ツヤのある肌質が光沢を放っている。ドーム形状の丸さが、太ももの上からこちら側に飛び出ており、皮膚のピンと伸びきって見える張りの良さは、いかに弾力性があるのだろうかと、想像を掻き立てられた。
 背面の直立を取るために、俺はシャッター音を鳴らす。
 パシャリ。
 すると、陽菜はピクっと、少しだけ震えた。シャッターに、フラッシュに反応して震えたことで、一瞬だけ振りたくられたお尻の動きが、いじらしく恥じらう感情を体で表現したかのようで、とても可愛らしく見えた。
 今度はお尻のアップだ。
 俺は陽菜の背後へ接近して、お尻全体が丸々と収まるようにカメラの距離を調整する。陽菜の尻を、妹の尻をじーっと見ながらシャッターを押した。
「…………っ」
 フラッシュに反応する小さな息漏れの声が聞こえた。同時にお尻も、やはり一瞬だけ恥じらいに振りたくられ、それがあまりにも可愛く見えて、俺はもう一度だけ撮影する。今度は太ももから尻にかけての筋肉に力が入ってか、プリっと揺れて、張りの良い振動を披露した。
「続けて乳房を撮影します」
「……はい」
 こちらを向いた陽菜の胸へカメラを近づけ、ふわふわとした柔らかい乳房が、両方ともレンズに収まるのを確認する。
 シャッターを押す。
 顔の筋肉がピクっと動き、表情の歪み方がフラッシュに合わせて変化していた。
「陰部の撮影に移ります」
 俺はカメラをアソコへ向け、毛に覆われた割れ目を写真に収める。近くで見ると、綺麗な貝殻のように閉じ合わされ、官能美術として考えても、美感に耐えうるものに見えた。
 さて、次だ。
「足を肩幅に開き、四つん這いの姿勢で頭を低く、床につけるようにして下さい」
 俺の指示したその姿勢では、ちょうど尻だけが高くなることで、割れ目が自動的に開いて肛門が丸見えになる。
 全裸ばかりか、尻の穴まで見られる気持ちは、果たしてどんなものだろう?
 俺の目の前で屈辱的ポーズを取った陽菜は、実の兄に肛門を晒している。綺麗な丸みの合わせ目が、尻の割れ目がしっかり開き、その中央にある放射状の皺の集まりが、くっきりしっかりと俺の目の前に現れている。
 俺はレンズを接近させ、シャッター音声を切り鳴らした。
 パシャ! パシャ!
「仰向けになり、脚を両側へ大きく開いて下さい」
 姿勢を変えた陽菜と、目が合った。
 気まずそうな、困りきった表情の陽菜は、耳まで赤く染めている。いつ泣き出してもおかしくなさそうな目で、助けを求める目つきをしていたが、俺は構わず指示を続ける。
「アソコを開いて下さい」
「…………はい」
 サーモンピンクの肉ヒダが指で開かれ、そこへカメラレンズが接近するのを、陽菜は黙って静かに受け入れる。ネット上でなら、無修正の画像を見た経験くらいはあるが、現物をこの目で直に見たのは初めてだ。
 粘液が光を反射して、キラキラと輝いている表面には、まだ処女に違いない膣口の小さな穴には、白い膜状のものがかかっている。しかし、完全に穴が膜で塞がっているわけではない。ネット見たことのある用語に環状処女膜というのがあったが、白い膜状のものに綺麗な丸い穴が開いているのは、まさにそれに当たるのだろう。
 そして、膣口の上にある点の穴が尿道口か。
 さらにその上、割れ目の頂点で皮を被って隠れているのが、クリトリスというやつだ。
 もちろん、撮影は職務である。いくら妹の肉ヒダだからといって、そうそう長く見ている暇はない。すぐに撮影して、すぐに終わらなくてはならないため、俺はそれらをたった数秒間かけて全力で観察していた。
 そして、俺は陽菜の最後の部分を撮影した。
 パシャリ、と。
 実の妹の性器をフィルムに収めた。

     ***

 その日、陽菜は俺と一言も口を利かなかった。
 家に帰り、ただ俺と目を合わせただけで、顔が一瞬にして真っ赤になり、逃げるかのように自分の部屋へと駆け込んでしまう。
 次の日も、また次の日も――。
 同じ状態がしばらく続き、二週間は経ってからだ。

