86―エイティシックス―



 隣国である「帝国」の無人兵器“レギオン”による侵略を受けている世界観で、サンマグノリア共和国の国民は安全は85区画の内側に閉じこもる。『進撃の巨人』をご存知の方であれば、それによく似た状況下で、『兵器』の脅威に晒されていると言えばわかりやすいでしょうか。

 レギオンと呼ばれる無人兵器は、自動型の製造工場を持っているため、人の手による開発がなくとも次から次へと数を増やし、性能の進化したものまで登場します。

 そこで、レギオンへの対抗兵器としてジャガーノートが開発される。

 ジャガーノート(無人機)を優秀な司令官の手で遠隔操作することにより、安全な壁の内側から、一人の死亡者も出すことなくレギオンの脅威を跳ね除ける。そんなとても人道的な発明であると、作中でも評されているわけですが、そこがこの作品の問題点です。


 ――エイティシックスは人間ではないのだから、奴らを乗せればそれは有人機ではなく無人機だ。


 エイティシックスとは、共和国85区画の外。
 存在しない第86区に収容された差別被害者のことである。


 政治的に作られた差別により、豚以下の人間と烙印を押された人種達を乗せることにより、この作品では<有人の無人機>が戦っているわけですね。

 しかも主人公側の機体(ジャガーノート)の性能はレギオンよりも劣っており、ガンダムには詳しくないのですが、ザクのような量産機でガンダムに挑むといったくらいストレートに例えた方が、だいぶ伝わりやすいんじゃないかと思います。

 だから一歩間違えれば死ぬ。

 どれだけ使い勝手が悪く、防御も薄いかといったことは、作中でも触れられています。


 さて、そんなこの作品の中心人物。


 ヒロイン、レーナ。
 少年、シン。


 この二人の少年少女は、作中で一度として顔を合わせることはありません。上記で触れました通り、この作品には遠隔によって司令を発する手段があり、通信を介してのみの交流しかしないのです。レーナは優良な血統の持ち主で、対するシンやその仲間達は差別を受けている人種です。

 迫害する側とされる側。
 出会った時点で溝の深いレーナとシン。
 それから、シンが率いる仲間達。


 彼らに入れ込むうちに、シン達のために内側から足掻こうとするレーナ。

 かなりの読み応えで、文句無しのオススメ作品。

 エロパロもいくらか書いていますが、もしSSだけ読んで原作を知らないような方がいましたら、是非とも買ってみて下さい。





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