「見たい?」

 一階のソファで過ごしていると、陽菜が向かいに座り込む。いくら時間が経ったといえ、あの後でありながらミニスカートを履いた陽菜は、今日ばかりは本を読まない。何も持たない手ぶらのまま、体育座りで足を閉じこみ、少し開けば見えてしまう状態を作っていた。
「頷いたら、どうなるんだ? 陽菜」
「お兄ちゃんが頷いたら、足のクロスが解ける」
「……本当に?」
「本当だよ。そう聞くってことは、やっぱり見たいでしょ」
 足がゆっくり左右に開かれ、体育四割を通り越したM字開脚にまでなってしまう。

 驚いたことにノーパンだった。

 俺の視線に曝け出された陽菜の秘所は、毛も割れ目も剥き出しである。陽菜は一体どういうつもりで、どうして俺に見せてくれているのか。わからない部分もありながら、それでも俺は移動して、陽菜の秘所をよく観察するため、目の前に座り込む。
 陽菜の股へ顔を近づけ、じーっと眺めた。
「綺麗だな」
「褒められても困るし……」
「ばか」
 照れたようでもあり、本当に困ったような声だった。
「中身も見たい」
「ふん。変態」
 文句たっぷりに吐き捨てるが、口ではそう言いながら、陽菜は素直にアソコを開く。俺のすぐ目前で、割れ目は左右へ開いていき、薄紅色の肉に毛細血管の色が通った、鮮やかな色合いの肉ヒダが現われる。
 性器と肛門の距離は近いため、尻がソファでこちら向きになっているのもあり、両方の穴が俺に対して丸見えだ。
 お尻の穴も、やはり桜色で清潔である。
「本当に綺麗だよ。ここ」
「だから、褒められても……」
 上を見上げる。
 陽菜の顔はやはり、湯気が出ても良さそうなほどの赤面状態と化しており、結ばれた唇が波打つ形に歪んでいる。
「どうして、見せてくれるの?」
「それは……」
 答えにくそうにして、陽菜は俺から目を逸らす。
「教えないと、触るよ?」
 俺は陽菜の膣口に指を接近させた。
「だ、駄目!」
「じゃあ、教えて?」
「……うん。仕方ないな」

     ***

「見せたいって、思ったの」
 陽菜は語る。
「見せたいというか、見られたいというか……。露出? って、いうのかな。別にあんまり派手なこととか、危険なことはしたくないけど、軽いことならやってみたいな。なんて、思っちゃったりして……」
「だから、ミニスカで体育座りしてたのか」
「……うん」
「俺に中身を見せてくれるのは?」
「それは……。写真、撮られて……。恥ずかしくて……。なんだかもう、死にたいくらいの気持ちになったのに、おかしいの、私。またあんな思いしてみたい、だなんて。変なこと考えている私がいて、それで……」
 露出性癖ということか。
 だから、今までミニスカートで体育座りなんかして、下着を見せていたのはわざとだったというわけだ。その上、こうして性器の中まで広げ、俺に観察させてくれている。
「だったら、全部脱ぎなよ」
「……え?」
「見せたい、見られたい。そういう気持ちがあるなら、いっそのこと、全てを俺に見せて欲しいな。この前みたいに」
「――うっ」
 陽菜は元から染まりきっていたが、全裸撮影の記憶に触れることで、改めて恥じらった。
「また、撮ってあげる」
 はっきり言って、下心だ。
 人肌を写した経験を積もうなど、そんな気持ちがこの前の時は一応あったが、今日ばかりは妹の裸が見たい。
「……わかった。全部脱ぐから、部屋に来てくれる?」
 陽菜は言った。
「裸になったら呼ぶから、部屋の前に来て。待ってて?」
 医学用の撮影データは管理がきちんとされているため、仮にやろうと思っても、データを自分用に持ち帰るような隙はなかった。貸し出しのカメラを使わされ、データをコピーできないように教師に見張られていた。
 だから、俺の手元には妹の裸の写真は残っていない。
 手元に残すことのできなかったものを、俺はこれから再び撮影できるのだ。

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